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Posts Tagged ‘かたち’


『資本主義からの逃走』
 「景気循環論から離脱させるデザインをめざす」


   


     12月 22nd, 2009  Posted 10:00 AM

循環させるための付加価値

資本主義でほとんど完全防御されていた経済性の循環。
しかし、「循環」には、必ず、異変が起こります。
そのことは、マルクス以後、様々な経済学者によって、
また様々の資本の投機と回収、あるいは資本の貸借など、
その手法論や合理的な運用が論理化されてきました。
私は、「モノづくり」の初期段階で、
デザイン」を投機してきました。
それは「回収」されるべき利益構造が、まったく、
資本論はじめ経済的な論理では説明も解釈も困難でした。
そこで私が見つけたのは、「感覚」で受け止める「価値」、
モノの「存在」でした。
私の資本主義からの離脱はこの発見時から始まったのす。
まず、大きな疑問が常にありました。
「特殊解」と受けとめられる「かたち形態」には、
決して、「価値」、それこそ「付加価値」であろうが、
「全体価値」であろうがその「存在」が意識化されません。

特殊解的な形態

したがって、
そうした「特殊解」的な「かたち」には、
一般的な「価値」すら生まれず、「存在」させた、という
「事実」だけが残りました。
この「事実」だけがデザイナーの「労働対価」だとすれば
デザイナーには、
「景気」というある種の指標は無関係だということです。
この構造が、
とりわけ、日本の企業にとっては好都合だったのです。

景気からの離脱

デザイナーの存在、頭脳的、感覚的、時に芸術的労働者は
「付加価値を創出」する職能集団に仕立て上げることが、
最も容易に組織化することができました。
だから、デザインを「付加価値」と言い切ったのです。
その「付加価値」は、「欲望を刺激」して、
「欲しい」、「買いたい」、という、
流行ファッション・風俗・サブカルチュアに、
仕立て上げました。
私は、この一見、
文化へと交代させたかのような「循環」と「代謝」から、
私のデザインを離脱させることで、
「景気」とは無縁の「モノづくり」のデザイン職能を
めざしてきたと思っています。


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『資本主義からの逃走』
  「生産と消費、その資本主義の構造化の破壊」


   


     12月 18th, 2009  Posted 10:00 AM

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「生産」と「消費」の世界で、
大量生産と大衆消費の構造に私は生息していました。
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私はすでに資本主義に何の疑いもためらいも無く、
大企業で社会人デザイナーとなりました。
ただ、その企業が儲けるよりも、
自分の提案デザインが、
「商品化」されることに驚喜していました。
そんな私ですら、「生産」と「消費」の構造の中で、
「デザインは付加価値」ということに対して
やり切れない憤りがありました。
もっと賢明なデザイナーとしての発言力を持ちたい、
その想いをぶつけたのが、
構造主義、記号論、マルクスの形態価値論に出会います。
ミシェル・フーコーに出会います。
ジャン・ボードリヤール
の批判に、「かたち」で、
この思想と対決したい。
ソシュールモーリス・メルロー=ポンティデリダ、のとめどなく
深い思考の森の中に入っていきました。
この森の中でも、せっせと「モノのデザイン」は、
決して、「付加価値を生み出しているのでは無い」という
直感を信じていました。
おそらく、私にその啓示がめぐってきたのは、
「言葉と物」、「物の体系」をはじめとするどこかで、
マルクス臭のある論策でした。
結果、
結論は、「デザインは付加価値では無い」ということ。
「デザインは全体価値」、
だから、
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であったデザインをどう解放し、
その証拠立てをしていくことだったと思い返しています。
point of contactという「生産」と「消費」の結合点に、
デザインを配置し直そうとしましたが、
すでに、時代は、「生産」して「消費」することが、
どれほど、今度は私たち自身の「存続」、
地球環境の破壊が私たちを取り囲んでしまったわけです。
それでも
●「欲望」あるいは「フェティシズム」は、誘惑的です。
●「希望」あるいは「ダンディズム」は、魅力的です。
そうした私が障がい者になって、思い知らされたことは、
「喜怒哀楽」でした。
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には、「医学」と「デザイン」によって、
「生」と「死」を
根底から見つめ直すことでした。


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『資本主義からの逃走』
  「資本主義、自らが生み出したキーワード」


   


     12月 16th, 2009  Posted 9:44 AM

Service産業は第三次産業と呼ばれています。
第三次産業の「形式」と「内容」は、
次のようなキーワードで大きな変容をしています。
現代のキーワードは次の九つが思い浮かびます。
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です。

これらへ「資本主義」がどう影響・支配・制御したかと
いうことが、「現代問題」だと考えることができます。
それは、わが国の大学教育での学部の、
こうした言葉を、冠「学部・学科・講座」名が、
見事に増加していることに「現代問題」が重なっています。
正直、こうした言葉を「冠」としている「分科学教育」を
私はまったく信頼していません。
ある調査では、たとえば、「人間学部」などという学部に、
進学する学生の偏差値は大学学生になるべき資質は無い、
という調査さえあります。
高校での偏差値が、55以下は「大学進学」などは、
しない方が本来は、人生として「幸せ」なのです。
こうした価値観の「社会的評価」制度が必要です。
実際的には60が最低でも必要だというのが、
私が大学教授としての「判断」です。
● 私は、偏差値が若者の「評価基準」と言っているのでは、
決してありません。
●「資本主義」その「サービス産業化」しない大学には、
学部で「学ぶ」べき、真の倫理性と道徳性のある資質です。

なぜなら、
こうしたキーワードを生み出したモンスターとしての
特に経済的資本主義と政治的資本主義支配と制御下での
「次世代の存在性」を問い直したいからです。
つまり、
「資本主義自らが、生産と消費を破壊したこと」が、
こうしたキーワードを下意識主義としていけるだろうか、
ということに、「デザイン」・「かたち」で
応答・回答・解答したいからです。


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『資本主義からの逃走』
 *「かたち=か・かた・たち・かちという代謝性」*


   


     12月 15th, 2009  Posted 9:00 AM

かたち」という言葉を身体化する「いのち」が、
多分、私の生涯になるということは明確です。
次のマトリックスが、私の身体を包んでいます。
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そして、
重要なのは、「か」・「た」・「ち」という平仮名です。
これらの平仮名には由来の漢字=表音性と、
漢字=表意性が日本語には備わっています。
そうした、1文字の組み合わせが、
それぞれの意味と発音によって、
包括性=inclusive性があり、「かたち」の創出である
デザインの意図は、この「包括性」と「要素」に、
根源・由来・原義から効用と効果が求められています。
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「か・かた・かたち論」は、代謝建築論によって、
「かたち」、日本の美学機能を語られました。
私も、学生時代にこの「思考」によって、
デザインの「方」=方向を教えられました。
それからデザイナーとしての経験と医学にて、
「代謝」という「身体生理」で「かたち」の
隠喩性をすべて解放できたと考えています。
いわば「代謝デザイン論」がまとまりました。
結果、私のデザイン、デザイン造形での、
性能性・効能性・機能性を「実務」効果として、
究極の「人工臓器」にまで「かたち論」になりました。
「実務の無い」デザイン論は、「論」でもなく、
まして「学」でもありませんが、
昨今はそうしたことを「デザイン学」と言う傾向です。
こうしたことがデザイン教育だというのは、
「罪悪」であり、「美学」は決して生まれません。


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『資本主義からの逃走』
  「花綵の国のことばには「ち」、
            土地と価値がある」


   


     12月 7th, 2009  Posted 10:00 AM

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日本は、花、その美しさが遺伝子にあります。
無論、花への想いは、どのような民族でも伝統美です。
すでに、忘れられた言葉に、
日本は「花綵の国」と自称していました。
華緤・花綵、まさにこの島国は春には花で絆がり、
四季の花々への愛惜と作法は、日本美の伝統です。
そして、花の美しさとともに、
「日本語」の美しさにも、愛惜と哀惜があります。

私は、「いのち」・「きもち」・「かたち」を
海外でも常にその成り立ちや言葉の要素を語ります。
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それは、「ち」という言葉で決定づけられていることです。
「ち」は、漢字でも、血・智・値・地・・・・と、
いっぱいあります。
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そこから、ち+から(空)=力があり
(空)から+た(田)=体が成り立っていると紹介します。

そこで、
資本論にもどれば、
重要重大なキーワードに、「土地」と「価値」があります。
いずれにも、「ち」があります。
それは、
「土地」と「価値」に資本関係が強く連関しています。
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「土地」=「場」と「価値」=「貨幣」の体系が、
「日本語」では資本主義を借用したり引用するまでもなく、
伝統的、民族的、国家的に、息づいていたのです。
何も、「資本論」も「資本主義」も不必要だったのです。
「花綵の国」の「土地」と「価値」との体系には、
花への愛惜のごとく「思想」だったのです。


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11月12日 Staff Blog


   


     11月 12th, 2009  Posted 10:07 AM

11月12日

金沢美術工芸大学在学中、
ハサミの課題のBOSS(川崎和男)の作品です。
「園児用のハサミ」として、当時から
「安全・安心」性を意図したモノで、
モデルは手づくりでホウの木を削って
作ってあります。
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学生時代に、たくさんの課題に向かい、
徹底的な手の訓練を受けます。
そして、
問題への解答
をだすことができるデザイナーへ!

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金沢美術工芸大学 産業デザイン学科

このハサミはすでに、「園児用」ゆえ
開閉切断で、開閉が制御され、
刃先はカバーされています。
やがて、プロとしてのハサミは
いくつかの海外美術館に
永久収蔵作品となります。

川崎和男・学生時代作品


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『資本主義からの逃走』
  「分断された日本、幾何的空間の中で確認」


   


     11月 12th, 2009  Posted 9:00 AM

幾何学というのは、場所性への思索だと思います。
本来の測地・測量学から場所性検討の経緯があります。
場所性には、三つの定点観測の思考方法でした。

● まず、
その空間がどんな「かたち」なのかということです。
● 次に
その空間でどこに「位置」しているのかです。
● 最後に、
配置という機能を空間に仕組めるかということです。

私は「資本主義をかたち」でとらようとしてきました。
ところが、幾何学でも、近代になって位相幾何学では、
空間性だけではなくて、
時間性での検討に気づきました。
つまり、
時間軸も仕組めるということになっているのです。
したがって、
資本主義を時間軸=歴史で、
配置し直してみることを試みてきました。
この歴史ということも最初に条件を整理してきました。

この整理も、私自身が、幾何学・位相幾何学
最も現代的かつ私の興味の中心には、
「近さ」ということのトポロジーの中に、
私自身を配置するやり方を、
ある意味では横暴に、訴求することで、
資本主義に埋没しかかっている私を見つめ直しました。
すなわち、
日本という空間での私の位置の確認を実例にしました。

私は、今は、特に被害者的に日本を見つめ直すことが、
とても重要だと思っているからです。
それは、戦後、資本主義空間に閉じ込められている私、
結局私たち、日本人が
この空間から逃走しなければ生き延びられないのです。

ともかく、私の位置であり、
日本人の位置を日本の幾何性で確認しているからです。
より具体的には、
もうすでに、私たち日本人は、世界観という空間
世界観という幾何空間での位置、
「生き場所」の認識を
分断した民族にさせられていることに
目覚めなければならないとさえ思っているからです。


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11月5日Staff Blog


   


     11月 5th, 2009  Posted 2:27 PM

11月5日

BOSS(川崎和男)傑作
フラクタス(FLUCTUS)
ラテン語で「波」です。

タケフナイフビレッジの製品の中でも、
最も鮮烈で崇高な造形美を持っています。

サイドビューは面で波を表し、
トップビューは、一本の線、
ラインでグリップの立体感と、
波を表しています!
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BOSS(川崎和男)も、
描き出した時、身震いしたという
トップビューの一本のライン!
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フラクタス(FLUCTUS)は、
四角錐におさめられます。
これは、機織りのシャトルと
同様の技法でつくられました。
今は、生産が難しいので
終了してしまいました。

BOSS(川崎和男)は、
海外ではジーニアス!と、言われてますが、
まさしくジーニアス?と思う1品です。
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11月4日Staff Blog 2/2


   


     11月 4th, 2009  Posted 3:41 PM

11月4日

BOSS(川崎和男)宅で
実際に使用中の包丁は、
越前打刃物 タケフナイフビレッジ
とつくりあげた製品の試作品です。
何度も試作を繰り返されたそうです。

当時、柄まで金属一体で仕上げた刃物は、
ありませんでした。
これは、クレウスシリーズ
試作のため、刃部分の切込みが異なり
試行錯誤がうかがえます。
25年前の試作品!!!
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11月4日Staff Blog 1/2


   


     11月 4th, 2009  Posted 9:51 AM

11月4日

いのちに向き合うデザイン
に懸命なBOSS(川崎和男)です。
人工心臓は3rdモデルの段階です。
人工心臓は、英語で
artificial heartです。
artではじまりartで終わる単語です。
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