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Posts Tagged ‘5倍図’


『レコード針ナガオカが必ず再復活してくれるだろう』


   


     1月 28th, 2018  Posted 12:00 AM

山形県東根市の「ふるさと納税」、
その返礼品にレコード針ナガオカから1978〜79年頃の私デザイン、
そのカートリッジは今でもオーディオ専門店で見つけることはできました。
が、まさか返礼品になっているとはびっくりでした。
しかも次世代デザイナーから、あれ、川崎さんのデザイン?と聞かれ、
「そうなんだ!、今なお商品なんて驚いている」ということから、
社長が亡くなりその息子さんも逝かれて、奥様が代表となっておられました。
ナガオカには、東芝出身のデザイナーが一人でほぼ9割の仕事をしていた、
そんな話が残っていました。と同時に
当時私がナガオカをジュエルトーンブランドのパンフレットがあり、
当時、国内レコード店8000店の中で
ナガオカ取引店は5000店での展示計画までありました。
長年私が探し求めていたカートリッジのデザイン詳細図や、
5倍図で描いていたレンダリング、
編集すべて私のデザインが出てきたのです。
LPレコードはもう107万枚がプレスされる時代が復活したのです。
まして、若き日の私デザイン=レコードカートリッジは、
カンチレバーが「ボロン材」なのです。
ボロンとは今なお私は最軽量の素材として、
これでメガネフレームを実現したいと思っているぐらいの作品です。
私の中のオーディオ経験が一辺に再興を始めてしまいました。
レコードも3000枚は持っていましたが、
整理して、ともかく私が気に入っているいわゆる名盤、
特にDAMレコードはユニバーサルレコードから配信が決まり、
なんと、その電話はナガオカの経営者となった女性社長や
次世代デザイナーであると出逢ってすぐの知らせでした。
叶うことなら、オーディオの世界が私を呼んでいる気がしています。
実際、自宅のオーディオシステムは、おそらく最高級システムです。
そこに、改めて最高級のターンテーブル・アーム・デーブルマットなど、
私は一新するつもりになっています。
なぜなら、オーディオ聴取、レコード演奏家(菅野沖彦先生名辞)は、
最高の趣味だと確信しているからです。
あらためて、この周辺を書き直したいと考えています。


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『商品には必ずオリジナリティを、そしてヒットさせる』


   


     9月 4th, 2017  Posted 12:00 AM

これは商品化されたヒット作です。
東芝入社後一年間は新人研修で、工場勤務から
地方大手家電量販店でヘルパーなど売り場にも立ちました。
ヘルパーとして売り上げは新人ヘルパーとしては全国5位でした。
ようやくオーディオ部隊に配属して、
Aurexマークは、私のデザインがコンペでトップとなり、
東芝取締役たちに新人がプレゼンテーションもさせられました。
Aurexは型番510からスタートでしたが、「このデザインは失敗」と、
新人が叫んでいたのですから生意気だったことでしょう。
それなら絶対成功させると取り組んだ420シリーズのTunerです。
競合各社が、Tuninng窓は全てが上部でしたが、
私は下部傾斜配置でしかもメーターも自分デザインを部品メーカーに発注。
その版下も私自身が5倍図を書きました。
筐体天板にシルク印刷で、型名や背面の接続端子部までを表現しました。
しかし、社内抵抗は相当激しかったのですが、
生意気真っ盛りで、いつでも喧嘩腰の私の提案は
チーフやディレクターには守られました。
技術部では「これを反対すると、必ずあの新人の川崎が乗り込んでくる」、
「ほーら、やっぱり来ただろう」って笑って受け入れてもらっていました。
デザインは東芝でも勿論、チーフやエンジニアたちから鍛えられましたが、
試作モデルメーカーや、大田区の職人さんたちに鍛えられました。
試作のモデルメーカーでは、今でももう会長の方とは、
いつでも連絡や会長からは出身地の名作果物やお肉や野菜が届き、
「早く出世返しを」とかで食事をする間柄です。
さて、この製品は商品として今もオークションに登場します。
そして、改めて当時の素材仕上げは綿密です。安っぽさはありません。
オーディオは今なおオークションに登場してくるほど、
超ロングライフ作品であることは本当に良かった、と
誇らしげに自負出来るモノです。

* 『私が育った企業の滅亡は日本の産業滅亡に連鎖する』
* 『天衣無縫な時代と社会に活気がある』
* 「企画は必ず具現化すること」
* 『LPの音は聴覚という触覚感覚でありそのためのしつらえ』
* 『ふるさと納税に私デザインのカートリッジを発見』


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『象と蟻、その表現法はまったく変わってしまった』


   


     8月 3rd, 2015  Posted 12:00 AM

「ガリヴァー旅行記」を書いたジョナサン・スウィフト、
彼の書いた言葉に、
「象は実物より小さく描かれ、蟻は実物より大きく画かれる」という
的確な指摘があります。
なるほど、この写真も象は実物より小さく蟻は実物より大きいのです。
美大時代も、精密な鉛筆デッサンの訓練は、ほぼ実寸、
もしくは1.1倍で描かされたものです。
プロのデザイナーになってからは、小さなモノの図面は5倍図で、
できる限りモックアップモデルは実物大で制作してきました。
現在もモデルは実物大です。
デザインするモノは実物大を守っています。
しかし建築は縮小モデルが当たり前になっています。
絨毯などの下図は実物大であり、スウィフトの指摘は文明で
人間が人工化していくときに、人間という大きさから、
人工物の設計表現のあり方を指示していることを認識すべきです。
図面作成では二つの発見を書き残す必要があると私は考えています。
かつて私の祖先は、宮大工図面は縮小図であっても、発想のままに
用紙を継ぎ足して描いていました。
それは設計の想像力が用紙の大きさに囚われない考え方でした。
またCADシステムでは、それこそどんなに大きな建造物であっても、
拡大と縮小は自由自在になっていることです。
今、私は設計=デザインは、実物をコンピューター画面の中では
自由自在であり、3D-CADであれば、自在に描くことができれば、
それは今では3Dプリンティングや光造形で自在に実物の拡大化も縮小化も
極めて簡単になっているということです。
頭蓋骨を光造形で制作したときに2倍の大きさで制作して、
それを見た瞬間に、あらたな想像力を刺激されました。
また、同様にマイクロ光造形では、血小板サイズのロボット化も
可能になっています。
すなわち、私たちはコンピューター・デジタル設計で、
象は実物大以上が制作可能となり、蟻はマイクロ光造形まで
設計=デザインとモックアップモデルが可能になっていることです。


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