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Posts Tagged ‘英国製’


『「秤」キッチンスケールの名作デザイン』


   


     6月 5th, 2017  Posted 12:00 AM

子どもの頃、大好きだった一人遊びがありました。
母の実家は今でもグーグル地図「○○商店」という表示で出てきます。
宮大工からいわゆる万屋であり、当時のデパートのごとく、
タバコからお菓子、文具、日用品がありました。
自分が一人遊びをしていたのは、
天秤ばかりで様々な鮎釣りの重しを測ることでした。
そうして美大での最初の課題が「台所用の秤」kitchen Scaleでした。
ところが、当時はすでに恩師の代表作の秤がありました。
しかし当時は英国製だったTerraillon Kitchen Scaleが立ちはだかりました。
私は就職後、直ぐに手に入れたものでした。
ところで、「秤」というのは当時は大蔵省の管轄、今は財務省管轄でしょう。
なぜなら、度量衡での量を測定する機器は税金との関係もありますから、
いわゆる経済産業省管轄ではありません。
さて、このテライヨンという企業は、
経営困難で一時は日本のメーカー傘下であったこともあります。
ともかく、この秤の良さは私のデザイン課題の前に立ちはだかりました。
そこで、私の回答は「電子天秤」にしました。
幸いにして恩師が「やがてその時代が来るだろう」とのことでOKでした。
しかし、当時の私のデザイン課題の回答の形態はまだありません。
電子秤のデザイン造形は、この秤すら超えてはいません。
「秤」という文字には、稲を平らにするという意味があります。
現在のテライヨンはフランスメーカーですが、デザインは評価しかねます。

* 「『盆栽』・・・人生で多分し忘れたコトだと思う」
* 「ブライスというたかが人形に、されどの本質」
* 『念仏さしはピタットルーラーにまで進化した』
* 「 何がMedia Integrationとなるのか・5」
* 「衡はバランス=尺度感であり、現代問題の衡とは?」


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『英国製とフランス製の最高質のノートに立ち向かう』


   


     11月 23rd, 2014  Posted 12:00 AM

私はノートを徹底的に見つめて探して選んできたと思っています。
それは職能柄でもありますが、日本の手帳と手帖は、
西洋でもメモ帳からノート=帳面には、紙質の違いがあります。
それも時代性と歴史性が見事に表れているからです。
これはフランスと英国の最も精微にデザインされていることを
確認できるモノだと思っています。
今年の手帳は、昨年同様に英国製がようやく手に入りました。
昔、英国の登山家や冒険家が絶対に使っていたという皮革製の手帳を
私は探し求めて、手に入れたことがあります。
その2年後に日本でも発売されたら大ヒットしたことがありました。
日本ではビジネス手帳としてみんなが使うようになったので、
私は辞めたことがあります。
年末になると、いわゆるビジネスツールとして、雑誌でも、
「来年の手帳」とかが話題になりますが、
私が選びぬいたのは、英国製でした。
それもわざわざ英国にまで注文していたことがありました。
ところが香港では、自分仕様を店舗で注文することができました。
それが大阪でもショップがあって、詳細な注文発注ができました。
もうひとつのフランス製は、なんといっても紙質とこのスタイル、
その意味性と性能性を知ってほしいと思います。
ともかく英国製とフランス製での最高質がこのノートにはあります。
それは使うことを拒否されそうです。
というか、使うには潔さがいるノート類と言ってもかまいません。
ノートならなんでもいいとか安ければいいという価値感もありますが
それは、ペンを持った気持ちも通じないと私は思っています。
最高品質のノートに立ち向かうということの意味、姿勢は、
そのまま、文字を介して自分の知性と向かい合う具体性があります。
文字で済ませるのはとても楽ですが、
いざ、スケッチ=描画ともなると、これほど高品質なノートに、
立ち向かう自分を見つめ直すきっかけになると思っています。

「ブランドが語りきろうとする高密度品質とは」
「来年の手帳は選びましたか?」


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『こうもり傘といつまで付き合うのだろう』


   


     11月 4th, 2013  Posted 12:00 AM

街中のショップやデパートでこのようなこうもり傘を見ます。
ワイフが何かモノを買っているときに、
いつもこうしたコウモリ傘にカラフルさとか、
携帯用にどこまでも小さくなっているのかというのとには、
私はとても興味がありますが、
このコウモリ傘の構造とか仕組みでは、
いっぱいと実用新案を見てきた気がします。
しかし、私にはあまり興味のあるモノではありませんが、
若い頃には、「繊維」の応用のためにコウモリ傘にとても深く、
とりわけ、構造に新しい仕組みを考えたこともありました。
私にとって、こうしたモノにも「革新的」なデザインが必要です。
だから、きっと必死になってこのモノをデザイン対象にすれば、
きっと何かを思いつくのかもしれません。
無論、英国製のブランドモノがどこまで徹底しているかは、
特に、欧州のホテルでは確認することができます。
高級車にもアクセサリーとしての車種とのペア傘があります。
時折、私はこうした自分がほとんど興味のわかないモノ、
そんなモノ、デザイン対象にするべきモノを熟視します。
理由は簡単です。
それは、デザインされてしかるべきことがすでに従来のままです。
人が雨の中で使うモノ、あるいは日傘としてのモノ、
いわばファッション的なモノにも時折真剣に触れてみたいのです。
けれども、どこかで私の興味はわき上がってきません。
だから、ごく普通の日常的なショップの陳列も、
このように何枚か写真を撮ってみると何か自分の中にも、
変化がくるのだろうか、と思うようになりました。
多分、誰かがとんでもない発想で「コウモリ傘」を、
「革新的」に替えてくれるのかもしれません。
これは私のもう一つの明らかな視界の中のモノです。


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「来年の手帳は選びましたか?」


   


     12月 1st, 2011  Posted 12:00 AM

iPhone、iPad以前、PalmTopの時代にも、
「手帳を持ち歩く」ことは辞めようとしてきました。
しかも学生時代・就職後も毎年毎年「手帳選び」には
悩んできました。
iPadで、すっかり手帳を辞めると決意しました。
しかし、どうしても手帳はなんとしても必要と判断しました。
私のスタッフ・学生も全員、iPadを使っていますが、
昨年、私から、自分がこの人からのメモという場合には、
絶対にノート、手帳、メモ形式、筆記具も含めて選び抜くこと。
このようなルールを作りました。
それは、手書きメモの重大さと文字を美しく書くという身体化を失う。
私自身、iPadでの手書き文字に美しさが無くなると判断したからです。
最近は、スタイラスの進化ですっかり「草書体」・「楷書体」まで、
iPadでは可能になりました。
この季節=歳末年末には、書店・文具店始め、websiteでも
様々な「手帳」が膨大に店頭やお知らせが満載です。
11月に入ると、私は二つの手帳を注文しました。英国製と日本製
これまで、日記帳・手帳はどうしても迷い抜いて、
「一つ」に決められませんでした。
これは不幸です。
「手帳で望みがなんでも適う」という類いの書籍もあります。
それはその人だけの自己修練、
男ならダンディズムが決定した人の特権。
私は、ようやくそろそろ人生引退の季節になって、
二つの手帳に出会いました。
いづれ、私の使っているモノを紹介したいと思っています。
しかし、これはやっと私がたどり着いただけに、
極めてプライベート、プライバシーのことかもしれません。
なにしろ、デザイナーとしてのSketch BookやMemoなど
膨大に悩み膨大に収集までしてしまっているというわけです。
筆記具、絵の道具、書道具からデジタルペンまで、
この収集は、ワイフから「また買ったの」と言われる始末です。
万年筆・硯と筆・和紙、そしてデジタルペンも、
語り尽くせない私の世界です。
オーディオ・鉄道模型から、デジタルペン、青い小物、
だから「手帳」もほとんど世界的な歴史や伝統性を
自分自身にも照らし合わせて考え。選び、使いこなして、
いや手帳に限っては「使いこなしてきた」とは言えないのです。
しかし、ここ数年、手帳は決定したモノを使ってきました。
2011年、わが国は多くの同胞を失い、国家が破壊しました。
なんとしても、来年に向かって、
この「国難」に対する自分自身のジャーナリズムツール、
それは「手帳」でしょう。
ジャーナリズムとは「日々の記録」です。
そして、「手帳」と「手帖」は日本の記録ツール、
明確な伝統性があります。
あらためて「手帳」、
来年の「手帳」への態度を決めたいものです。

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