3月 11th, 2012 Posted 12:00 AM
私の生涯において、交通被災で車椅子生活はまさに想定外でした。
しかし、東日本大震災と福島原発事故は今なお私を打ちのめしています。
10ヶ月間、私はひたすら「復興計画デザイン案」を書いてきました。
そして、自分が障害者になった以上に
これほどの「哀しみと悲しみ」に対峙したことはありませんでした。
とてつもないほどの記録を読みました。
とてもデザインという職能では、
この復興に立ち向かえないと何度も思い知らされてきました。
1000年に一度というなら、
その事を体験せざるをえなかった自分の生涯に位置づけること、
それが「行学」としての
デザイナーの生き様だと自分に言い聞かせてきました。
当初から、私は「真手」=までいという東北地方の言葉を
タイトルにしようと思いました。
ふるさとでデザイン実務をした者ゆえの発想だったと思います。
政府を信じない、大企業を信じない、
学者を信じない、東京流発想を信じない、
これは現代地方の奈辺意識だと確信しています。
地方でデザイン活動をしてきたからこそ、
東京からの発想を持ち込んだところで、
特に、被災地の信頼は受けられるはずがないと思っています。
そしてここに掲げたデザイン計画は
「壮大」でなければならないと考えてきました。
これが資金的にも技術的にも可能ならしめる組織・企業はどこかと考え、
自分なりの選択で持ち込んでプレゼンテーションをしてきました。
このブログタイトル「までい」とは、
真摯に、地道に、真剣に、誠実に、という東北の言葉です。
私自身、残された時間、体力はすでに視界に入ってきました。
技術的可能性を持って、いよいよ現地に入って、
「制度設計案」のプレゼンテーションをする段階になりました。
私自身の「真手」さで、このプロジェクトの実現に、
一人のデザイナーとして向かう決心と覚悟です。
これから、この計画の実現への
困難さや可能になったことをここで記録していきます。
Tags: タイトル, デザイナー, デザイン, デザイン実務, デザイン案, デザイン活動, ふるさと, プレゼンテーション, ブログタイトル, プロジェクト, までい, 交通被災, 企業は, 体験, 信頼, 制度設計案, 哀しみ, 地道, 壮大, 大企業, 奈辺意識, 学者, 対峙, 復興, 復興計画, 悲しみ, 想定外, 技術的, 政府, 東京, 東京流発想, 東北, 東北地方, 東日本大震災, 現代地方, 生き様, 生涯, 発想, 真剣, 真手, 真摯, 福島原発事故, 組織, 職能, 行学, 被災地, 言葉, 記録, 誠実, 資金的, 車椅子生活, 障害者
Posted in 企望を「までい」具現へ, 祈望から企望へ
目次を見る
3月 6th, 2012 Posted 12:00 AM
ルーブル美術館は年間来場者数400万人と言われています。
比して、21世紀現代金沢美術館は
日本では最高200万人近くの来場者数です。
美術館としての社会的存在性を
金沢という街と相補的な関係性を保持しています。
母校の卒業制作展とともに、
「若手芸術家の発掘」企画展においても私はまた学ぶことができました。
日本生まれの英国人アーティスト
ピーター・マクドナルド「訪問者」の企画展で、
私は欲しくてたまらない彼の作品(↓)を見つけました。
彼の自由な平面構成絵画に表現された彼の「感性」です。
あらためて私は「範・感性」と言っておきます。
デザインにおいても「感性」表現、
「感性工学」が基本的学識になって久しいのですが、
私なりには一家言を持ってきました。
その一つは、デザイン教育者として、
徹底的に「感性」を哲学的知識として講義し、
デザイナーとして、自分の「感性」と対峙してきました。
特に、私の「感性」は、まず音響があり視覚的刺激があり、
生きがいの感受性の確認でした。
理性・悟性・感性を歴史的定本から学ぶとするなら、
ギリシア時代、感性を低次な認識知としていたことは、
カントの理論的集約によって理性以上に重要な大きな世界観になりました。
さらにそれはニーチェから構造主義やポストモダンまでが
その再定義や認識性を与えてくれました。
私にとって、
「感性工学」という範疇に自分のデザインは配置していません。
むしろ、直観と感性をDIVINATIONとして
デザイン対象に込めてきたと想っています。
そして、彼の作品を日常生活に置いてみたいと思うほど、
彼の感性から「範・感性」を感じ取ることができました。
少なからず、現在進行中のデザインプロジェクトには、
絶対に取り入れたと考えています。
Tags: 21世紀現代金沢美術館, DIVINATION, カント, ギリシア, デザイン, デザインプロジェクト, デザイン対象, デザイン教育者, ニーチェ, ピーター・マクドナルド, ポストモダン, ルーブル美術館, 世界観, 企画展, 作品, 再定義, 卒業制作展, 哲学的知識, 学識, 対峙, 平面構成, 年間来場者数, 悟性, 感受性, 感性, 感性工学, 感性表現, 日常生活, 日本, 構造主義, 歴史的定本, 母校, 理性, 理論的集約, 生きがい, 直観, 相補的, 社会的存在性, 範・感性, 絵画, 美術館, 若手芸術家の発掘, 英国人アーティスト, 視覚的刺激, 訪問者, 認識性, 認識知, 講義, 金沢, 関係性, 音響
Posted in 企望を「までい」具現へ, 祈望から企望へ
目次を見る
11月 12th, 2011 Posted 12:00 AM
私が大学人になった一つの理由です。
それは、光造形=ラピッドプロトタイピング、
この手法をプロダクトデザインに導入したかったからです。
米国で、ALIAS社とプリンストン大学で開発途中の光造形、
そのモデルは小さな平板の歯車でした。
その歯車がきっと立体になるという直感でした。
日本では手に入らない光造形原書を読みまくりました。
「クラインボトル」がモデル化されていた写真、
これは多分、合成写真だと思いました。
自分で試したい、その気持ちが大学人につながりました。
1996年、名古屋市立大学に芸術工学部新設時、
私の研究室には、光造型機(紫外線レーザー)と、
周辺のワークステーションと初期の3D-CADが入りました。
結果、「クラインボトル」を当時の3D-CADでは、
ほとんど製作が困難でしたし、
3D-CADからSLAデータへの変換などで自分を鍛えました。
素材も湿度影響などでとてもやっかいなものでした。
したがって、3D-CADソフトの変遷は全て見てきたと思います。
今や、半導体レーザーでの光造形はすでに一般化しました。
そして、光造形での素材も初期のエポキシ系からは
相当に進化し透明になり、湿気影響なども全くなくなりました。
そして、この組み合わせた「クラインボトル」は、
研究室訪問のゲストにプレゼントしているモノです。
今回、KAIST=韓国科学技術大学院大学へ持参のために量産。
そしてこのクラインボトルを二つ組み合わせて製作可能も、
ラピッドプロトタイピングなればこそ可能になります。
この組み合わせを、米国・フィラデルフィア大学でプレゼし、
ティニアである教授達との会話から、私が「人工臓器」、
なかでも「人工心臓へデザインを」という動機になりました。
これまで、私は名市大から阪大の研究室につながるまで、
この製作によって、様々なノウハウを持つことができました。
「点・線・面」の概念が、
それこそ、カンデンスキーの芸術的予測は、
数学領域での「空間論」と対峙することを暗示していました。
点には大きさがあり、それは限りなく正方形であり、
線には太さがあり、面には厚さがある、という予想です。
光造形=ラピッドプロトタイピングは、
もっと造形教育に取り入られるべきものだと思っています。
米国の大学では、デザインや建築の実習では当たり前です。
すでに、3D-CADは6D-CADに進化していることも
「モノづくり」日本に多次元CADは不可欠な領域です。
Tags: 3D-CAD, 3D-CADソフト, 6D-CAD, ALIAS, KAIST, SLA, エポキシ, カンデンスキ, クラインボトル, ゲスト, ティニア, デザイン, ノウハウ, フィラデルフィア大学, プリンストン大学, プレゼ, プレゼント, プロダクトデザイン, モノづくり, ラピッドプロトタイピング, ワークステーション, 予想, 人工心臓, 人工臓器, 光造型機, 光造形, 写真, 初期, 動機, 半導体レーザー, 厚さ, 原書, 名古屋市立大学, 名市大, 変換, 変遷, 多次元CAD, 大学人, 太さ, 実習, 対峙, 建築, 手法, 教授, 数学領域, 新設, 日本, 暗示, 概念, 正方形, 歯車, 湿度影響, 点, 点・線・面, 理由, 直感, 研究室, 研究室訪問, 空間論, 立体, 米国, 素材, 紫外線レーザー, 線, 芸術工学部, 芸術的予測, 透明, 造形教育, 進化, 量産, 開発, 阪大, 面, 韓国科学技術大学院大学
Posted in 祈望から企望へ
目次を見る
7月 8th, 2010 Posted 10:00 AM
7月8日 先勝(己未)
「物」と対峙する概念が「文」である。
この相互関係は、
私がデザインについて語る際に
「かたち=物」と
「ことば=文」を
相対化する行為と一致している。
『デザインは言語道断』物品
Tags: KazuoKawasaki, かたち, ことば, デザイン, 対峙, 川崎和男のデザイン金言, 文, 概念, 物, 相互関係, 相対化
Posted in APHORISM
目次を見る
6月 12th, 2010 Posted 12:26 PM
6月12日 大安(癸巳)
自分を社会に対峙させるという
覚悟ある態度=姿勢を毅然と確保して、
生き延びてやりたいと考えている。
その姿勢を貫く確信がなければ、
自分の中に潜んでいる
「何が美しいモノなのかを見極めて、
そのモノの美しさを表現することで
社会と向かい合う姿勢」を
見いだすことはできないだろう。
『デザインは言語道断』姿勢
Tags: KazuoKawasaki, 姿勢, 対峙, 川崎和男, 川崎和男のデザイン金言, 態度, 確信, 社会, 美しいモノ, 自分, 覚悟
Posted in APHORISM
目次を見る