4月 6th, 2015 Posted 12:00 AM
私がJBL4343について学んだのは東芝と故瀬川冬樹先生からでした。
東芝時代には、コーンケープと言って、スピーカーユニットの
コーン紙の構成は逆円錐形を遵守させられていました。
その形式は、JBLのスコーカー形式でした。
しかし、私が最もJBL製の凄さはボイスコイルの巻き線、
この緻密な美しさは、何故良い音がするかを立証していました。
そして、瀬川先生の自宅では、音のバランスの組み合わせを
数枚のレコードで教えられました。
まず、なんといっても人の声=ボーカルとピアノ協奏曲であり、
ピアノ協奏曲は、東芝総研では徹底的にスコアで教えられました。
したがって、ピアノ曲、ヴァイオリン曲、コントラバスで
音のバランス、その良さはスピーカーシステム全体を決定します。
だから私がフリーのデザイナーになって、なんとしても絶対に、
と思って最初に手に入れた製品でありそれは1980年でした。
だから、私のデザイン活動をずーっと側で見てきたモノです。
名古屋では、オーディオ評論家の菅野沖彦先生にも聴いていただき、
それは専門誌「レコード演奏家」シリーズで取り上げられました。
そして、もうこれが最期のメインテナンスだけに、
それが出来る人も限定されています。
今回も、自分でもJBL4343のユーザーの方でしたし、専門家。
こうした人物はもう数人しかいません。
スピーカーはウーハー(低音)もスコーカーもウレタンエッジは、
おそらくメーカーでも部品供給はこれが最期になると思います。
JBL4343はそれこそ全てを一新しました。スピーカーネットは、
編み地で最もいいB&Oを選択して張り直してもらいました。
これから、ウーハーはじっくりとエージングをしていきます。
おそらく、半年、そして一年後には思い通りの音と音質に
私の音がもどってくると確信しています。
こうなれば、最後はスピーカー背面の壁面だけが気がかりであり、
これはある素材にペイント素材を試したみたいと考えています。
オーディオで音を聴くには、それほどモノへの世界観が大切です。
私はデザイナーとしてオーディオからスタートできたこと、
それは最高に幸運なことでした。
今、自宅にはとても美しいJBL4343が鎮座してくれています。
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1月 22nd, 2012 Posted 12:00 AM
左右両耳にそれぞれマイクをつけて録音をします。
そうすると、本当に耳元の音を再現できます。
たとえば、散髪をしてもらうときにこのスタイルで録音をすれば、
ヘッドホンで再生するとそのまま、
全く散髪されているかのように錯覚するほどです。
私がヘッドホンのデザインに夢中になっていたとき、
この録音がドイツでは、
ラジオ放送でヘッドホンで推理ドラマがあるという情報がありました。
ところが運良く東芝総研には、
そのHATS(Head & Amp Torso Simulator)という
ダミーヘッドマイク装置がありました。
そこでそれを東芝EMIに持ち込んで、様々な場所での録音をし、
LPレコード化企画したのです。東芝では賛同が得られなかったので、
それならと、当時、東京で最大の量販店・第一家庭電器に持ち込みました。
第一家庭電器は、今はありませんが、(量販店は栄枯盛衰があります)
当時はDAM=Daiichi Audio Membersというユーザークラブがありました。
そのオーディオクラブの会員向けには「マニアを追い越せ大作戦」という
DAMレコードという
独自のマニア向けの特別なLP盤を会員だけにプレス出版していました。
このDAMでLP化することができました。
それはAurexを第一家庭電器に販売ルートつくるきっかけになりました。
以後、このDAM-LPの企画案から販売企画、
そして、TV-CFのディレクターも東芝社員としてやることができました。
このバイノーラル録音は
DAMのコンテスト企画になり優秀作品もLP化しました。
バイノーラル録音の最初のディレクターとして
「レコード年鑑」に私の名前があります。
したがって、ヘッドホンで本当の音はバイノーラル録音が
最適だと今でも私は思っています。
当時は、ラジカセにもバイノーラル録音が可能な機種も流行しました。
ヘッドホンだけを再生装置とするなら、
この録音の音楽ソースが欲しいと思っています。
というより、最近の録音の質はコンピュータを介在できるためか、
それなりの装置で試聴すると、
録音技術は悪くなっていると言ってもいいでしょう。
いわゆるミキサー=録音技師名が
アルバムタイトルになっているCDは本当に少なくなりました。
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12月 21st, 2011 Posted 12:00 AM
「食通」とは味覚が優れているという言い方です。
しかし、これには大きな誤解があるというのが定説です。
つまり人はその人の味覚のホメオスタシス的な定常性が、
14歳までの食習慣で決定すると言われています。
私は多分、五感覚=視覚・聴覚・味覚・触覚・臭覚も、
幼少からの環境で決定づけられると思っています。
それは「刷り込み」=imprintingと同値だと言ってもいいでしょう。
私は美大時代から本格的なオーディオマニアになっていきましたが、
当然ながら東芝総研(現・ 東芝中央研究所)の音響研究所、
そしてAurexの製品開発によって聴覚は鍛えられました。
当時市販されているほとんどの音響システムを
聴きつくすほど贅沢な期間でした。
そんな中で特に自分がイコライザーアンプ直結のパワーアンプ選びで、
あらゆるアンプを聴き比べた結果、一台のアンプが私を打ちのめしました。
それは当時GAS社の
ジェームス・ボンジョルノ氏設計のパワーアンプでした。
そして数年前大阪に来てから、彼の新作AMPZILLA2000に出会ったとき、
私の聴覚コントロール機器は決定しました。
おそらく私の生涯は彼のパワーアンプ以外は
ありえないとまで納得しました。
スピーカーシステムに送り込まれる寸前の音響を
電流・電圧による「電質」で制御するのは彼の思想表現です。
だからといって、ただ信奉するだけでなく、
冷徹に他のアンプも聴き分けを試みることにしています。
それでも、やはり彼の音響設計に戻ってしまいます。
このアンプよりはるかに高額なモノであっても、
彼のこのシンプルかつ大胆な設計思想が最高です。
単純には電圧昇圧させるトロイダルコイルスタイル、
ただしこの巻き方はJBLのスピーカーコイルにも通じています。
取説には、万一、感電事故になっても個人責任と書かれている製品です。
製品とはこうあるべきです。個人責任に使い勝手をゆだねることです。
したがって、家庭用の電流と電圧50Hz・100Vも、
定流電源装置とメディカルコードでこのアンプを支えています。
ジェームス・ボンジョルノ氏的な発想を引用すれば、
音響だけではなく、多分、映像も、
定電源装置までの気遣いが感覚を支えると判断しています。
つまり、私は電力には電流と電圧という「質」があり、
もし、これを「電質」と呼ぶならば、
これは私たちの五感にも大きく影響していると考えています。
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