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Posts Tagged ‘水滴’


『コンピュータからの離脱がこれからの日本の産業』


   


     1月 10th, 2017  Posted 12:00 AM

1982年にはMS-DOSをシンクレア(Sinclair ZX81)で独学。
1984年Macintosh128kを福井キヤノン(高校時代親友が社長)から貸与。
1988年にはSilicongraphicのIRIS3030を米国で購入しました。
何と言っても2台を入手、資金?、なんと福井銀行に購入後報告しました。
New Yorkの支店担当者(高校の先輩)は仰天、頭取は 仕方なくOKでした。
これでUNIX(当時は2つの系統)とALIASでCGを学ぶと、
光造形の歯車を見て、「これが立体になるかも」と直感しました。
1996年新設の名古屋市立大学芸術工学部で、
2億円の光造形システムが装備され、10年後4億8000万までの日本一設備。
生田教授(現・東大)が、マイクロナノ技術開発で歯車を製作、
おそらくこのことが日本の光造形の最初だったはずです。
1985年から1991年までは、毎年米国に行っていました。
私のパソコン・EWS・光造形をデザイン道具にする多分日本初のこと。
IRIS3030は7000万円もしてHard Diskは70Mの時代でした。
そして今や3D-Printerが登場しました。
間も無く家庭にも設置する時代になるでしょう。
光造形で歯車が出来たときには、
同時にCGは水・水滴、火・炎、そのプログラム構成を見ていました。
それは、VTRで撮影した映像をCG化する積み重ねでした。
SIGGRAPHでは、日本からは2名と2社が研究成果を見せていました。
MacとEWS、そしてCAD/CAMはすでに6D-CADに至っています。
が、まだ自分は4D構成はまとまらず焦っています。が、
3D-Printerそのモノに向かって開発するメーカーは、
国内で世界的にも遅れています。
しかし、私には、IoTや3D-Printerが日本の基幹産業には決してならない、
この予測が毅然とあります。
まして、BigData、 Deep Learning、AIも日本の産業ではありません。
このことを、とりあえず、このブログと「KK適塾」で紹介するつもりです。

* 「数理造形から見えてきたAtom時代の終焉 ・01」
* 「シリコングラフィックスを使っていた頃」
* 「数理造形から見えてきたAtom時代の終焉 ・03」
* 『1984年からMacintoshとの付き合いが私の重大経験』
* 『日本で最初のCAD解説本が示していたこと』


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『デジタルな火と水を傍らに置く重大さ』


   


     8月 16th, 2015  Posted 12:00 AM

私の企画戦略には必ず立ち戻る基本があります。
それはインド思想の木火土金水と仏教思想の風地火水空です。
この四句分別によって25 のマトリックスが生まれます。
それは25のコンセプトが生まれるということにつながります。
少なからずこれは世界観での25の問題点が整理されたコンセプトです。
しかし、これだけ全てを列挙すると、二つの疑問にぶつかります。
まず、デザインでそのようなことをやってもらいたいとは・・・
これで台無しにして仕事をどれだけ失ってきたでしょうか。
デザインでそこまで語ってほしくは無かった・・・
これで仕事をしたくない行政マン、役人(人に役立つ人)を知り、
彼らの生息生理をほとんど知ってしまいました。
このことで、若い頃はクライアントに喧嘩を売り喧嘩師になりました。
最近は利口になって、インド思想にも仏教思想にもある火と水を
主体的に語っていくことを中核にしています。
無論、両方の思想の核心にある火と水には同意性と差異性があります。
それを論理的に学び直したのはガストン・バシュラールでした。
バシュラールは、明確に水と火は対照的な著作を残しています。
そして彼の著作を度外視していたつまらない輩がいたこともあります。
私にとって、現実的には、水と火、それぞれがCGになる過程を
まさに米国で立ち会ってそのプログラミングを見ることができたこと。
これは生涯の思い出になっています。
しかも、このNatural Phenomenaというコードネームには、
明らかにバシュラールが基底で語られていたことです。
火も水も、デジタルとして燃えさかることと水滴や流れまでが、
制御と否制御が起こってしまうことでしたが、
結局、火は燃えさかっても熱くはなくて破壊することがありません。
水も自然と水滴から大洪水も決して起こらないことです。
これがデジタルの限界でありながらも、自然よりも勢いがあります。
私は、自宅にデジタルの全く無温度の火と水を配置します。
それこそ、自然と人工を対比させた日常を側に置いてみることで、
自然=アナログを絶対にデジタルで調和も制御も出来ないことを
言い聞かせる手法だと思っています。


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「海と速度とその気泡掃気技術」


   


     7月 11th, 2013  Posted 12:00 AM

航海することと航空することには特別な単位があります。
一時間に一海里を進む速度のことです。
一海里は1852メートルですから、
それを1ノットの速度と呼びます。
私は、単純に1ノットは時速2km/h程度というイメージです。
そしてこの海里は地図では海図が用いられますから、
私は戦艦大和の最高速度が27ノットだから、
あの当時最大の大きさで時速は50km/hだったというイメージです。
したがって、審査会では常に高速性を求めていることには、
ハッとすることが多いのです。
航海とは、速度を求めるのではなくて、
航海する余裕の時間が重要だということです。
しかし、経済性を考えれば、速度性は技術開発の要点になります。
私が審査委員になって、初めて女性がプレゼンターでした。
正直、プレゼンはとても好感が持てるものでした。
ひょっとすれば女性がプレゼンすれば印象は良いのかも・・・
ところが、この審査会は実に詳細な質問があります。
それでも今年のグランプリは、この大型輸送船「双洋」です。
船には「喫水」という船舶と海面のインターフェイスがあります。
この船はその喫水を求めて、
ペンギンの泳ぎ方を参考にしたということです。
つまり、ペンギンは水滴で泳ぐように、
この船底に水泡を掃気するというわけです。
この開発はこれまでにもありました。
いきなり、船底に海水があるのではなくて、
水泡を掃気して高速性を求めようということでした。
結果、
省エネ効果があるという空気循環効果の最大化を求めたのです。
私はペンギンの泳法には水泡とペンギンの破毛効果だと思います。
それでも、船底での気泡流の最適化は、
大型貨物船の速度という経済性は審査委員全員が賛同しました。
これからの日本の造船開発、
その方向を提案したものとしてグランプリ船舶になりました。


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