7月 3rd, 2015 Posted 12:00 AM
デザイン審査が難しくなってきています。
この難しさとは、デザインのオリジナリティの判断と
デザインされた形態言語としてのいわゆる模倣性です。
今関わっているデザイン審査においても、
若い審査委員は、形態の美しさから、
素直にすでに存在していて無名性なモノ、といっても
デザインの定本的な形態性をデザイン賞候補にしてしまいます。
私はデザイン審査においては、
審査委員長には三つの役割があると思っています。
まず、徹底した客観的な審査委員会であること、
審査委員が正確な美学性や知見、見識があること、
そして、最終決定においては多数決採点で決定しないこと、
こうした三点に対して、全審査委員に反対されても、
最高の裁断、裁決の意志決定を全審査委員に納得してもらうことです。
今回、海外からの応募でこれもノミネートはするだろう、
そんな予測が当てはまってしまいました。
左はシェーカー教徒の創作であり、これはモダンデザインの手本でした。
右はノミネートされた作品ですが、どうみても模倣です。
しかも右作品のデザイナー名は明らかです。
無論、最近は作者没後50年となれば、フリーであることは明らかです。
これを「ジェネリックデザイン」とか呼ぶ傾向があります。
デザイナーは、元のアノニマス性をコピーして、
さも自分のデザインとか、あらためて意匠権を上手く手に入れます。
しかし、この傾向はデザインの創造性、創造性がデザインの本質、
この鉄則を破ってしまうことであり、
デザイナー失格だと私は断言します。
私は、美大時代から作品は暗記させられました。
それはどこかに自分がその形態を言語化して、
そして覚えてしまう恐れを無くす訓練でした。
ややもすれば、自分のデザインでも「ひょっとすれば」があり、
この物まね、あるいは自分デザインで忘れられた
オリジン性やアーキタイプ性を失う傾向があるからです。
かつてアノニマスデザインであった民藝が、
さも簡単に「民芸」となっても平然たるデザインは
絶対に許容してはならないと考えています。
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9月 8th, 2012 Posted 12:00 AM
大阪に来て以来、京都の地下街は私の遊び場になっています。
しかし、日本全国、地方の商店街、そして地下街も,
年々、その活性度を失ってきていると思います。
この京都の地下街は、来る度に商店の入れ替わりが多く、
大きな店舗である書店や洋品店などは縮小されていくのがよく分かります。
私は、フリーランスになって地方のデザイナーとして活動をしてきました。
だから、当時から地方都市と大都市比較を様々に調べてきました。
当時、大都市の条件を決めていたことがあります。
地下鉄があること、
地下街があること、
そして、著名なチェーン店舗があることや
競合しあうデパートがいくつかあることでした。
そこで、地方の商店街も
それなりの「地方色や伝統性」などの存在価値観の有無、
これはかなり重要な要因でした。
そんな大都市の商店街・地下街と
地方の商店街はすでに同等に寂れ始めていると言っていいでしょう。
これはデパートの存在価値が失われてきていることとも連鎖しています。
結局は、ようやく21世紀でのすべての街存在のパラダイムが
大変革し始めていると考えるべきでしょう。
大阪も最近は、デパートの新築や新たな駅前開発がありますが、
私は未来性を見通していないことを残念に思って見ています。
さて、先月、この京都地下街はいくつかの店舗が改装中でした。
今回新装開店されていたのは、
100円ショップやマッサージ店やネイルサロンなどでしたが、
大きなアクセサリーショップなどは店仕舞いされていました。
社会風潮がそのまま地下街に反映しています。
京都は観光都市ですが、
その観点からは金沢の地下街のような「京都らしさ」は皆無です。
地下街には絶対に店舗を構えないというブランド店舗があることは、
ある種のブランド・アイデンティティ・デザインポリシーです。
それでも、
この地下街から寺町通りへの観光プロセスが全く思慮されていません。
そして、今、最も恐れることは、
地下街にまでおよぶかもしれない天災への
防災対策デザインがあってほしいということです。
商店街・地下街は今世紀には大変革してしまうことを想像しています。
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8月 19th, 2012 Posted 12:00 AM
正直、私の万年筆コレクションはそれなりです。
万年筆は中学入学祝いでパーカーをもらいました。
以来、大人になったらこれをコレクションにしようと思っていました。
フリーランスになってから、いつも選びに選び抜いています。
二人のアドバイザーがいました。
一人は万年筆専門店の女の子、店員さんでした。
万年筆談義が徹底的にできるとともに、
彼女にはお店を持ってもらいたいほどの知識があって、
教わることが多かったのですが、
今は辞められてしまいました。
残念ですが手紙をいただきます。無論、彼女は万年筆手書きです。
インクの選定がまたまた優れてイイのです。
今、購入するお店の社長さんからは、
笑いながら「バカですね」とか言われながらも、
真剣に選んで薦めてもらい、さらにコストダウンをしてもらっています。
もう一人いました。
文具大賞時の専門誌編集長には肝心なことを聞き出すことができます。
ともかく、
「スケッチ用万年筆」を発注して、条件がありすぎて断られました。
その時彼女が薦めてくれたのが
「DELTA ラ・チッタ・レアーレ1KS」でした。
DELTAといえば、ある映画で使われてブームになったブランドです。
さて、インクはDELTAもいいのですが、私としては、
どうも、スケッチ用に、パーカーのインクが向いていると感じます。
このところ、スタッフからのスケッチには、
ほとんどこの万年筆でラインやコメントを入れています。
自分の思いつきは、ほとんどはボールペンですが、
ようやくペン先が馴染んできたようです。
パーカー5thは優れたアイディアでしたが、
これよりは、DELTAのこれの方がスケッチに向いています。
「スケッチが描ける万年筆」は、
自分でデザインすべきかと思っています。
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7月 16th, 2012 Posted 12:00 AM
車椅子生活になって以来、
私はお金を持ち歩くということが全く無くなったのです。
これがいいことか、悪いことかというと、
金銭感覚が無い私には最悪のことだと自覚しています。
買い物は大好きだから現代は「便利な時代」になっています。
最も買う物というのは、「本」です。
フリーになったとき、赤坂でデザインスタジオを持ちました。
その時、「私バブル期」だったと思い出します。
一度100万円を持ってすべて使ってやろうと思い銀座に行きました。
結局、丸善で思いっきり本を買ったら10数万円でしかなく、
「お金」ってそのようなモノと割り切れたことがあります。
もし、私が世界一の大金持ちになったとしても、
私は「歩ける身体にはなれません」し、
もうあの世の「父母には逢えません」から、
これがお金というモノの限界です。
今、とりあえずはedyを使っています。
写真のedyは二種類あって、
プラスチックカード入れで最高5万円、edyカードで3万円です。
ともかく、8万円は使えます。
それも一ヶ月に一度程度、コンビニで使うぐらいであり、
大抵はスタッフたちや学生にこれを渡して、
飲み物や軽食を買ってきてもらう程度です。
「貨幣」とは、資本主義社会における重大なメディアであり、
経済システムの要です。
クレジットカードにしても、
「貨幣」の形式と形態はネットワーク・マネーと呼んでもいいでしょう。
ただし、こうしたネットワーク・マネーが日常的な価値、
すなわち、コンビニやファーストフードで使う場合と、
企業M&Aにてビリングシステムではツールです。
この差異性こそ、新たな経済学、あるいは経済システム、
この再設定制度とする論理は見つかっていないと思っています。
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4月 24th, 2012 Posted 12:00 AM
フリーになっても、オーディオデザインで生きていく、
その気持ち、志は変わっていませんでした。
東芝Aurexでは、音響機器の工業デザインに留まらず、
イベント企画=Aurexコンサートやオーディオフェアなど、
ショールーム設計、レコード編集、量販企画まで
なんでもかんでも興味いっぱいに首をつっこんでいました。
意匠部長(現デザインセンター長)にはしばしばしかられつつも、
チーフがいつも私の自由行動を許してくれていました。
実際は意匠部長もかわいがってくれていたのです。
上司には本当に恵まれた東芝は、私を鍛えあげてくれていたのです。
音響機器デザインをより拡大したい、
この想い、デザイン領域の拡大という志は今も変わっていませんが、
オーディオにビデオアート・作曲録音・多チャンネルHi-Fi再生を
作品化しようとしていました。
30-Channelというのは、
30個のフルレンジスピーカー=ロクハンを曲に合わせて
一個一個制御しようと考え実現しました。
リレー回路でSPチェンジするプログラマブルコントローラーでした。
今ならパソコンで簡単に可能です。
しかし、この投資は発表はできませんでしたが、
現在、「アンビエントアライアンス」に繋がっています。
「興味を持ったら、徹底的に納得するまで実行する」。
これこそ「行学」の基本だと私は思い、行動を起こしてきました。
どれほど当時は無駄遣い=浪費したかしれませんが、
人生において重要なことだと考えます。
だから、このことは教育者としても、
自分で作為的に重ねてきた経験ですから、
学生、次世代デザイナーには強調主張しておきたいと思います。
そして、そのようなことを試みているデザイナーということで、
フォーライフ・レコードや
「流行通信」、PLAYBOY 誌や平凡パンチ誌にも伝わり、
フォーライフ・レコードからデジタルガレージ設立や
「流行通信」に連載を持ちました。
けれども、徹夜仕事やメチャクチャな生活習慣で、
すっかり体調を著しく悪くしてしまいました。
父や金沢美大の恩師からも「帰ってきなさい」、
常に診てもらっていたドクターから
「ふるさと」へ帰れと命じられてしまいました。
丁度、ジョン・レノンが暗殺されたこともあり、
(私の青春は終わった)との気持ちいっぱいになり、
大きな挫折感を持ちながら、56豪雪になろうとする福井に戻ったのです。
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11月 7th, 2011 Posted 12:00 AM
フリーのデザイナーになって以来、
国内でのデザイン契約は大きな悩みになっています。
「契約」そのものへの抵抗は未だに大きく残っています。
Apple社や海外メーカーは、
英文での取り決めは詳細細部にまで及んでいますが明快。
市場調査時の交通事故や、ワークスペースの施錠までが
契約条件でした。
最近ようやく日本では「知的財産権」が重要視されてきました。
しかし日本では「以心伝心」が強く、「契約社会」への抵抗があり、
契約風習が無かっただけに混乱しています。
大企業の法務部は、ようやく大学院卒が、
この知識、特に国際的なルールとして「知識だけ」があります。
特に、「意匠権」となると私が上図でまとめたように、
このような構造図式に、実務的に位置していることや、
現状商習慣にはまだまだ「制度設計」しているとは思えません。
昨年は、「知財年報2010」にて、
早稲田大学での講演をまとめ直すことになり、
あらためてデザインと意匠権を再考することができました。
まして、大学人としては、大学での利益相反関係も、
まとまった制度にはなっていないのが現実です。
にも関わらず、兼業との関係や利益相反は不完全なままです。
今、日本を二分しているTPPにおいても、
「知財権」と「関税」の関係などは条件記載があるのでしょうか。
今や、「意匠権」など中国はほとんど無視しつつも、
日本の「商標」をどんどん国際的な「商標権登録」をしています。
これは貿易国家・日本の大問題だと認識すべきでしょう。
私はとりわけ「意匠権」と「知財権」について、
特に注目と提言をしていくつもりです。
「知財年報2010」でも「アプロプリエーション」について、
デザイナーは無知過ぎることを指摘しています。
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