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Posts Tagged ‘初音ミク’


「初音ミクが象徴している近未来はアンドロイドなんだ!」


   


     12月 8th, 2012  Posted 12:00 AM

同じ大学に居ながら同僚にもかかわらず、
マスコミ報道やTV番組などで、その活動を知ることの方が多いものです。
いつも何らかイベントでは、
阪大同僚である教授と同席することがよくあります。
阪大ロボット学者の石黒浩教授とは、
昨日も、
医学系研究科MEIセンター(澤 第一外科教授センター長)の講義で、
研究内容を間近に見、そして本人に質問まで出来ました。
しかも、今日は兵庫県立美術館でまたご一緒するのです。
石黒教授といえば、世界的ヒューマノイド系ロボット、というより、
すでにアンドロイド開発者として国際的な第一人者です。
授業として、
石黒教授の講義を受講し、質問をして確認できたことがあります。
ロボット工学では、「不気味の谷」論というのがありますが、
その具体例での論説に感銘を受けました。
そして、すっかり疑念が解消されたのは、
「なぜ、初音ミクが218カ国に受け入れられているのだろうか」、
納得できました。
この言わば、漫画とは言い切れないアニメーション・キャラクターは、
非在しつつも、確実にアイドルとして驚喜する感性がどこまで世界的に、
飛び回っていることの理由であり、開放感覚です。
明らかに、不気味さは皆無であり、
消去できうることや、聴覚映像の詳細な表現技術の進歩そのものが、
まさに、アンドロイドということです。
そして、最も重大なことは、
「攻撃性皆無の安全性と安心感」を受け止められる感性、
それが情報時代の中で
若者の感受容体に育まれてきたということになります。
私は、これを「形態論」と「身体論」で、デザインテーマとして、
どのような意図すべき「造形言語」を創成すべきだろうか、
意味されてしまう「形態言語」への
デザインアプローチを求めようとしている自分、
すなわち、これが自我なのかも知れないと気づくのです。
デカルトの言葉、
「我思う、ゆえに我有り」は、
近代の認識論としての一つの源流であったかもしれませんが、
「初音ミク」という具体的存在のアンドロイド性には、
もはや、
そうした思考制御などは皆無になっていると言ってもいいでしょう。
すでに認識論的な哲学は、
消去されていると考える時期なのかもしれません。
今日、あらためて石黒教授の講演で確認してみるつもりです。
私のテーマは「あさっての美術館」?!
ん、何?とこれからプレゼン制作に入ります。


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「アイドル・キャラクターのメタ・アンビエントへのコンテクスト」


   


     12月 7th, 2012  Posted 12:00 AM

日本のロボット学者には、「鉄腕アトム」への憧憬があるものです。
「鉄腕アトム」はそういう意味では、
ロボットというモノへのコンテクストを明確に築き、
モチーフ・主題的には、技術空間認識の根源として、
日本人のDNAの中には生き続けているモノと言っていいでしょう。
私たち日本人には、いわゆる漫画からのコード、
そのモード時代がとても強く意味されていることの認識力があります。
ディズニーランドへの果てしない欲求の根底にも流れています。
そして、そのコンテクストの代表というと、私は、
・「キティちゃん」
・「スーパーマリオブラザーズ」
・「初音ミク」が、その代表と言っていいでしょう。
まず、「キティちゃん」は、
明らかに3Dリアリティが日常的な「かわいさ」を敷衍させました。
かわいい=kawaiiはすでに世界語=ラングになってしまいました。
さらに、「スーパーマリオブラザーズ」ともなれば、
すでにその歴史性が構築されて、
「ゲーム」という、
バーチャル世界観を打ち立てた普遍的アイドルになっています。
まして、この創作者である宮田氏は、金沢美大の後輩であり、
工業デザイン素養は、
「マリオ」と「ルイジ」の名前にまで昇華されています。
天才的なデザイン領域の拡大を示してくれました。
そして、218カ国を凌駕して「初音ミク」にまで、
キティちゃんからスーパーマリオブラザーズが
コンテクストを構築していることを、
再確認すべきだと私は主張しています。
「メタ・アンビエント」とは、
マルチメディア、ユビキタス、クラウド、スマートグリッド、
これらを連鎖させているシンボルと見なすべきでしょう。
この三つのアイドルの経済効果は、
おそらく、マルクスもケインズも、
彼らの経済論からは逸脱し、
開放されている「もう一つの生産、もう一つの消費構造」だったはずです。
無論、乳幼児から小児には
「アンパンマン」が限り無いアイドルかもしれませんが、
このコンテクストは、別稿を準備しなければならないでしょう。
このテーマソングほど、
子どもたちにとって最も正当な教育性が満たされています。
そういう意味では、「キティちゃん」には聴覚映像がありません。
ともかく、私が現在の一つの結論であり、
さらなる「メタ・アンビエント」という
情報空間に日常性とその経済活動は、
この三つのアイドルが原点だと整理しておきたいと思っている次第です。


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「バーチャルアイドルが示唆している超情報化の予感」


   


     12月 6th, 2012  Posted 12:00 AM

2007年に登場した「初音ミク」は、
当初はいわゆる「オタク」サブカルチャー扱いされてきています。
そして、未だに、
この「情報形式・情報内容」が詳細に語られているとは思えません。
このことを確約的に社会評論できうる知性が
不在ではなくて非在なのかもしれません。
それは、わが国の情報化戦略が
とてつもない遅行指標の中に埋没しているのです。
私は、この「初音ミク」をシンボルとした音声合成・DTMに、
実はとても具体的な「アンビエント」情報空間が
息づき始めたことが示唆されていると直感しました。。
私自身、インターネットからクラウド・スマートグリッド、
さらにはスマート・シティなどが
どこに向いているのかが直感的に認識できる裏付けでした。
現在、わが国の経営者に「初音ミク」が
どれだけの経済効果を持っているのかが、
直感で理解出来る人は皆無でしょう。
もし、センスということになれば、
それは、スーザン・ソンタグの「反解釈」などには克明に、
形式・様式と内容・主題の剥離や接着性能が分別できるはずです。
彼女風に論破すれば、
「スタイルのラディカルさこそが時代意志を持つ」ということです。
すなわち、初音ミクというバーチャルアイドルという様式はすでに、
その発声=人工的な音声合成は
シリコン上で可能になってきたという内容を明示しているわけです。
私は、とりあえず超情報化=メタ・アンビエントと呼ぶことにしています。
私は、親友が見事にはまってしまった「痛車」に乗せられたとき、
彼=最も信頼しているマーケッティングの専門家の予感を
素直に飲み込みました。
それから6年経って、彼はこう言いました。
「オタク文化という批判でしか、
ラディカリズムは動かなくなっているわが国に
真で新なる価値づくりは不可能になりつつあるのかも・・・」と。
私もこの観察力には慧眼せざるをえません。
初音ミクという様式と内容・形式と主題が投げかけている
「プライミング・エフェクト」の話を始めなければならないでしょう。
それが、多分、私がこのところ主張し始めている、
「商品づくり」経済から、
「製品記号論」的な経済活動を引き込む方法だと確信しています。


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「ボーカロイドが象徴し始めてきている重大さ」


   


     4月 17th, 2012  Posted 12:00 AM

「イタ車」の存在を知ったのは、
オーザックデザイン副社長H氏からであり、
H氏の車種(数台所有)がまるで変化した2010年8月頃でした。
車はじめ工業デザイン各分野でのマーケティングに関して
日本でトップクラスの彼が、
「イタ車」でホテルに迎えに来て、ホテルのドアマンの人たちは驚愕、
そのまま東大に行きました。
東大構内でも学生達が写真を撮りにくるほどでした。
その時、彼はすでに
「初音ミク」などのバーチャルアイドルが様々に台頭するはずと、
その存在による経済効果を予測していました。
彼の「イタ車」もプジョーを選び、
外装には彼指示による高度なシール印刷を施して、
日本の印刷技術の最高峰を引き出してみたということでした。
その印刷仕様技術が、
これからの日本の印刷形式も変貌させると断言していました。
彼の予測は万事いつでも正確で必ず的中することばかりです。
そして、彼がこれまでクレジットカードからケータイなど
様々に企業提案し実現してきたことを知り尽くしているので
その時期を待っていました。
その時から私自身も、
「アンビエントアライアンス」という近未来コンセプトを掲げ、
講演でもその歴史的な系譜分析などをし始めていました。
すでに、もう「初音ミク」は一般化してしまいました。
初音ミクを含め3人の代表がそれぞれの性質がプログラムされました。
この創造力と革新的な商品化技法は
新たなデザイン形式とデザイン拡大化を見せてくれました。
彼女の容貌=美女イメージと
ボーカロイド音源=バーチャルエレクトロニック・ボーカル音源が、
現在のリアル・アイドル楽曲にまで拡大し始めています。
さらにSNS(これにはそろそろあらたなステップが始まる)の進化が
加わってきました。
この流れを読み切ったベンチャー企業はまだ存在していません。
無論これまでの大企業にはこの系譜を読み取ることすら能力無しです。
おそらく、日本の確固たるカルチャーである、
「漫画」・「アニメーション」・「ケータイ」・「ゲーム」などが
経済的稼働を起動し始める「重大要因だと予測」しています。
そして、スマホの形式と内容も、
この連鎖性を包含=インクルーシブさせていく国内の情報機器企業は、
今はまだ皆無だというのが2038年問題より大きいと私は予知しています。
具体的ではありませんが3.11後の東日本に、
「初音ミク」の象徴性、
ボーカロイドが投げかけている新たなDIYから派生する
そのような産業が起業されることも肝要かと私は考えています。

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