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「資本主義からの逃走」
  「革新が始まっているから、私の『夢の形見』を」


   


     2月 7th, 2011  Posted 12:00 AM

文明と文化の共時的変革時
21世紀ようやく11年目です。
20世紀もそうだったように変革の時のようです。
文明と文化が共時的に変革してきています。
政治は、いかにも民主主義と言われてきた「共和制」も限界でしょうか。
エジプトから今後も、とてつもなく悲惨な実例が増えるでしょう。
翻って、技術も、「ムーアの法則」が限界かもしれません。
ムーアの法則も当然ながら、彼の先験的思想性からはいっぱい学んで来たと思います。
講演でも引用させてもらってきました。
特に、「土」=シリコン・「ガラス」=光ファイバー・「空気」=internet、
この基調講演を1992年・箱根で聞いた時のショックはここでも書いてきました。
そして、今や、ムーアの法則でのLSIなどチップも3D化技術に向かっていますが、
これも新たな展開で変革するでしょう。
さらに、驚愕するいくつかの技術開発をデザイナー・大学人として直面しています。
しかし一方では、このような大きな変革が地球環境の「破壊」だと勘違いしている言説もあります。
功罪相反なれど理想主義を
結局は、歴史が事実をジャーナルとして証拠立ててくれるでしょう。
そして、次のような言説は最も信頼できません。
結果をこの上ない悪罪として、
近未来を語ろうとするジャーナリズムの言論人(かっては羽織ゴロだった人)です。
所詮、人間は完全ではありませんから、「功罪相半ば」が人間の歴史をつないできてくれました。
当然、「功罪」があろうが、今日より明日に理想をということになれば、
私は、理想主義としての「革新」を求めたいという立場です。
無論、「保守」としての伝統との中庸も私の一義です。
このところ、実現は50年後かもしれないデザインに自分を立ち向かわせています。
それは、近未来への革新をつないでいくことになるという想像です。
実現の日を、私は見ることはできないかもしれませんが、
私なりに「夢の形見」を描き残したいと願っています。


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「資本主義からの逃走」
   「無線化の文明開化へ・WiFiがめざすこと」


   


     2月 6th, 2011  Posted 12:13 AM

Uコン・ラジコンへの興味
少年時代は模型飛行機づくりとその飛行に熱中。
ゴム駆動模型飛行機での競技大会によく参加しました。
ゴムはポマードを塗って回転性能を上げ、まず垂直に上昇させます。
そして、ゴム巻き駆動が終われば、
ゴムは落下して、後はグライダーのように空中滞在時間を競うものでした。
新聞社主催のこのコンテストでしたが、さらに憧れて見ていたのが、
「Uコン」と言われる有線でのエンジン模型飛行機競技でした。
それが進化して、無線でのラジコンになると、
大人になったらあれを買って組み立てて競技会に出たいと思っていたものでした。
友達には、、ハム(アマチュア)無線で免許を取るのに夢中だった友人もいたものです。
私は、それよりも3球スーパーラジオづくりからトランジスターラジオづくりでした。
5球スーパーには興味がありませんでした。それよりもオーディオに興味が変遷しました。
オーディオの無線化は、BeoLinkが最初に登場して、音響から照明までが可能ということで、
そのリモコンのデザインがこれまたデザイナーをうならせるモノでした。
すでに生産中止になっていますが、オークションで収集品にしています。
無線化という文明開化
ともかく、「無線」=ワイヤレスには巨大な将来構想が生まれます。
今では、ホーム内がWiFi-Netwaorkとなって、InternetとTV-Linkが可能になってきましたが、
さらに「無線化」を私自身、もっとも望んでいます。
そして、無線化の目標は、「電源供給を無線化」することになるだろうと思います。
これが、無線化の文明開化かもしれません。


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「資本主義からの逃走」
   「見えないコト・モノのデザイン情報、音響と映像」


   


     2月 5th, 2011  Posted 12:00 AM

音響と映像へ・見えないシステム
デザイン情報と情報デザインは使い分けます。
デザイナーをめざして、美大時代に決めたこと。
それは、「見えない物事」をデザインしたい。
選んだのが「音」でした。
モノとしては音響機器をインハウスデザイナー時代に携わりました。
コトは、音響、音楽を聴くという状況のデザインでした。
東芝でAurexブランドの立ち上げから、
Aurexブランド製品開発から商品展開・国内のメイン都市にはショールーム設計まで経験できました。
さらには、東芝EMIでは録音技術・ミキシングも学ぶことができました。
バイノーラルレコードや、45回転LPのディレクターもできました。
ちょっと自慢すると、バイノーラルレコードを日本で最初にLPレコードにしたのは私であり、
日本のレコーディング記録に残っています。
ともかく、オーディオをプロとして学び、設計し、商品という作品を残せたことは幸運でした。
オーディオに関しては最も詳しくなり、今では第一の趣味は音響システムです。
自宅もオーディオ中心で、すべての部屋をリンクしています。
そして今や、もうCD試聴の時代が終わろうとしていることです。
さらに、ホームシアターとしてのN.n-channelを求めています。
こうしたモノとコトを音響と映像に向けて考えることは私の人生では大きなことです。
日常、自宅で音響さらに映像を試していることは「デザイン情報」だと考えています。
「デザイン情報」として、音響と映像のモノ・コトを見つめると、
国内外メーカーの商品やそのシステムにはまったく満足できません。


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「資本主義からの逃走」
  「再生音源形態の進化と進歩に可視化を再確認」


   


     2月 4th, 2011  Posted 1:52 AM

進化・進歩
進化と進歩には違いがあります。
進化とはevolutionであり、
進歩とはadvanced、progress、improvementです。
和英を対照化すれば違いのニュアンスがわかると思います。
音源は、エジソンの蓄音機からスタートしました。
これは円筒形に刻まれた振動を再現する装置でした。
これがEPやLPというレコード盤に進化しました。
テープに音源が記録と再生のテープレコダーは、
カセットテープに進歩します。
CDも登場します。これは進化でした。
ところで、CDが直径11.5cmは、カセットテープの対角線と同じです。
これは人間が親指と人差し指で挟める幅の長さになっています。
ここで、最初のエジソンの「円筒形」を基本に見ていくと、
次のようなことが「形態発生論」的に見つけることができます。
円筒形を細幅テープ状にしたものが、テープ、カセットテープに進歩しました。
円筒形の断面が円盤です。
この円盤に溝があるのがレコード盤に進歩し、
円盤にデジタル信号が配列されたのがCDという進化でした。
そして、音源はこの形態発生的に大革新が起こりました。
これがシリコンメモリーです。
音源の進化と進歩は、物質形体の円筒形・テープ・円盤に、
アナログとデジタルの配列で、決定されてきたことになります。
見えなくなる・かたち
これらの形態的な配列は物質上で進化と進歩が、
歴史的に連鎖してきたわけです。
そうして、デジタル配列が物質を離れて、「情報化」されたとき、
音源は、すでに「見えない存在」になってしまったということです。
私が、あらためて、進化と進歩をもう一度確認する事例を「音源」の系譜で再確認しました。
物質・情報・エネルギー、
それぞれに「可視化」と「見えなくなるかたち」を追いかけてみたいと考えています。


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「資本主義からの逃走」
「N.1chのホームシアターは機能設計自体が間違い」


   


     2月 3rd, 2011  Posted 12:19 AM

地デジとN.1ch
間もなく「地デジ」が施行されます。
以前から、2011年7月からとTV告知盛んでした。
あと半年になりました。
私自身は、TV映像からHD映像のモニターデザインをしてきました。
私自身の日常生活でも、アナログとデジタルを取り入れてきました。
年末には、いわゆるホームシアターを5.1chから7.1chに組み直しました。
スタッフが手伝ってくれました。
スタッフもデザイナーであり、HD機器デザインの経験があります。
ところが現在、市販されているTV各社の設置、コネクションからネットワーク化はとても難しく、
一般ユーザーに可能だろうか、と思うほどでした。
ホームシアター専門店の日本ではトップクラスのオーナーと半日、
国内外のメーカーのこうした対応について話し合いました。
結論は、まず、これまでのようにただTVを電源とアンテナだけでは設置は終わらず、
ネットワーク知識やオーディオ知識が相当に求められること。
しかも、販売店でもこれに長けている所は限られているということでした。
そして、各社それぞれが自社だけのリンキングしか考えていないために、
その共有化としての本格的なネットワークは不備過ぎるということに’なりました。
私自身自宅内のWiFi環境でいくつかのメーカーをシステム化することは不可能だと思っています。
さらにオーディオでの7.1chは根本的に間違っていると判断しています。
海外・国内すべてのメーカーにおいて、
私は新たなホームシアターにとどまらないホームオートメーションのコンセプトが
本当に必要な時代になってきたと考えています。


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「資本主義からの逃走」
「デジタルファッションサイボーグ化・『夢の形見』の予知」


   


     2月 2nd, 2011  Posted 2:19 AM

ファッションアイテムのデジタル化
身につけるハードウエアの変貌。
私たちが身体化し携帯してきたモノ。
まず、腕時計があります。
さらに、メガネ、ブレスレット、指輪などです。
私はブレスレットも指輪も大好きですが、
ブレスレットも金属や貴石や新たな仕掛けがある健康バンドなどファッションアイテムは、
ある種の流行があります。
この流行感覚を観て、私は自分が取り入れることには何の抵抗もありません。
メガネは私のデザイン対象としてもう20数年以上「商品化デザイン」してきました。
さらに、iPodやiPhoneの周辺では、
ヘッドホンやイヤーホンは収集もすれば性能確認も私の趣味にもなっています。
とりわけ、ヘッドホンは東芝時代に相当の想いで製品開発や商品展開をしてきたので、
専門知識も評価判断力もあると自負しています。
ヘッドセットは、まだ日本ではビジネス現場ではファッション化していません。
おそらく私はこれから、
TVドラマで使用されてくれば流行ファッション化していくと確信しています。
ヘッドセットとブレスレットバイブレータは
これから必需品になるのではないかとさえ思っています。
ケータイはやはり着信音よりもブレスレットバイブレータがマナーになってほしいのです。
私はこの数年、メガネもどうやってレンズから解放されるべきかと
アドバンスデザインを開発してきました。
瞬きで、デジタルカメラを携帯しないで日常化させたい想いがあります。
私は、こうした身体化・携帯する・身に付ける、
そんなファッションが「デジタル化」されることをデザイナーとして望んでいます。
これは、Ambient Allianceをデザイナー意図として目論んでいることです。
倉俣史朗作品「クピド」の予知
さらにこうしたことはロボティックス・サイボーグ化していくことを
私自身もきっと望んでいるのでしょう。
倉俣史朗先生の作品に、キューピー人形「クピド」というゼンマイ仕掛けの作品、
それもレントゲン写真でも表現したモノがあります。
これは、夭逝したデザイナーの想像力が、
実は現代を予知していたアドバンスデザイン作品だったと私は考えてきました。
しかも彼のモノローグに「不発かもしれない・・・」という言葉を思い出します。
かってのデザイン評論連載は、最初がこの「クピド」評論から書き始めています。
今、明確に、倉俣先生の命日に私の評論は重なっていたことを確かめている次第です。


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「資本主義からの逃走」
 「故倉俣史朗先生、夭逝から20年待つことが啓示だった」


   


     2月 1st, 2011  Posted 12:36 AM

『夢の形見に』
20年、あっという間でした。
世界的インテリアデザイナー・故倉俣史朗先生の20周忌です。
1991年2月1日夭逝されました。
「倉俣という者ですが・・・」と電話を受けました。
「倉俣・・・・さんですか、どちらの・・?」
「倉俣史朗と申します」
「・・・!、エッ、ぁの、倉俣・・・・先生ですか?」
私は本当にもうとてもびっくりしました。
私を毎日デザイン賞の候補に選んだので、
いくつかの写真を送ってほしいという電話を受けたのです。
その年、候補になってそのまま受賞が内定しました。
私は、正式な発表を受けた夜に毛筆でしっかりと手紙を書き、喜びと感謝を述べて送付しました。
今度は、倉俣夫人から電話を受けました。
確かに手紙を受け取りました。
しかし、倉俣は昨日亡くなり、手紙は棺に納めたとのことでした。
おそらく、私の生涯でこれほどまた驚いたことはありませんでした。
私は授賞式で、倉俣先生への感謝を伝えようとしたら、もう胸がいっぱいで大泣き寸前でした。
倉俣夫人から、1本のビデオテープとともに評論を書いてほしいと依頼されました。
デザイン誌「AXIS」にて、20回連載をしました。
正直、3ヶ月かけて準備をしての連載は、
先生の作品から自分が何を学びデザインと結びつける作業は、
全身全霊、肉体と精神をとことん絞りきる作業は20回が限界でした。
『夢の形見に』と題したこの連載をなんとか上梓しようとしましたが、
デザイン評論を引き受けてもらえる出版社はありませんでした。
ところが、昨年、ある出版社から引き受けたいという申し出を受けました。
20年間という啓示
私は20年が必要だったのだと思っています。
あらためて、校正をし直して20周忌に出版できることは、大きな啓示かもしれません。

スタッフ追記
2011年6月4日より、「倉俣史朗のデザイン 夢の形見に」として
ミネルヴァ書房より出版いたしました。
7月15日には出版記念講演を予定しております。
詳しくはこちらよりどうぞ。


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「資本主義からの逃走」
  「Ambient-Allianceは車社会を変える」


   


     1月 31st, 2011  Posted 12:28 AM

車・車社会の一変
身辺情報環境の変革が起こるでしょう。
新たなハードウエアが発明されるでしょう。
これがAmbient Allianceです。
分かりやすいのは車と車社会で予想可能です。
すでに車は大きな変革が起こっています。
そしてこの変革は車という運転環境がデジタル変革することです。
ただし、現在の車メーカーは、新たな企業の登場と車の社会基盤によって、
私たちの想像を超えると私は思っています。
無論、駆動エネルギーの供給からエンジンは大変革するでしょう。
そうなれば、車のデザインは全く変わるはずです。
これは、現在の車種アイテムが一新することになり、
そうなれば市場開発や貿易形式まで新展開、
これこそビジネスデザインモデルが必要ということです。
カーデザイナーであるための知識とデザイン設計技法も変わります。
社会ソフト提携構造が導くこと
もう一度、私の定義を確認すれば、
「Ambient Allianceというのは、デジタルハードが社会ソフトの提携構造」です。
そして、車環境のAmbient Allianceは、個人的な所有観は希薄になるかもしれません。
資本主義産業の代表であった車は、使用観がきわめて匿名化される要因要素に進化するでしょう。
Facebookが実名主義になっていることを考えれば、
新たなソーシャル・カーシステムの匿名主義は、
資本主義というより社会主義様的な構造の介入によって、
資本主義の変質から終焉になる気がしてなりません。
Ambient Allianceが社会を導くことでの反射構造だと私は考えます。


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「資本主義からの逃走」
「Ambient-Allianceの再定義が次世代ネットワークを明示」


   


     1月 30th, 2011  Posted 12:00 AM

身体周辺のモノ環境=Ambient
Ambientととは環境や身辺周辺のことです。
さて、私たちの身辺での機器はとなるとまず腕時計です。
おそらく腕時計をしない人はケータイでしょう。
無論二つとも身につけていない人もいます。
外出すれば、必ず、シューズとその人なりのファッションは身につけています。
私の場合は、ケータイ・腕時計・メガネ・指輪・ブレスレットはもちろん。
最近ではヘッドセット・着信バイブレータブレスレットまで自分の身につけています。
こうしたモノが私のいわばAmbientであり、そのAmbientを拡大する日常環境があるというわけです。
デジタルでネットワーク環境ということが集約されているモノとなれば、
それはケータイが最も身体的な近接感・密接感があるはずです。
具体的なAmbientは、ケータイであり、このケータイでネットワークされている人間関係です。

Ambient定義
「Ambientとは、現在は進化途上のデジタル携帯機器が
その所有者と使用者の社会関係を結ぶことであり、
その近接感=Proxemicsという環境性」
Ambient Alliance定義
「Ambient Allianceというのは、
デジタルハードが社会的なソフトな協調関係」


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「資本主義からの逃走」
「Ambient-Allianceがライフスタイル構造を決定」


   


     1月 29th, 2011  Posted 12:00 AM

日常生活の形式+内容の激変

デジタル社会構造が決定していくこと。
Internetの構成構造が既存社会を自然改変。

上記二つの構造社会で人間関係が変化すれば、
人間各個人、それぞれの人格形成にも異変は必ず来たるかも知れない。
いや変わらない人もいれば、まったく変わってしまう人が混在するでしょう。
社会構造が様々な「次元」変化を起こすことが予想されます。
私はデザイナーですが、「次元」と「空間」というキーワードをある学域から引用するとき、
実際は、ある学域の「想像力による予想」、
その抽象性が見事に現実・日常生活を隠喩化しているものと解釈しています。
ある学域は、抽象的な術語や記号で、
「次元」・「空間」・「位相」等に組み合わされた「ことば」とその具体的な表象物で、
必ず日常生活の形式+内容=ライフスタイルを変貌させることを示唆しています。
したがって、そのライフスタイルを構造づける「生産と消費」が社会構造・人間関係・個人、
それぞれの価値観を変えるでしょう。
ところがすでに「生産と消費」の構造そのものが毎日変化していると言っても過言ではありません。
次のようなエピソードから、自分の共時性を再考してみたいと思います。

 ■ デパート=百貨店という店舗が社会に登場した時代が終わるでしょう。
 ■ 今、街中にコンビニがあります。
 ■ このコンビニが進化すれば、台所は無くなるかも知れません。
 ■ 宅配便が物を届けてくれます。
 ■ いや、データ転送で自宅の一画で衣服が作れるかもしれません。
 ■ もはや、レンタルビデオよりネット配信で映画を見ます。

「Ambient-Alliance」
そして、私たちが、ケータイやメールでは無い、
新たなコミュニケーション方法を手に入れることになるでしょう。
私は、こうしたことがらを「Ambient-Alliance」とひとまず名付けているのです。
今、Cloud ComputingとSocial Networkは、最初の形式だと思います。


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