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「最近の実装設計に問題あり」


   


     1月 19th, 2013  Posted 12:00 AM

ここ数年、回路設計と機構設計に関与しながら、
私は日本の工学設計での大きな失望感を禁じ得ません。
回路と機構を私は「実装」と呼んでいると同時に、
日本の工学技術から生まれた素晴らしい表現だと
日本人として誇ってきました。
かつてApple本社で仕事をしていたときも、
ConfigurationチームとLayoutチーム毎のミーティングを
同時にする提案をして、
それをConfiguration Layoutと名付けました。
ところが、
最近ではこの「実装設計力」が相当に低下していると判断しています。
理由は三つあります。
まず、

・本社設計機能を下請けに発注すること。
・パソコン設計に委ねていて、3Dソフトに頼っているために、
    その大きさや重量配分などの実体験が欠落していること。
・自分でハンダ付けやメカ製作を「手」でやる経験を
    教育システム自体徹底させていない風潮が蔓延していること。

これは、
わが国の「モノづくり」力を具体的に失ってきているということで、
私は大変に危険な傾向だと指摘しておきます。
図面で、29.351なんて寸法表示を見ると、
それこそ、気分まで悪くなります。
30.0かもしくは、29.0なら、
なんとしても25.0にすべき設計でなければなりません。
そして、
企業の設計部隊の中間管理職=課長や部長も見逃していることです。
これでは、
デザインによる外観=スタイリングは甚だ最適なデザインは不可能です。
私はオーディオからスタートしているので、
実装がそのまま音質にも多大な影響がある、
そのことを熟知しています。
だからこそ、今、わが国の工学設計においては、
実物部品、回路設計を手づくりすることを
教育カリキュラムに入れることを再検討すべきでしょう。
私は、常に回路図や機構図にも手を入れます。
そして、そのテクニックを若いスタッフや学生にも、
しつこく語り継ぐことに徹しています。
回路図には必ずセンターラインがあり、
電子部品の配置では重量バランスなどを、
徹底的に身体で覚え込むテクニックが必要です。
若いエンジニアには、engineeringの意味は、
「合理性で無駄を排除すること」これが定義であることを、
しつこく語っています。


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「SZ-1000・私のオーディオ最終作だから」


   


     12月 18th, 2011  Posted 12:00 AM

エレクトレット・コンデンサーカートリッジのイコライザーアンプです。
と言っても、分かる人は超オーディオファイルの人だけでしょう。
カートリッジは、レコードのピックアップ針であり、
その形式が静電容量タイプで駆動させるモノです。
その微少な電流をパワーアンプに送り込むための
プリアンプと考えていいでしょう。
30年前、東芝時代の最終商品となりました。
つまりこの商品を最後に車椅子になったために退職しました。
ところが今もオークションで
35000円(当時10万円)程度で取引されています。
実際にはエレクトレットコンデンサーの
カートリッジが無ければ不必要です。
このデザインは回路基板まで私自身が版下をデザインしています。
そして部品もすべてデザインし、
なおかつ実装内装までほぼデザイン意図を完全にさせたデザインです。
したがって、今も一部のマニアに収集されているのでしょう。
そこで、ここから何を読み取ってもらいたいかということになります。
それはオーディオだから、特に、電源や回路やコンデンサーまで、
すべてにデザインされていることによる
性能性と機能性があるということです。
このデザイン設計から、
たとえばヘッドホンアンプのあり方の基本が見えてきます。
私は自分自身がこのアンプデザインの経験から、
いかに製品デザインの部品とそのレイアウト、
そして部品設計の完成度を批評することが出来ると自負しています。
電源はグリーン・大地のエネルギーを表現し、
左右チャンネルアンプは、ホワイトで無色透明の音質感、
ボリュームによって、人間と機器とのつながり感を表出させています。
東芝でのこのデザイン設計が、現在私のデザイン原点になっています。

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