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Posts Tagged ‘最高級品’


『今、かたわらにある文庫本と機関誌』


   


     2月 4th, 2019  Posted 12:00 AM

「真理は万人によって求めらることを自らが欲し、
芸術は万人よって愛される事を自らが望む」
これは文庫本に書かれている「読書子に寄す」で、
私自身が最も生きがいにしている言葉です。
私は読書の中で、
最高の友や師との出逢いを重ねています。
今、私の側にある機関誌は、
盟友・松岡正剛のブログが書籍化され文庫本になっています。
さて、『理科の教室』というのはとても明快なタイトルです。
理科は、高校になると物理学・化学・生物学に分化します。
理科に関する学びは、科学的な「理」こだわりがあります。
子どもの頃からほとんどは中学生にかけて本を読んでいました。
ローソクだったり、雪だったり、が面白いと思ったのです。
ウサギの糞を持ち帰ったり、
昆虫、とくに蛾を採集しては綺麗に箱におさめ、
遊びながら本の知識を体感し、
周り、特に母を、少し驚愕させてもいました。
高校時代には、
ノーベル賞者の研究や実績の本を読んだと思います。
それが一応には受験勉強や、将来像を描くこと、
受験勉強はとっても嫌なことではありませんでした。
勉強への取り組みや熱意にマッチングしたのです。
そして、AstonMartinの機関誌では、
早速に「空を飛ぶヴォランテ」が出ていました。
おそらく、これらには地球上で最高級品が並ぶのです。
読書が嫌いとは、人生の真理も芸術も持っていないでしょう。

空を飛ぶヴォランテ

松岡正剛のブログ文庫本


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『羽毛は徹底して廉価商品に騙されないこと』


   


     10月 10th, 2017  Posted 12:00 AM

子どもの頃には近所に綿を打ち直すお店というか工場がありました。
ともかくその工場は綿毛だらけという印象が残っています。
そして、布団は綿を打ち直して、母がコーナーは真綿で包み、
年に一度、仕立て直していました。
そんなことはもはや遠い思い出になっています。
最近では羽毛布団が全盛期ですが、
フェザーあるいはダウンという羽毛でもこの二種があることを知りました。
羽毛布団になっていることは当然であり、
それほど興味があるわけではありませんでしたが、
今ではインテリア用品でも寝具関係は市価があまりにバラバラであり、
羽毛布団と言いながらも、これほど市価に違いが多いのはインチキ臭く、
私にはデザインでの誤魔化しが絶対にあると思っていました。
一般的にはこうした情報不足がとても気になっていたのです。
私自身、寝ることから眠ることはもっと慎重であるべきと思ってきました。
そして、最高級品はいわゆるフェザーではなくてダウンであり、
私はすべてが鳥の羽=フェザーだと思い込んでいました。
先般、羽毛布団の最高級品を初めて知りました。
もう最高級品というと値段のつけようもないほど高額らしいのです。
羽毛布団のランクも次のようだということです。
ダック→グース→マザーグース→アイダーダウン。
このアイダーダックというのはアイスランドで、
卵を温めるアイダーダックの胸の毛を卵を温めるだけの
羽毛であり、アイダーダックの巣に残されたこれを越える羽毛は無いことを
生まれて初めて、しかも本物を触って実感したのです。
羽毛はフェザーで真っ白というイメージは、深夜のTV通販程度の情報で、
私たちは間違っているのです。
私にとっては、座るというのは毎日車イスなので、
そのシートデザインにはもう40年も拘ってきました。
そしてただウレタンフォームで包まれているだけのソファーが、
その製品性能が根本的に間違っていること、
ウレタンフォームは経年変化があって廉価なモノづくりではこうしたモノが
氾濫し過ぎていると思います。
こうしたことを特にデザイナーは要注意すべきです。
そうした意味でもアイダーダックの羽毛を触って実感したことは、
デザイナーにとって大変な経験でした。

* 『泡=うたかたの機能性には確約がある』
* 『経年変化無し素材開発と道具使用を次世代に』
* 『枕革新をねらう羽二重からの新素材デザイン』
* 『ブランドならばスター商品=カネのなる木商品です』
* 『ツバメの巣、それが福祉の象徴です』


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『ワインはセンスを決めるひとつのアイテムだ』


   


     8月 15th, 2017  Posted 12:00 AM

車倚子生活を余儀なくされた私は、
リハビリ病院はおそらく最も短期でそこを退院しました。
退院するとそのまますぐに東京プリンスホテルに入りました。
それには二つの意味がありました。
40歳までの余命と言われた私は、
自動車(モンザ)の運転練習とワインの味を暗記するためでした。
東京プリンスホテルはほぼ20年ほど利用したのです。
ホテルでのワインはどれも好きにはなりませんでしたが、
ホテル内でエルメスや高級ブランド品を識りました。
しかし、最初にJALのファーストクラスで渡米したとき、
カリフォルニア産「ベリンジャー」に出会って驚愕し好きになりました。
現在のファーストクラスはJALもANAも食事アイテムランクが落ちています。
結局ワインは育成風土によるとの判断で国産の方がいいことを知りました。
ワインを教えられたのは、
「フランスにおける日本年」に日本代表で招待されて、
丸一日ワイングラスへのワインの垂れ流れ方:Jambsでの品評など習ました。
そして、ワインといえば最高級品は「ロマネ・コンティ」でしたが、
私が心酔し出したカリフォルニア産にそれに匹敵する「カレラ」を知りました。
もうひとつは、なんといっても映画007ではおなじみの「ボインジェ」は、
ワイン収集の要になったのです。
子どもの頃には、赤玉ポートワインと言われていたモノが、
今では高級な飲み物としてその選別は香水やファッション性を持っています。
それゆえに、私はワイン・香水・酒・葉巻などは、
オーディオや車・カメラ・万年筆と同格のモノであり、
センスを極める、そのようなモノだと想っています。

* 『酒、現在はジンの効能性=社会的存在価値について』
* 「酒とタバコと、そして・・・」
* 「ソムリエナイフの歴史的進化は普遍的です」
* 「カメラ修行は今なお・・・」
* 『アナログプレーヤーは45回転がふさわしい』


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『ブランドならばスター商品=カネのなる木商品です』


   


     8月 11th, 2017  Posted 12:00 AM

先般、次世代のもう著名なデザイナーながら、
1999年ワインをセレクトして夕食をした彼へのプレゼントです。
おそらく「エルメス」と言えば、
高級ブランドとしては最高級品を商品展開しています。
が、このブランドこそ多分、商品展開ではお手本にすべき企業目標でしょう。
モノとしては、千代紙をランチョンマットに過ぎませんが、
いわゆるブランド戦略としてのモノづくりの上手さは見習うべきでしょう。
しかし、このブランド展開では知られていないことが結構あります。
企業のデザイン戦略としては、
何と言っても「環境保全」へのメーカー支援はほとんど知られていません。
それはブランドとしての皮革製品での皮革が地球環境を大事にしながらも
とても危うくなっていることです。
さらに特許件数は数年前もフランスではトップ企業です。
そうして世界の伝統工芸、その技量表現を必ず彼らは商品へ持ちこみます。
若い頃、Tシャツを買い求めて仰天したのです。
 3000円でも高いと思っていたら、
「お客さま、これがお値段です」
「えっ、30000円?」
これがこのブランドとの最初の出会いでした。
したがって、私デザインの伝統工芸への品質完全はこのブランド方式を
徹底的に守ることにしています。
商品は四つに分類することが出来ます。
スター商品=そのブランドを決定する商品であり、売れる売れないは無関係
金のなる木商品=このメーカーの経営を成立させている企業利潤を決定
問題児商品=時代性を失っていく商品で、大抵はバーゲン商品になります。
負け犬商品=もはやブランドでは在庫品になってしまう商品価値皆無です。
エルメスはスター商品がそのまま金のなる木商品なのです。
したがって、単なる千代紙的なこのマット商品ですが、
この商品価値と商品展開の情報化と環境保全は学ぶべきでしょう。

#designはジャンポオロ・パニ

* 「ブランド の表現統一には、センスと見識あるディレクターが必然」
* 『スイスの時計業界のしたたかな強さについて』
* 「『青の物語り』陶磁器の精彩な仕上げ進化」
* 「世界の伝統工芸技術を取り込むブランド姿勢」
* 『ロラン・バルトの言説の断片は章立て連続の時代だ』


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『たかがボールペンだからファッション性がある』


   


     8月 26th, 2016  Posted 12:00 AM

おそらく文具屋さんのこうしたペン類をすべて試すことはないでしょうが、
自分は全てノックオンなどと書き味と書き心地を試してしまいます。
ともかく日本ほどこうしたペン類がそろっているところは
世界にもそうないでしょう。
ということは、日本人はとても恵まれています。
しかしプロのデザイナーとしては全てが応答商品にすぎないと考えています。
最も日本が解答商品を出したのは、「消えるボールペン」でした。
海外へのお土産には最高のモノです。
最近は0.01mmを造りましたが、これは回答商品と応答商品があります。
どれが応答で、どのメーカーのモノが回答商品かというのは、
話題になること・Topicsに応答している・Replyかは、試してください。
回答商品は、3種しかありません。
 ・キャップを外して使用するモノ
 ・ノックオンして芯を出し入れするモノ
 ・軸を回転させるだけのモノ、だけです。
最も、軸を引き延ばすことで芯が出てくるモノもありますが、
すべてが廉価品であり、100円ショップに平然と並んでいるモノもあります。
こうしたペン類は、所詮、何のためらいもなく使われていますが、
自分は、こうしたペン類の最高級品・高額品が日本にはほとんど無いこと、
これがこの業界を応答商品か回答商品で終わらせていると思っています。
実際は、ペンを持つこととファッション性があるということが大事です。
ある企業の社長は専務が取り出したボールペンに怒り出したことがありました。
専務ならそんなボールペンは使うべきでは無いということでした。
ある企業のプレゼルームでは、最終契約を結ぶ時には、
最高級品のボールペンと契約書が出され、
そのボールペンはプレゼントされました。
ホテルのバトラーの方が、これでサインをと言われたとき、
これはあのブランドですね、と言うと、
分かってもらえました、と、喜ばれたことがあります。
ペンとファッションが同一次元だと考えるべきと自分は思っています。

* 「ブルーを持ち歩くというファッションとデザイン効果」
* 「消える?という精美さ・日本のモノづくり」
* 『ボールペンとスタイラス・私の親しんだ描画ペン』
* 『葉巻文化と筆記具文化の統合性は凄いのだ!』
* 「現代文房具はどうして面白いのか」


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『越前和紙こそ、紙の文化を再活性できるはずだ』


   


     8月 8th, 2016  Posted 12:00 AM

「紙」は日本の文化の産物です。
それは和紙にその根幹があります。
ところがユネスコ遺産に、越前和紙が選ばれなかったということは、
本来1500年の和紙文化という継承性に対し、
日本の国家の勝手な制限制度によって、
和紙産地はまるで破壊されたようなものだったと思っています。
和紙づくりは越前の山奥で始まったと言われています。
川上御前という女性が突然現れて和紙づくりを教えたという
このような逸話が残っていますが、これは想像です、
多分、飢餓で苦しんでいる山奥の里に朝鮮からの誰かがおしえたのでしょう。
30代の自分は、福井県越前市の山里に「森羅万象悉く紙なり」という
このコピーでオータキペーパーランドという産地ブランドづくりに必死でした。
無念ながら、この産地活性化は成功せずに終わりましたが、
和紙そして紙への知識と見識をデザイナーとして一杯得ることができました。
越前和紙をレンブラントが使っていたということも最近は分かりました。
折角、日本の紙の原点である越前和紙をなんとしても駆使しようという
その動きが出てきました。
そこで、「大学ノート」と言われるいわゆる学習帳面に、
その最高級品で1000年は大丈夫という大学ノートに仕立てた
大学ノート様式の非売品をいただきました。
帳面ゆえ相当に廉価である必要があります。
確かにとても高額なノートもあるだけに、大学ノート仕様では
とても市場性はありませんが、自分自身がアドバイスを考えて、
なんとしても世界に誇れる紙を越前和紙からと思っています。
なにしろ、100円ショップで事足りてしまう大学ノートのままでは
とても商品、その価値創出はほとんど困難であり、最近では石灰からの紙も
そして古紙から10回もリサイクルし、しかも水無しでの紙が創られる時代です。
紙づくりには、水をどれだけ必要とするのかとか、
リサイクル性が要請されています。
それ以上に「書き心地」の大問題があります。
鉛筆、サインペン、ボールペン、筆、万年筆での書き心地です。
そうゆう意味では越前和紙はまだまだこのように一応大学ノートで、
という開発が見えてきたようです。
デザイナーとして最高のアドバイスを与えたいと考えています。

* 『和紙は越前和紙ぬきになぜ語れるのだろう!?』
* 「越前和紙から名塩和紙への悲しい物語り」
* 『納得出来ない日本の伝統技=和紙の切り売りと分断化』
* 『越前和紙に私専用を特注、なぜなら伝統の技能だから』
* 『やわらかい美しさのあるノート』


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「ブランドが新素材カーボンに取り組んだとき」


   


     9月 28th, 2012  Posted 12:00 AM

カーボン素材は、歓迎された割には展開が稀少なモノです。
私も車椅子の開発ではカーボン素材と相当に格闘した経験があります。
カーボンは、確かに「夢の素材」とずーっと言われてきた割には、
製品展開が限られています。
当然、このブランドはいち早く、ビジネスバッグにしました。
平面的な取り扱いで、その裏面処理は困難だったはずです。
しかし、このブランドならではの皮革が、
バッグ内面に接着と縫製で見事に仕上げています。
おそらく、ビジネスバッグの中でも、
最高級品・最高価格のモノにならざるをえなかったと考えます。
製品開発においてデザイナーの希望は常に「新素材」を選ぶことです。
そして、たいていは諦めを余儀なくされます。
理由は、とても普及価格になるはずがありません。
たとえば「チタン」、
これは軽量ですが、表面処理が限られ、しかも溶接となれば、
それだけの製造工程を新設と技能が要求されます。
たとえば「マグネシウム合金」、
これも、生産工程での発火対策が完備されなくては不可能です。
たとえば「ボロン」、
これはあるべき素材と言われながらも、
未だに大量生産されても「何に展開可能か」という発想が不足しています。
よって、存在しない素材と言ってもいいでしょう。
そうなると、カーボン素材をどれだけ高額商品になっても、実現できうる、
それが「ブランド力」そのものを証明しています。
もう一回り大きいサイズがありますが、ほとんど限定生産でした。
今でも、カーボンとなれば、その商品は限定されていますが、
その最終仕上げは、
このバッグを超えているモノは皆無といっていいでしょう。
このバッグは相当に使ってきました。
結果、一度、ヒンジ部位が壊れました。
修理に出してみて理解できたことは、
まるで新品のごとく
不具合な要求していないことも完全に修繕されていました。
「ブランド力」とは、たとえ高額商品になったとしても、
市場を必ず持ち得るユーザーを見込んで
「企画製造・計画製造」が出来るかどうかでしょう。
私の体験では、エンジニアの理想を展開して、
最高価格帯商品を発売したところ、それは予測以上にヒットしました。
それも「新素材」を選んだ製品開発の結果でした。


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「パーカー『5th』という筆記具の進化」


   


     12月 17th, 2011  Posted 12:00 AM

高校入学の祝いに、父から腕時計と母から万年筆、
なんだか大人になったと自覚したものです。
だから、腕時計、万年筆への物欲は激しく収集癖になっています。
万年筆について、時計について、
私は講演をしてみたいと思うほど丹念に集め追いかけてきました。
そろそろこの収集癖を辞めるとワイフに宣言し決意もしています。
けれどもいつも10本は持ち歩いています。
母からもらった最初の万年筆が「パーカー」でした。
当時、海外ブランド万年筆で知っている唯一のメーカーでした。
とりあえず今なら、パーカーのデュオフォールドシリーズなら、
写真の右二つが所有感を満たしてくれるモノです。
そして、パーカーの万年筆とボールペンもローラーボールなら、
この二本を選別しなければ「センス無し」ということになるでしょう。
そのパーカーが、『5th』シリーズを出しました。
21000円という普及品タイプです。
21世紀の筆記具を革新したものと評価しています。
すでにこのシリーズは売り切れ続出であり、
知っている連中はすべてを収集しているようです。
デザイナーの私からすれば、「やられた!」と思います。
このような解決方法があったのだということです。
国内メーカーも100年になる企業があります。
サミットなどの国際会議では、万年筆は重要な記念アイテムです。
洞爺湖サミットでも国内メーカーのモノが記念品になりましたが、
私は、ペン軸の陶磁器仕上げに愕然としたものです。
日本のボールペン技術進化は世界でもトップクラスですが、
最高級品ということでは、発想が閉じこもっています。
万年筆のペンでもなく、ボールペン、ローラーボール、
そのようなペン先を5thシリーズは革新させました。
万年筆でも1億円のモノがあります。
2000万円クラスは毎年新作が出てくる世界です。
しかし日本ではありえません。
そこまでのブランド力がメーカーにはないでしょう。
技術があってもブランド・デザイン力が育っていないからです。
無論、インクの質も日本は最高級のモノがそれも地方にありますが、
このようなペン先、インク、書き味などの革新はありませんでした。
おそらくこのシリーズの登場で筆記具は進化をまた開始するでしょう。
万年筆でスケッチをと考えていましたがこの発想に至りませんでした。
ということで、収集品について書かないつもりでしたが、
このシリーズは書き心地を試されるといいでしょう。

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