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Posts Tagged ‘倉俣史朗’


「緊急課題になった『リトルネッロ論』の再考と具現化」


   


     7月 17th, 2012  Posted 12:00 AM

このところ「危機」関連に囚われています。
3.11からこの「経験したこともない豪雨」や竜巻に及ばず、
社会環境・時代環境が取り巻いている「危機状況」です。
それは子どもの世界においては「いじめ」になっています。
虐め・苛め=「いじめとひらがな表記」がすでに、
わが国の曖昧さを
さらにだらしない社会にしてしまっているのかも知れません。
今私は「危機管理デザイン」に関して
重大なデザイン領域を間もなく発表します。
そこで、ドゥルーズとガタリが持ち出した
「リトロネロ」を再検討すべきだと強く思い直しています。
私は、倉俣史朗の評論のために、
この言葉と概念を中村雄二郎先生の「精神のフーガ」から学びました。
最近は、SNSが変貌させたデモに、
非暴力性やサウンドデモ形式の評論用語に、
「リトルネロorリトルネッロ」が登場します。
簡潔に言えば、
子どもが薄暗くなってきた自宅への帰り道で、
闇への恐怖感を押し殺すために鼻歌を歌って、
自分を勇気づける音楽のリフレインを意味しています。
要は、恐怖感を自分の中で、
鼻歌を歌うがごとくに解消しようという積極性を
与えていくことと言っていいでしょう。
私は、この哲学用語を倉俣史朗の「How high the moon」と題された
エキスパンドメタル製のソファデザイン、
その解釈と解説に適用させました。
ところが最近、わが国での新しい形式のデモや、
「危機管理」=命の護り方すべてにあらためて、
この言葉が哲学用語として
最重要なキーワードになってきていると実感しています。
まさに、「苛め・虐め」での子ども達の自殺は、
自殺教唆そのものであり、
自分の子ども時代を振り返っても、虐められた経験から、
自分はどうしてきたかを思い起こしています。
私は転校の度に、苛められましたが、
相手は大抵が集団です。一人っ子の私を虐めるのは兄弟たちでした。
だからその集団を分解して、一人一人にやり返す、
そんな途轍もない不気味さを演じて逃れていたと思います。
そんな時も、
どこかで「鼻歌をリフレイン」している自分を思い出すことができます。
絶対に、相手への恐怖感を与え直すことが重要ですが、
それよりも、自分を勇気づける「リトルネロ」を持つことが重大です。
「リトルネロorリトルネッロ」論を
現代の全ての危機管理の思考下敷きにできることを記しておきます。


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8月15日Staff Blog


   


     8月 15th, 2011  Posted 10:52 PM

8月15日

BOSS(川崎和男, Kazuo KAWASAKI)
が東芝時代からお世話になり、
デザイナーとして独立後も
ご支援いただいたオーナーから
倉俣史朗さんの一輪挿しを頂戴しました。
無垢のアクリルに浮かんでいる
ピンク色の中、一輪の花をさします。
著書『倉俣史朗のデザイン 夢の形見に』を
出版したというタイミングで
倉俣作品との出会いは
嬉しさこの上ないです。

この作品を取り扱うブランド「SPIRAL」は
田中一光さんのデザイン。
AXISビルにあったショップは、
ネットにて展開されています。


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     6月 4th, 2011  Posted 8:10 PM

川崎著書発売
「倉俣史朗の仕事 夢の形見に
■ 発売日 : 2011年6月4日(土)
■ 価 格 : 2400円(税抜)
■ 出版社 : ミネルヴァ書房
■ 詳 細 : スペシャルページ
1997-2001年に雑誌「AXIS」にて連載された、
故倉俣史朗氏デザイン論の書籍化が実現いたしました。
記念講演も予定。スペシャルページにご注目ください。

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2月15日Staff Blog


   


     2月 15th, 2011  Posted 10:00 AM

2月15日

校正三昧の
BOSS(川崎和男, Kazuo KAWASAKI)。
みんな待ちに待っている
「夢の形見に」原稿校正です。
倉俣史朗さんの20周忌にあたる本年。
数々の作品の奇跡、軌跡を綴るBOSS。


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2月3日
川崎和男のデザイン金言 Kazuo’s APHORISM as Design


   


     2月 3rd, 2011  Posted 10:00 AM

2月3日 先勝(己丑)

自分を追い込みに追い込むことで
故倉俣史朗氏の創造した
「かたち」から
「ことば」を紡ぎ出している。

連載開始を決心した時点で、
第一回の内容は固まっていた。
彼の製作した、
まさに機械仕掛けの
キューピー人形の話である。

『デザイナーは喧嘩師であれ』辺福修飾


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「資本主義からの逃走」
「デジタルファッションサイボーグ化・『夢の形見』の予知」


   


     2月 2nd, 2011  Posted 2:19 AM

ファッションアイテムのデジタル化
身につけるハードウエアの変貌。
私たちが身体化し携帯してきたモノ。
まず、腕時計があります。
さらに、メガネ、ブレスレット、指輪などです。
私はブレスレットも指輪も大好きですが、
ブレスレットも金属や貴石や新たな仕掛けがある健康バンドなどファッションアイテムは、
ある種の流行があります。
この流行感覚を観て、私は自分が取り入れることには何の抵抗もありません。
メガネは私のデザイン対象としてもう20数年以上「商品化デザイン」してきました。
さらに、iPodやiPhoneの周辺では、
ヘッドホンやイヤーホンは収集もすれば性能確認も私の趣味にもなっています。
とりわけ、ヘッドホンは東芝時代に相当の想いで製品開発や商品展開をしてきたので、
専門知識も評価判断力もあると自負しています。
ヘッドセットは、まだ日本ではビジネス現場ではファッション化していません。
おそらく私はこれから、
TVドラマで使用されてくれば流行ファッション化していくと確信しています。
ヘッドセットとブレスレットバイブレータは
これから必需品になるのではないかとさえ思っています。
ケータイはやはり着信音よりもブレスレットバイブレータがマナーになってほしいのです。
私はこの数年、メガネもどうやってレンズから解放されるべきかと
アドバンスデザインを開発してきました。
瞬きで、デジタルカメラを携帯しないで日常化させたい想いがあります。
私は、こうした身体化・携帯する・身に付ける、
そんなファッションが「デジタル化」されることをデザイナーとして望んでいます。
これは、Ambient Allianceをデザイナー意図として目論んでいることです。
倉俣史朗作品「クピド」の予知
さらにこうしたことはロボティックス・サイボーグ化していくことを
私自身もきっと望んでいるのでしょう。
倉俣史朗先生の作品に、キューピー人形「クピド」というゼンマイ仕掛けの作品、
それもレントゲン写真でも表現したモノがあります。
これは、夭逝したデザイナーの想像力が、
実は現代を予知していたアドバンスデザイン作品だったと私は考えてきました。
しかも彼のモノローグに「不発かもしれない・・・」という言葉を思い出します。
かってのデザイン評論連載は、最初がこの「クピド」評論から書き始めています。
今、明確に、倉俣先生の命日に私の評論は重なっていたことを確かめている次第です。


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