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「スピーカー企業の社長は学者であった」


   


     7月 15th, 2013  Posted 12:00 AM

私の愛車SL-500はBOSEのスピーカーです。
正直、BOSEのスピーカーはマニアにとってはやや・・・でした。
BOSE日本支社から、依頼がありました。
スタッフに言いました。
「BOSEのスピーカーは、やりたくないよ」って。
違いました。私への依頼は、
「日本にデザイナーなのに人工心臓をやっているらしい」、と。
日本支社長は阪大で医学系の教授たちとも会いたい、という依頼。
大阪大学附属病院の会議室で、ボーズ社の真実がプレゼンされ、
それは医療機器や振動抑制装置でした。
阪大はその装置導入にあたって、ボーズ氏来日講演を依頼。
しかし、彼の来日は高齢であり、スピーカーではないことを強調。
「彼はMITの学長候補を断り続けている」という話を伺いました。
スピーカーメーカーの利益は全て彼の研究資金であり、
万一、MIT学長になれば、その利益は大学に差し出すこと。
そのような話を聞き、スピーカーが世界的にヒットしたのは、
この日本であって、ボーズ=坊主のイメージ脱却の苦労話でした。
彼の教え子はすべて医療機器の研究者であり、
FDAの担当者は彼がリーダーだと教えられました。
やがて、そのスピーカーそのものも日本で生産されていました。
つい最近その生産を解消したことも知りました。
日本でボーズを成功させた社長も引退されましたが、
結局、その経営手腕はある大手の通信販売企業社長をしています。
それでも、私はボーズの超小型スピーカーをじっくり検証して、
当時、EIZOのたった400ccのエンクロージャーでの
f0を絶対に80MHzにする方法に苦しみました。
そこで、思い切って、ボーズ社の日本支社長に聞きました。
「本当は教えてあげられないけれど・・・」と言いながら、
そうなのか!、を知りました。
一度、米国に会いにいく約束を伝えてもらいました。
やはり、別れの時期が来るのです。
彼は逝きました。
参考になる超小型スピーカーをいただきました。
そのような出会いのあとにSL-500の音響は精度を上げました。
合掌。


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「進化著しいスピーカーシステム」


   


     9月 2nd, 2012  Posted 12:04 AM

私はスピーカーシステムには病的なほど拘りがあります。
IPadやiPhoneはすっかり音楽視聴のスタイルを革新してくれました。
かつては小型スピーカーシステムは、
「ブックシェルフ」と読んで、書棚に収めて配置するモノでした。
いくつかの名作があります。
故・瀬川冬樹先生にJBL4343と聴き比べて紹介された製品は
もう使えませんがまだ所有しているほどです。
最近では、この一体化したステレオスピーカーユニットになりました。
この二つは、音楽を使う小さな教室では十分な音圧と再生が可能です。
海外ブランドで著名なモノも結構、日本製ですが、
このメーカー・Jawboneはヘッドセットからスタートしましたが、
デザインの緻密さと正当性は高い評価を得てから、
とうとうスピーカーメーカーに進化しました。
JAMBOXは周波数特性もあるメーカーに依頼して測定したもらいました。
想像どおりでしたから、B&W zeppelin airにはおよびませんでしたが、
なかなかの特性を持っていました。
私が小型スピーカーでは、特にf0に拘っています。
ところが最近の商品カタログではこの性能記述無しを見かけますし、
ショールームでも答えられない店員さんが増えています。
確実にHi-Fiスピーカーシステムと呼んでいいと評価しています。
講演会などでは、
本格的なJBLやBOSEなどを
PAシステムまでスタッフが持ち込んでいましたが、
これからは、BIG JAMBOXで十分かも知れません。
ワイフは自分の講義では、iPadとBIG JAMBOX-Redを使っています。
今は、このBIG JAMBOXをいくつか会場に配置すれば、
それなりの「音場効果」が出るのではないかと模索中です。
それにしても、Jawbone社のモノづくりは、
商品デザインとして本当にまとまっていると評価しています。


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「音からデザイン役割を語る基礎として」


   


     2月 23rd, 2012  Posted 12:00 AM

通称「ロクハン」と呼ばれるスピーカーユニットがあります。
口径16cmのフルレンジ=音響再生領域が満遍なく
フラットなスピーカーユニットのことです。
人間が聞こえる可聴領域があります。
可視光線の領域のようなものですが、
最低音f0が40Hzあたりから高音域20kHzまでがあれば十分なわけです。
そしてこの領域の音圧がすべてフラットな音の再生が重要と言われてます。
しかしマニアックには、このフラットさに、
それぞれの音楽領域、ジャズとクラッシックを再生するとなれば、
フラットではなく、ある再生音響領域にだけピーク値や谷を求めます。
それがスピーカーメーカーの特色になります。
ジャズならJBLで、
クラッシックならタンノイという迷信があります。
私は迷信だと思っていますしそれはアナログ時代のことです。
今はデジタル再生ですからこの考え方はもう時代遅れです。
そして、フルレンジそれも「ロクハン」ともなれば、
卒業研究と卒業制作ではコーラルのロクハンからスタートした私が、
東芝時代にこのロクハンをデザインで追いかけていました。
つまり、フルレンジではf0=80Hzですら再生は難しいのですが、
基音の倍音ということで、耳はあたかも低音を再現してくれるのです。
ハーモニクスな状態で身体を包んでくれる心地よさです。
私は、基音が適えば=基礎が全うなら、
すべてをフル稼働=フル機能化実現につながると考えています。
それは自分がロクハンというフルレンジスピーカー、
そのもののデザインを素材選定から構造化してきた経験があるからです。
日本は1970年代から80年代に蓄積してきた音響設計経験を失いました。
この経験則をさらに積み上げてきた欧米は、
今、映像と音響の新たな世界観を商品化しています。
その製造生産技術を中国も積み上げてきました。
それでも、日本ならではのある素材運用技術はまだ残っています。
基音と倍音の関係でのフル稼働機能性に最適な素材設計技術です。
この技術復権もデザイン主導すればという想いが私にはあります。
「ロクハン」という小っちゃなスピーカーユニットだからこそ、
その凝縮技術の応用に日本技術の復権が可能です。
それを主導する役割がデザインだと確信しています。

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「Glenn Gouldの先見性」


   


     10月 31st, 2011  Posted 12:00 AM

「もし、彼が生きていたなら・・・」、
これは時代に先行した天才を偲ぶパロールです。
東京の定宿にしているホテル傍の映画館で、
「グレン・グールド」(天才ピアニストの愛と孤独)を
観ました。

出張に持ち歩いているiPodにはApple losslessでrippingした
彼の音楽はほとんど全てが入っています。
「グレン・グールド」は、
ドキュメンタリーの穏やかな映画でしたが、
しみじみと彼の生涯の一端を知ることができました。
定宿はどこでもiPod用スピーカーシステムは預けてありますが、
彼の演奏は時折聴きます。
グレン・グールドは、
「レコード演奏」という形式を創り出した人です。
それもすでに半世紀前です。
そのためにLPレコードがコンサートより、もっと、
本来の演奏を聴かせられるという哲学がありました。
「レコード演奏」のために録音方法を進歩させた人物です。
だから、オーディオファイルにとっては、
彼の音楽ファンというより、彼の演奏そのものを
オーディオチェックにする人たちが沢山います。
私も彼のピアノ演奏でのキータッチ音の再現性を
音響装置のチェックにすることがあります。
最近ではスピーカーの周波数帯域を
全く明示しないメーカーが出てきています。
私はスピーカーづくりとして無責任だと考えています。
従って、TVなども論外の音作りになっていると言っていいでしょう。
私は少なからず、F0と音圧は「性能表示」として重大だと考えています。
また最近では映画のリゾルーションは満足できません。
それは液晶TV50インチ以上で最高にいい機種は、
映画の解像度を追い抜いてしまいました。
最もほとんどすべての液晶TVは、耐えがたい映像です。
私の自宅の映像と音響システムは多分最高だと断言します。
彼の音楽については当然バッハのみならずまさに天才。
そして録音技術を演奏家・音楽家そして演出監督として、
最高を求め続けた人でした。
彼の「孤独感」を映画は、彼を支えた人たちの声で綴っていました。
その一人は、私の眼鏡をしていました。
1982年、彼は50歳で夭逝しました。
1984年にMacintoshが登場したわけですから、
彼は「パソコン」を知らなかったことになります。
グレン・グールドがMacを使っていたら・・・
ピアノ演奏はもとより音楽再生はどうなっていたのだろう。
私はしばらくは毎日グレン・グールドを聴くことになるでしょう。

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