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Posts Tagged ‘陶磁器産地’


『多様多色性のある「白」色が滅茶苦茶かも』


   


     5月 18th, 2014  Posted 12:00 AM

海外の皮革製品、その有名ブランドの鞄には「白色」があります。
先般もその店舗の人の知識に呆れてしまって、
私の事だからあえてとても不機嫌な表情を演じきりました。
「この本革の鞄はイタリア生まれなので白が上等です」
(ふざけんじゃないぞ!何がイタリア製か!?)
(それ以前に、クロコダイルが型押しじゃないか!)
(それでこの値段?)
「あなたね、もっと勉強しなさいよ!」、言ってしまいました。
今、クロコダイルは養殖が多くて、これほどのパターンは型押し。
白?、イタリアで染めれるわけがない!
私はプロですから、分かっています。
現在の自然素材の皮革製品、その白色と型押しに要注意です。
さて、「白色」と「黒色」は多様多色だから多彩です。
黄みがかった白・青みがかった白・赤みがかった白、
そして明度差が歴然としています。
この色味の指定がお店で滅茶苦茶になってきています。
私はおおよそ三つの素材で確認することができると思っています。
皮革・これは日本でなければ染色はできないでしょう。
布地・織物、編物の生地色はその糸への染料で決まります。
最近の喫茶店でのティーカップ、コーヒーカップ、その選別は
もうデタラメです。ついつい、このお店間違っている!
そんなことを決して言いださないようにワイフに睨まれますから、
(この紅茶をこのカップで飲めとは何事か!)と思っています。
最近も、陶磁器産地産の陶磁器が全国的に無知過ぎます。
それはデザイナー自身が無知な輩が多くなってきたからでしょう。
私の教え子たちなら、そのことには詳細なはずです。
そういえば、海外製陶磁器メーカーの倒産も、
この無知さが如実だったと言っておきます。

「陶磁器は進化も革新もしていなかった、私の判断」
「陶磁器メーカーの相次ぐ倒産はやむなしかもしれない」


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「プラチナ・ミラーリングのティーカップ」


   


     3月 23rd, 2012  Posted 12:00 AM

有田焼はこの2年研究をしてきました。
それは日本の陶磁器産地、その現状をしっかりと確認したことになります。
コーヒーカップの製品化を、
今度はティーカップにも新たな展開デザインを試みた結果、
Platinum Morphological Reflectionという手法で、
基本的な3パターンを押さえました。
ドット・ストライプ・チェックというグラフィックです。
そして、PMRはAnamorphosis的にどこまで可能かを追い求めました。
コーヒーカップもソーサーのグラフィックが
ミラーリング的に反射効果をしますが、
ティーカップは、曲面や曲率から、
正当な反射になるようにするためには実験をしました。
結果、デザイン設計として産地にグラフィックも提供し、
その基本となる釉薬から焼成での平滑度を
製陶工程に組み込むことがやっと出来ました。
講演前夜にその確認をするということになりましたが、
もし、私なりの評価が私の基準に達しなければ、
産地側にも決断をしなければと思っていましたが、
デザイン仕様どおりにモデルは完成していました。
そこで、詳細な工程も含めて講演内容に、
PMR-Methodの話を盛り込むことが出来ました。
その夜はうれしくてうれしくてたまりませんでした。
しかも宿泊したのが「嬉野温泉」でした。
まさしく地名どおりに
「お湯につかれてウレシーノ」を実感した次第です。
有田と伊万里は磁器産地であり、唐津は陶器産地です。
三つの産地の現在の商品価値は、国内外と比較して見てきました。
これは今後、
日本の陶磁器産地すべてに共通する問題を私なりに提案し、
なおかつ国内各産地毎の解決を求めたいと思っています
CGで見ていただければ納得してもらえると思いますが、
多分、この手法を模倣することは困難です。
そして、
陶磁器業界も模倣を繰り返すことで発展してきたはずですが、
私の判断評価は、
この400年ほど「陶磁器産業の高密度化」は停止していたと思います。
絶対に「革新」がかなった商品開発ができたと自負しています。
まだ次々と革新的な手法を国内、特に有田から出発させる覚悟です。

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「プラチナ釉薬とセラミックスをデザイン主導」


   


     3月 17th, 2012  Posted 12:00 AM

2050年から地球環境が怪しいと気づいていた企業。
20世紀末にそのことに懸命だったのが、エルメスでした。
それはエルメス本来の皮革製品開発が困難になると予想していたようです。
したがって、この企業は画然としたブランド企業ながら、
環境ビジネスへのベンチャー企業投資や特許申請は大変なものでした。
それは陶磁器にも表れていました。
陶磁器は本来はどんな形態でも造り出せる粘土です。
しかし、セラミックスはこの粘土をアルミナにして
粘土性能を否定した新技術・未来技術です。
これに日本各地の陶磁器産地は注視すべきだと私は考えてきました。
ただし、彼らは装飾絵柄にこの材料を使っていました。
エルメスには、独自の模様=パターンがあります。
「シェーヌダンクル」=錨の鎖というパターンであり、
商品アイテムではブレスレット・ネクタイなど、
いわばブランド表現を代弁する代表的なパターンになっています。
そして、エルメスの陶磁器で注目したのは
プラチナ釉薬によるこのパターンでした。
私の狙いは、表面処理としてプラチナの鏡面光沢を使えないだろうか、
というテーマ設定でした。
私は、最も先鋭的な陶磁器製品開発は
エルメスではないかと常に見つめてきました。
それはプラチナよりも、
青の至って陶磁器の歴史性では当たり前のモノが
昨年進化して商品化されました。
この14日に
私は産地・「福泉窯」とKz-aritaというブランドで発表しました。
産地にて、今回の発表からさらに貿易商品化を考えています。
これは何も有田焼産地だけではなくて、
日本の特に陶磁器産地は、伝統的工芸産地になっています。
ところが伝統的工芸産地は、
伝産法(私は悪法と考えてきました)に呪縛されていることもあり、
私は根本的な革新はデザイン導入だと考えています。
伝産法(伝統的工芸品産業の振興に関する法律)というのは
沖縄返還時につくられた
本来は沖縄再興と地元の伝統工芸活性化をねらっての法律でした。
これに対して私には根本的な考え方があります。
それこそ、「シェーヌダンクル」な意味を与えています。
プラチナはじめセラミックスの未来技術を
デザインが主導すべきではないかと考えています。
私は、陶磁器に限らずいわゆる日常の「器」、
それは「食器」から「家具」に至るまで、
相変わらずの形態可変に終始しているデザイン、デザイナーは、
すでに20世紀から今世紀に入ってきていないとさえ思っています。
特に、次世代デザイナーには、もっと旧態たる「モノづくり」への
大きな姿勢・態度をその知見=美学性と知識性で変革してほしい、
それが教育者でもあるので強調しておきます。

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