5月 1st, 2010 Posted 2:51 AM
スーザン・ソンタグ
Media Integrationの内容と形式について考えています。
いつも、デザイン表現の「内容と形式」に引き戻される感覚があります。
私に、「内容と形式」を徹底的に意識させてくれたのは、
スーザン・ソンタグだったのではないかと思います。
彼女の解釈性や隠喩性の著作から離れられなくなっているのかもしれません。
いや、呪縛されたままなのかもしれません。
歌舞伎という形式
今、歌舞伎座が最終公演を行っていました。
ちょうど、親友の撮影監督が張り付いて記録撮影をしていました。
彼から、「歌舞伎」と「オペラ」の対比した話や、
最終演題「助六」が、いかに凄かったかなどを聞かされました。
つまり、「歌舞伎という形式」は、
演じる役者でその「内容」は格段の違いを見せるわけです。
「クラッシックやオペラの定番という形式」も、
「内容」は、その主体者によって、まったく異なった感動を与えるものです。
デザイン対象としての「形式」と「内容」
私は、デザインするモノが、「形式」としてMedia、
あるいはToolになることを記してきました。
Mediaであるべきモノが、Toolとなり、
Toolというモノが、Mediaになる時代を私たちが引き込んだのか、
または、科学や技術が、
そうした時代に私たちを生かしてくれているのかということです。
本来、Mediaという形式であっても、
その内容はということになります。
Toolという形式においても、同様のことが起こっていると解釈するわけです。
私は、自分がデザインという表現手法を、
職能にできたことはとても幸運だったと思います。
そして、デザイナーとして製品開発で終わったモノ、
商品化して、それなりの評価や投資効果を、
成功ならしめたコトも幸運だったと考えます。
そこで、自分がデザインしようとするとき、
常に意識してきたことは「形式」を変貌させてしまいたい、
欲張って言えば、
「形式」の革新を起こしたいと考えて続けてきたことです。
伝統工芸では、包丁という「形式」をこれが「キッチンナイフ」とか、
液晶TVでも「形式」の変更は無理であっても、
「内容」は変えることができる、という具合でした。
求・思考停止からの解放
今、懸命になっているのは、
すべからくMedia要素という「形式」化を、
「形態」という内容変異ができないかということです。
そのために、「述語命題」については、
10余年前に中村雄二郎先生に直接師事することができました。
先生の新聞連載でイラストを担当し、その都度、教えられてきました。
岩波新書の「正念場」を読んでいただきたいと思います。
しかし、まだまだとても、自分が講義できるまでには至っていません。
それは、特にデザインでは、「コンセプト」を命題としてか、
述語としてか、さらには形式としてか、内容としてか、を
自分につきつけているからです。
そして、正直、
ここで思考停止していることを告白しておきます。
この思考停止を解放してくれる唯一の手段は、
スケッチだということには気づいているつもりです。
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4月 27th, 2010 Posted 12:01 AM
オブジェクト指向
「概念記法」が書かれた時、
日本はようやく明治維新への時代だろうと思います。
これは、おそらく「オブジェクト指向」を示唆した最初の記述であり、
なおかつこの記述が、
100年後には、コンピューター言語が生まれ始めるわけです。
私が、コンピューターに出会って初めて
機械との「対話」に言語が必要だと知りました。
対話
それはMacintosh128Kで、
「bit map」と「object oriented」に触れるのです。
そして、これが「絵」を描く対話と「図」を描く対話になります。
ソフト的に言えば、MacPaintとMacDrawというアプリケーションでした。
そして、確実にMacDrawが「図解」というオブジェクトであり、
円、四角形や多角形というオブジェクトは、
それをパレットツールから選べば、
その大きさを自由に変化させるという「対話」でした。
つまり、「対話」という手法は、
モノと自分との関係で何なんだということです。
モノに語りかけ、モノが語る=アフォーダンスにつながっていくのです。
パソコンの画面との「対話」感覚は、
ストレートにデザインによっての構造化=関係化です。
さて、「概念記法」にもどれば、二つのことが明解になっていきます。
ゴットロープ・フレーゲが提言した「命題論理」と「述語論理」です。
しかし、この「述語論理」を理解することは、
とても困難だと考えます。
この困難さが数多くのデザイン造形には顕著に出ています。
どんなにヒットしようが、造形的な破綻を見抜くのは才能に他なりません。
述語
「述語」というのは、「AはBである」=命題に対して、
Aというのはどんなこと、何なんだ。
BというのはAに対してどうなんだ。
この「どうなんだ」・「何なんだ」ということです。
簡単に言えば、デザイナーの能力は「述語論理」が制御できない場合、
デザインという職能には不適切だと言い切っていいでしょう。
私はデザインを教える立場にになって、
「述語世界」に入れないデザイン学生を不憫に思うのです。
このきわめて抽象的な論理は、
中村雄二郎著「術語的世界と制度」を読んでいただくことが賢明でしょう。
結局、Integration=秩序性のある統合というのは、
「対話」の決定的な「述語」の使い方に終始するのです。
オブジェクト指向とIntegrationは、
「述語論理」を「対話性」にどのように配置するのかということです。
そして、この決定が可能である手法は、
唯一、「デザイン」だけでしょう。
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4月 11th, 2010 Posted 12:01 AM
応用美術
DesignがArtの応用にすぎない、という見解があります。
あるいは応用美術という歴史上でデザインが存在してきた、
この解説も、ほとんどのデザイナーは熟知しています。
私自身も、美大の産業美術学科という領域で、学びました。
したがって、特に、現代美術の様々な展開や、
歴史的な事件は、デザイナーの基礎知識として重要です。
この現代美術、現代アートとデザインとの境界には、
大きな戸惑いや、アートとデザインの融合性を確認する、
そんな事態は常に発生していることは認めています。
しかし、問題は、
Designが職能として、「かたち=外観づくり」だけ、
そんな印象が今なお強烈に有る、いや残っているのです。
私も、デザインは「かたち」に終結するが、
「かたち」と言っても、「形式」や「制度」、「システム」、
しかも「インタンジブル」な設計や戦略や策略と連呼してきました。
「欲望の刺激装置」
歴史的に見れば、
確実に「欲望を刺激する外観創成」だったことは否めません。
ところが、
さらに、いわゆる商品形態の区別化を
「商品の差別化という付加価値論」に呪縛されてきました。
そこで、「盗用」です。
「盗用」という言葉は、反倫理性がありますが、
この反倫理性を滑稽さやパロディで回避し、
判断停止を意図した芸術が登場しました。1919年代です。
無論、それ以前も、「表現の多様性」として、
生まれたきたのが、マルセル・デュシャンやアンディ・ウォーホルによる、
強力な引用性のさらに複製化ということでの著作権への抵抗です。
L.H.O.O.Q.
デュシャンのL.H.O.O.Q.という作品がもっともその事例でした。
確実な著作権という制度に対する表現性の確立でした。
「モナリザ」は万人が知っている絵画、アイコンです。
このモナリザに髭を書き込みました。当然、複製のはがきに書き込んだのです。
それが話題になると、今度は「髭の無いモナリザ」です。
初めからモナリザには髭がなかったのですから、
創作性を引用=(盗用)パロディ化し、また元に戻すことで、
その創作性への思考停止、制度混乱を意図しました。
伝統的となってしまったアイコンの複製での意識操作や
作品への新たな鑑賞方法を破壊して、これが革新的アートだと主張しました。
さて、私は、応用美術であるデザインが唯一、
「かたち創出職能」=「購買刺激装置という付加価値」へ閉じ込めたことは、
デザインにとってその本質性を失わせたことだったと判断しています。
そして最近は、実質のモノのかたち=アイコン性だけを引用、
というより盗用しているにも関わらずデザインの自由性の謳歌、
この流行、氾濫、さらには正当なデザインという主張を見ます。
盗用は破壊を作動する
それがデザインの多様性であり、それはデザインの否定によるデザイン、
すなわち「面白い発想」という評価にデザインが対象化されることは、
デザインの本質性を破棄し、破壊したものと考えます。
しかし、この判断には私自身も、「盗用か引用か」、
という曖昧性の判断停止が起こっていることは認めなければなりません。
もっとも端的には、ロボットなどのヒューマノイド系、
それはSFでも登場する人間クローンがロボットというのは、
借用・引用・盗用なのかという問題解決は、
緊急な解答が必要となっていることです。
しかも、もっと大きくて深刻な問題は、
デザイナーに「Appropriation」という芸術史での事件を読み込むことなく、
「差別化のために創造表現という勘違い盗用」をしていることが問題です。
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3月 27th, 2010 Posted 12:01 AM
情報化
情報時代での「情報化」は、あらゆる物事に及んでいます。
上記はあまりにも一般的ですがあえて記しておきます。
そして、「物質・情報・エネルギー」が現代要素・要因なら、
これらは、
● 物質の情報化・情報の物質化
● 情報の情報化・情報化の情報
● エネルギーの情報化・情報化のエネルギー
という曼荼羅的な組み合わせの相互性や補完性が発生しています。
Privacy
その中でおそらく、
民主主義が最も権威性と権力性を持ったのは、
「プライバシー・自分性の保全」だったのでないでしょうか。
これは、
● 情報の情報化・情報化の情報のドメイン、
その中で検証と検討が不可欠になってきていると思っています。
前述してきた「マスコミ」や「マスメディア」との構造に、
深くプライバシーが関与してしまったからだと考えています。
私はデザイナーという立場で、
プライバシー化する(させる)ツール、
プライバシー化する(させる)メディア、というモノを
最も考えてきたからです。
そして、プライバシーの情報化と情報化のプライバシーに
メディアデザインするモノと
ツールデザインするモノを突き詰めている感覚があります。
以上の記述を読み解くことができ、
なおかつ、職能として「造形化」できるデザイナーが、
確実に減少しているとさえ思っています。
あらためて、問題提起をしておきます。
プライバシーの情報化とは何(ツール・メディア)なのでしょうか。
情報化のプライバシーとは何(ツール・メディア)なのでしょうか。
さらに、これからの「デザイン」が「プライバシーと情報化」に向かい合うとき、
何が「プライバシー・情報化」デザイン解決か?
何がメディアというモノとして「プライバシー・情報化」に、
何がツールというモノとして「プライバシー・情報化」に、
この二つを話題・課題・問題として、デザイン解決できるかということです。
Tags: 「資本主義からの逃走」, インハウスデザイナー, エネルギー, デザイナー, プライバシー, メディア, 情報, 物質, 職能, 造形
Posted in 019「メディアとプライバシー」, 資本主義から逃走せよ!
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2月 5th, 2010 Posted 2:37 AM
iPadだ!
未来、 見えているか?
iPadのNewsは様々な批評や期待で一杯です。
Apple社、ジョッブス氏の活発さに惹かれます。
そこには、いつも私たちは未来を見るわけです。
現代、こうしたNewsが、
多大な問題いっぱいの世界をやや救ってくれています。
それは閉塞感満ちあふれる日常での救いでしょう。
かつて、私はiMacを100人評価する雑誌で、
唯一、「ゴミだ!」って発言して、
ほとんど日本中から袋だたきに遭いました。
さらに、Gマークでも金賞候補からはずす主役でした。
問題点は、三つありました。
一つは、すでにあのモックアップは見ていましたから、
がっくりしたのです。
環境ホルモンと流行
ところが、
理由はそれが、ポリカーボネート製でした。
これが二つ目の理由でした。
ビスフェノールAという環境ホルモンの問題です。
今では、ポリカのリサイクルシステムもできましたが、
当時はビスフェノールAだ!って叫んだのは私だけ。
さらに、これがカラーで透明だったので、
おそらく日本の様々な文具から何にでも、
「流行現象」が蔓延してビスフェノールAに無頓着、
というのを、一人でも食い止めたいと思ったからです。
まあ、脅迫メールは届くは、
ポリカ業界からも散々な目に遭いました。
この時にも、私は自分を「職能家・デザイナー」を、
絶対に押し通そうと言い聞かせて、耐えました。
結局、「流行」は去り、ポリカのビスフェノールAは、
WHOから、「懸念ある素材」となり、
産業界はリサイクルシステム無しには、
素材使用は自粛されました。
「川崎は理詰め」と言われますが、
理性と感性には、順位があります。
「理をつめなければ、けっして感性優位は排撃すべき」
というのが、私のデザイナーとしての信念です。
私は、iPadには、二つが無かったと思っています。
●「新素材・made in Japanを知らなかったこと」
●「清潔感をコンセプトにする」
ということです。これは「批評」です。
それでも、iPadが、「iPod」がデカイだけ、
というのは、非難であり、未来が見えていません。
これは駄目でしょう。
私は、私の批評ポイントをはずせば、
やはり、「やられた!」といわざるをえません。
そして、必ず、私の二つの批評が合体するモノを
最も希望しています。
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1月 4th, 2010 Posted 8:00 AM
Noblesse Oblige
昨年は米国と韓国で、DESIGN made in Japanを
アピールとプロパガンダしました。
また香港投資銀行のあるファミリー企業から依頼されて、
Clinton Global Initiativeのプロジェクトに加わりました。
そして、グッドデザイン審議委員会にて2年間、
「日本のデザインをGマーク制度を運用しての国際化」、
その議論を相当にしました。
その視座から見えていたのは、
あらゆる「モノづくり」ほとんどすべての業態や産業が、
世界から注目されてはいないという現実でした。
大学では、「関西海洋教育アライアンス」を担当しました。
Ship of the Yearの審査委員にも推挙されました。
そこでも、日本の海事・港湾・造船領域が、
世界的立場を危うくしていることでした。
こうしたすべての現実に、産業界・経済界がともかく
国際化不能にしているものの正体を見たことでした。
それこそ、「日本の資本主義構造」を、
制度化と慣習化と革新化を怠ってきた問題が余りに多い、
ということでした。
この惰性的で怠惰性はデザイン界も同様でした。
昨年のGマーク賞の審査でもこの怠惰性が露見しました。
私は、デザイナーの美学は、
デザイナーの見識と良識だと思っています。
それはデザイナーという職能だけではありません。
まず、「自分の役割」とか「自分の責務」が前提です。
とても現代では死語扱いになっている「献身性」です。
たとえば、グッドデザインの審査委員は、
少なからず、建築・グラフィック・プロダクトなど
デザイナーとしては選ばれたある種のエリートです。
こうした人達に、まず求められるのは、Noblesse Obligeです。
それを尽くしてはじめて、
「わがデザイン」であるべきだと思います。
そんなことも欠落した者を
私は今後決して「デザイナー」とは呼ばないでしょう。
高校時代だったななら、
きっと、必ず、「殴っていたでしょう」。
そんな輩が、デザイン界だけではなく、
本当に、この日本中に増えました。
「この企業は、もう駄目だよ」って、スタッフに伝えると、
必ず、そんな企業は「倒産」=会社更生法適用となります。
Principle
日本は、まず「日本人であるPrinciple」あってこそ、
新たな「日本的な資本主義」、
それはきっと、「これまでの資本主義」を廃棄する勇気であり、
あらたなNoblesse Obligeだと考えています。
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Posted in 007「資本主義」, 資本主義から逃走せよ!
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11月 17th, 2009 Posted 7:00 AM
11月17日 仏滅(丙寅)
デザインという職業と、
デザインという職能には大きな違いがある。
「デザインのような」仕事でも商売になる。
これに対し、職能観は
デザインのレトリックから離脱した真実性、
倫理性に向かうことだ。
『プラトンのオルゴール』レトリックからのセセッション
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