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Posts Tagged ‘CAD’


『デザインが唯一の未来創出、その職能』


   


     3月 5th, 2019  Posted 12:00 AM

私は、「発想が10年早い」と言われてきました。
デザインが未来を創れる唯一の職業だと思っています。
ところが、デザインはどんなに最先端を走っても、
不要なモノは当然、残念ながら善いモノでも、
すごいスピードで淘汰されます、「私でも遅い」のです。
東芝のデザイナー時代、
大学の研究室を訪ねては「遅れてる」と思っていました。大学人になって、
あの時、自分が思ったように「企業より遅れ」をとってはいけない。
優秀な研究者との連携により、
最先端の研究、デザインで他分野を引っ張り、
医工学、理工学、政経学、文理学へとプロジェクトを提言してました。
しかし、デザイナーの品格=才能と美意識は限られています。
今、大学での専門家の研究が4Dとか言われると、
「まだそこ?」、と残念です。
私が、4次元CADを研究していたころでさえ、
ディズにー社が5次元CADを使っている、という情報を手に入れました。
その時、東芝では6次元CADを米国のある企業と開発し、
プラント設計管理への利用段階でした。
現実にそれを見て驚嘆しました。私の研究では、
DNAでのアデニン(A)とグアニン(G)、シトシン(C)とチミン(T)に
「時間軸」を入れて4次元CAD で、
その過程と結果を医学系に提出していました。
メディアにもてはやされる言葉に関わる研究や、
研究費が一時的に大量投下されるような研究に、
携わってる学者は未来を見つめていないのです。
「発想が、実は相当に遅れています」。


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『「規」=ぶん回しが取り決めていることの再確認』


   


     10月 13th, 2016  Posted 12:00 AM

規というのはコンパスを意味していると聞いています。
ぶん回し、あるいは円規は定規に対した言い方です。
おそらく、小学生のころにこのぶん回しと出会いました。
それは、時計を覚えるために算数のノートに、
時計を書き込むことか、円グラフを描くための文房具としてです。
実際、これも自分のコレクションです。
様々なコンパスを持っていますが、実はこの写真のコンパスを
一時、どこかに忘れていて2年ほど、正直困っていたのです。
このコンパスは、プロのデザイナーになって直ぐに手に入れたモノです。
それだけに、歳末にはこのコンパスをきれいにしていました。
最近、図面などはパソコン上で簡単に描いてしまうことができますが、
たとえば、五角形はコンパスで描くことの手続きなどは、
コンパスの使いごこちを確かめる重大な手法だと思っています。
最近のプロのデザイナーには、無意味なモノになろうとしていますが、
自分はあえて、製図機器の重大なモノは、コレクションの一つです。
あらためて「規」という文字は、取り決めやルールのことであり、
円規というのは中心点との距離を保ったままに円形を描くことです。
したがって、コンパスという意味を見直す意味でも、
文房具、製図機器としてのモノの意味は見直すべきでしょう。

* 5月25日Staff Blog
* 「光造形は日本で発明されて、今やナノテク世界で進化している」
* 『工業デザイン教育での「手」のトレーニング』
* 「デザイン解としての回答、その強度」
* 『研究室のMac環境は最高性能の自分デザイン』


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『象と蟻、その表現法はまったく変わってしまった』


   


     8月 3rd, 2015  Posted 12:00 AM

「ガリヴァー旅行記」を書いたジョナサン・スウィフト、
彼の書いた言葉に、
「象は実物より小さく描かれ、蟻は実物より大きく画かれる」という
的確な指摘があります。
なるほど、この写真も象は実物より小さく蟻は実物より大きいのです。
美大時代も、精密な鉛筆デッサンの訓練は、ほぼ実寸、
もしくは1.1倍で描かされたものです。
プロのデザイナーになってからは、小さなモノの図面は5倍図で、
できる限りモックアップモデルは実物大で制作してきました。
現在もモデルは実物大です。
デザインするモノは実物大を守っています。
しかし建築は縮小モデルが当たり前になっています。
絨毯などの下図は実物大であり、スウィフトの指摘は文明で
人間が人工化していくときに、人間という大きさから、
人工物の設計表現のあり方を指示していることを認識すべきです。
図面作成では二つの発見を書き残す必要があると私は考えています。
かつて私の祖先は、宮大工図面は縮小図であっても、発想のままに
用紙を継ぎ足して描いていました。
それは設計の想像力が用紙の大きさに囚われない考え方でした。
またCADシステムでは、それこそどんなに大きな建造物であっても、
拡大と縮小は自由自在になっていることです。
今、私は設計=デザインは、実物をコンピューター画面の中では
自由自在であり、3D-CADであれば、自在に描くことができれば、
それは今では3Dプリンティングや光造形で自在に実物の拡大化も縮小化も
極めて簡単になっているということです。
頭蓋骨を光造形で制作したときに2倍の大きさで制作して、
それを見た瞬間に、あらたな想像力を刺激されました。
また、同様にマイクロ光造形では、血小板サイズのロボット化も
可能になっています。
すなわち、私たちはコンピューター・デジタル設計で、
象は実物大以上が制作可能となり、蟻はマイクロ光造形まで
設計=デザインとモックアップモデルが可能になっていることです。


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『まだ新たなOSのパソコン=HP Chrome11』


   


     8月 24th, 2014  Posted 12:00 AM

美大生の頃、ドラフターが画材店に展示されていました。
T定規と三角定規をデザインツールにしていて憧れました。
東芝に入社したら大きなドラフターがあって、使い方がわからず、
ペダルを踏んだら製図板が真正面からおでこを直撃し倒れました。
冗談的に田舎の大学出だなと冷やかされて笑われたものです。
そして、福井にもどってもドラフターで図面を描いていたら、
親友Tが「昨日と同じのを描きなおしているのか?」と聞かれ、
「いや、昨日より2mm違うピッチで描き直している」。
「そんなこと、CADとプロッターでやればすぐじゃないか」
「・・・・」
「川崎、オレの商売だから持ってきてやるよ」。
彼は今福井キヤノン会長で起業して40年になっています。
それから、Macintosh128Kも彼から提供されてパソコン、EWSもと、
私はデザイン界を超えてコンピュータ界でもプロになりました。
今では、もうパソコンの無い生活はありえませんが、
「自分の情報化」は個人個人の能力が見事に反映しています。
私はPCの先端性で自分の情報化が遅れていれば能無しと断定します。
MacOS XとAndroidも仕事上使いますが、HP with Google PCが、
私はこれからのCloud対応性を実現していくことがリアルです。
米国なら234ドルのCloudパソコンが登場してきました。
すでにアプリケーションソフトはすべてクラウド上ゆえ無料です。
つまり、CloudPCにとっては、何がコンピュータで可能か?を
ユーザーが自分で考え出して使うという段階にまで来ているのです。
私はこれまでの経験からも将来性の技術進化・情報新化には敏感です。
おそらく、このCloudPCの向こうに将来のまた新たなPC日常が
それこそ個人の能力次第の使い勝手から生まれてくるものを感じます。
すべてがUSBだけのコードコネクションも未来を暗示しています。

『1984年からMacintoshとの付き合いが私の重大経験』
「数理造形から見えてきたAtom時代の終焉 ・02」
『Macの進化と自分の進化は使い分けるべきでしょう』


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「光造形は日本で発明されて、今やナノテク世界で進化している」


   


     5月 11th, 2013  Posted 12:00 AM

3Dプリンターの商業的な流行には要注意です。
購入しても使用出来ない商業主義が先んじています。
地方行政の研究機関や研究心の浅い大学が装置を買っています。
だからこそ、私はなんとしても「光造形」を知ってほしいのです。
この原理原則だった「光造形」は日本の発明だったということ、
これは忘れられていますから、
その発明の経過と、日本より英国で評価されて、
商業化は米国だったことに私たちは留意しておくべきと考えます。
「小玉秀男」博士の発案であり、
国内評価が遅れたことは日本の特許制度の脆弱さを
あらためて再思考しなければいけません。
その当時は、半導体生産技術・印刷技術・CADの三つが基本。
3次元立体映像を紫外線硬化樹脂で立体地図から始まります。
彼は、日本よりも英国・欧州で評価されましたが、
米国は即刻、光造形の企業を設立して商業的な成果を上げます。
この企業が今では光造形システムをほとんど商業成果を独占。
しかし、日本では、彼の発案を鋳造技術・金型モデル生産で、
様々な学術発展が国際化=米国流になってしまいます。
それでも、光造形(3次元立体映像を紫外線硬化)は、(左)
*マイクロナノテクノロジーでフォトニクスとオプトニクスの
根幹技術になっていきます。
フォトニクス関連では、大阪大学の河田聡教授が
サイエンス誌に「牛」の立体像を発表し、
ギネス登録にまでなります。(中央)
彼が私を公立大学の教員にもかかわらず、
「デザイン」を阪大に特任教授で国内初で受け入れてくれました。
オプトニクス関連は、生体医療を対象にした世界最小ロボットや、
ポンプ形式と呼ばれるナノテクノロジーでのモーターまでを
東京大学の生田幸士教授が次々と成果を上げ続けています。
彼が名古屋大学時代には、
二人で「国立と公立の単位互換制度」を創立した仲です。
今でも、この二人にはなんでも相談ができます。
私の親友だということはとても幸運なことですから、
彼らの研究を間近で見られるということです。
さらに幸いなことは、この両名の先生は、
お互いが協働でそれぞれの次世代交換をして、
それぞれの専門領域で小玉博士の提案を現代化し、
「光造形の真骨頂を国際化」していることです。
両名ともに、若くして紫綬褒章者です。
それよりももっと彼らの研究を政府が支援すべきだと思います。
したがって、
3Dプリンターのブーム評価を私は聞きたいと思っています。
私はあえてこのBLOGを書いてから二人に3Dプリンターのことを、
聞き出してみたいと考えているのです。

*物質をナノメートル (nm、1 nm = 10-9m)の
原子や分子サイズで制御する技術
両手で大きな輪をつくればこれが髪の毛一本=0.05mmから0.15mmで、
親指のツメが「血小板」サイズ=1~4μnmです。


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「レーザーポインター、今はコレ」


   


     5月 19th, 2012  Posted 12:00 AM

レーザーポインターは、プレゼンの重要道具。
パソコン以前には、
オーバーヘッドプロジェクターとスライドプロジェクターが、
画像プレゼンの機器でした。
1984年にMacintosh128Kが登場してプレゼンは一変しました。
その後、Macintosh SEには、そのオーバーヘッド自体が
透過型液晶にエンハンスメントしてプレゼンが可能になりました。
このシステムでのプレゼンを福山市のデザイン会議で使いました。
おそらくこれがPowerPoint1.0、日本初だったでしょう。
こうした革新は、1988年だと記憶しています。
なぜなら、Illustrator88とPowerPoint1.0(白黒)、
さらにはPostScriptというOSが華々しくデビュー、
レーザープリンターを米国から持ち帰り、税関で喧嘩しました。
88年からMacWorldが全盛期を迎えようとしていました。
その時に、プレゼンソフトはもとより、
追い求めたのが、CADとレーザーポインターでした。
10数本は使ってきたと思いますが、
現在は、これだけになりました。
スタートレックのガンを模倣したガジェットも、
音がして愉快な製品ですが、
最近は真面目にこの3種であり、発光色もグリーンです。
USBで、画面コントロールから時計機構があり、
プレゼン終了告知でバイブレーションしてくれます。
ところが最近では、大型液晶60インチを使うこともあります。
その時にはこうしたポインターは役に立ちません。
5月25日夕方、Apple Store 銀座で、
iPadでのスケッチ技法を紹介します。
おそらくこのポインターを持参することになるでしょう。
出来ればもっと新たなポインターの
デザイン革新が望まれます。


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『資本主義からの逃走』
 「学理が見定めた次元をデザインに」


   


     10月 12th, 2010  Posted 12:00 AM

「次元」に興味
デザインは意匠図という製図作成をします。
製図は、画法幾何学という領域から図法幾何学とか立体図学として、
もう300年の歴史的な蓄積があります。
しかし、その製図作成はデザイン技法として、
デザイナーにとっては、ほとんど無意識になるほど身体化してしまいます。
ところが、この無意識さを一度消却させてくれたのが、
私はCAD=Computer Aided Design (Drafting) だったと思っています。
つまり、三次元、いわゆる立体を二次元に描き出す技能法です。
ここで、私は「次元」に興味を持ちました。
とりあえず、基本的な次元をまとめておきます。
数学的な次元
■ 数学的な次元
点を0次元・線を1次元・面を2次元・立体を3次元。
さらに、ここから点集合をどのように考察していくかが、
帰納法的に積み重ねられてきた空間系が、実数論的な解釈や、
現象空間との対比が生まれてきました。
こうした数学的な次元を、製図技法やスケッチでは行き着けないということが、
私のデザインから次元を見つめる一つの視点になっています。
物理的な次元
■ 物理的な次元
ある量を決定するときに、数量性を表すのに適当な単位の設定から次元を決めていき、
その解析にまで至るということです。
たとえば、速さは長さに対して1次元、時間について-1次元、質量については0次元の量であり、
二つの量の積や加減で、関係=構造をみるもう一つの視点です。
しかし、デザインにとっては、物理的な次元考察は、エンジニア任せにしています。
これは、素材開発をしていく時には、密度とか粘性とかをデザインアイディアで提案するときには、アイディアにデザイン価値を付加することができると、私は考えています。
現在、すでに日本のプラスティック成型が産業的に立ち後れているのは、
デザイナーが物理的な次元への提案ができていないことに起因していると判断しています。
多次元性への造形思考
そして、多次元性へのデザイン思考、造形思考は、
かってパウルクレーやカンデンスキーが予測していたことに重なっていると私は考えています。


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