kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘ナノテク’


「光造形は日本で発明されて、今やナノテク世界で進化している」


   


     5月 11th, 2013  Posted 12:00 AM

3Dプリンターの商業的な流行には要注意です。
購入しても使用出来ない商業主義が先んじています。
地方行政の研究機関や研究心の浅い大学が装置を買っています。
だからこそ、私はなんとしても「光造形」を知ってほしいのです。
この原理原則だった「光造形」は日本の発明だったということ、
これは忘れられていますから、
その発明の経過と、日本より英国で評価されて、
商業化は米国だったことに私たちは留意しておくべきと考えます。
「小玉秀男」博士の発案であり、
国内評価が遅れたことは日本の特許制度の脆弱さを
あらためて再思考しなければいけません。
その当時は、半導体生産技術・印刷技術・CADの三つが基本。
3次元立体映像を紫外線硬化樹脂で立体地図から始まります。
彼は、日本よりも英国・欧州で評価されましたが、
米国は即刻、光造形の企業を設立して商業的な成果を上げます。
この企業が今では光造形システムをほとんど商業成果を独占。
しかし、日本では、彼の発案を鋳造技術・金型モデル生産で、
様々な学術発展が国際化=米国流になってしまいます。
それでも、光造形(3次元立体映像を紫外線硬化)は、(左)
*マイクロナノテクノロジーでフォトニクスとオプトニクスの
根幹技術になっていきます。
フォトニクス関連では、大阪大学の河田聡教授が
サイエンス誌に「牛」の立体像を発表し、
ギネス登録にまでなります。(中央)
彼が私を公立大学の教員にもかかわらず、
「デザイン」を阪大に特任教授で国内初で受け入れてくれました。
オプトニクス関連は、生体医療を対象にした世界最小ロボットや、
ポンプ形式と呼ばれるナノテクノロジーでのモーターまでを
東京大学の生田幸士教授が次々と成果を上げ続けています。
彼が名古屋大学時代には、
二人で「国立と公立の単位互換制度」を創立した仲です。
今でも、この二人にはなんでも相談ができます。
私の親友だということはとても幸運なことですから、
彼らの研究を間近で見られるということです。
さらに幸いなことは、この両名の先生は、
お互いが協働でそれぞれの次世代交換をして、
それぞれの専門領域で小玉博士の提案を現代化し、
「光造形の真骨頂を国際化」していることです。
両名ともに、若くして紫綬褒章者です。
それよりももっと彼らの研究を政府が支援すべきだと思います。
したがって、
3Dプリンターのブーム評価を私は聞きたいと思っています。
私はあえてこのBLOGを書いてから二人に3Dプリンターのことを、
聞き出してみたいと考えているのです。

*物質をナノメートル (nm、1 nm = 10-9m)の
原子や分子サイズで制御する技術
両手で大きな輪をつくればこれが髪の毛一本=0.05mmから0.15mmで、
親指のツメが「血小板」サイズ=1~4μnmです。


目次を見る

「知財権・意匠権改変の対象となった商品開発」


   


     11月 25th, 2011  Posted 12:00 AM

一枚の鏡にすぎない存在。
私が新しいキーボードとして商品化しました。
名称は「COOL LEAF」。
米国での商標権では、これだけが認められました。
商標登録直後に、日産から「LEAF」という車種の発表、
これにはやはりという思いとやられたという思いがありました。
狙っていたのは「SMART LEAF」でしたが、
SMARTはあらゆる分野での流行的な冠詞的表現になっています。
さて、この商品開発には大きな三つの背景意図がありました。
まず企業戦略としての「ビジネス・デザインモデル」という思想。
素材開発と実装技術での新たな製品化と商品化。
既存のキーボードの徹底的な革新でした。
そしてデザイン上の問題では「意匠権の確立」が可能かどうか。
冒頭に記したように、「一枚の鏡」にすぎません。
しかし、荷重センサーと静電センサーにより、
仕組まれたLEDでキーボード表示文字が発光します。
したがって既存の意匠権によって、文様や表示が、
形態化されているかという審査に対応可能かという問題です。
しかし
これは特許庁の意匠権が知財権を進化させていく基本に合致しました。
よって、知財権の中での今後の意匠権、その代表例になりました。
特許庁がこれからの知財権を講習するときの三つの例の一つです。
意匠権確立になりましたが、
クライアントであるメーカーは、5人の弁理士によって登録されました。
これは私のデザイナー人生でも最初のことでした。
それでも、
意匠権を中心とした権利獲得範囲は狭いという意見も残りました。
このキーボードが一般化するまで、まだ多少の時間は必要でしょう。
けれども現在のキーボードは、
清掃後の便座上のバクテリアが5倍いると言われます。
こうした不潔性の解消には平板状がキーボードになることは明らかです。
まだMac対応製品が商品化されていませんが、
これが普及し出せば、キー入力ディバイスは平板になるはずです。
そして、私が問題と考えるのは、
革新的な実装=Configuration Layoutと、
新素材=この鏡面はナノテクでの2000枚のPET素材積層です。
こうした実装と新素材は、
必ず「かたち」での性能と機能を一新します。
「かたち」の一新こそ、デザインによる革新です。
この場合の知財権としての意匠権をも変革することが、
これからのデザインのあり方の大きな一つだと思っています。

目次を見る