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『第23回日本文具大賞・機能部門グランプリ=ラチェット機構』


   


     7月 12th, 2014  Posted 1:20 AM

人類は、五大器械という発明によって、道具を機械化しました。
その中で代表的な歯車があります。
歯車は回転をしますが、この回転方向を一定にすることには、
誰が創始者だったかはまったく不明であり、
レンチなどの回転改良や自転車機構の工夫での基本的な機構です。
ラチェットとは器械式機構そのものですが、おそらく、
工業デザインの基礎では必ず学ぶものでした。
いわば、五大機構の一つを改良したものだったと思っています。
「鉛筆削り器」にすぎませんが、このちっちゃなモノに、
創意工夫の基本機構を、正直、今更ながらと考えますが、見事です。
これまでの単なる鉛筆を回転させて削ることを省力化したのです。
このメーカーは、文具大賞を目標にして初めての応募と聞きました。
だから、優秀賞からグランプリの発表では大変に驚かれました。
審査委員長の私には、大きな体の社長がこの小さな工夫器械商品化に
かえって驚嘆したほどでした。
文房具は100円から500円程度のモノたちですが、その大きさに、
性能アップで社会存在させた効能が、融合してこそ機能が生まれ、
そして、かいわいらしさに美しい機構設計は日本の独自性でした。
つまり、日本が「鉛筆削り器」を大発展させてしまったのです。
国家プロジェクトを大仰に語る業界が最先端技術だとは思えません。
文房具業界には、基本の基本で工夫改良を丹念にしていることを
私は「これぞ、最先端!」と叫びたいほどでした。
確かに、鉛筆よりシャープペンシルの風潮がありますが、
鉛筆をまず、この簡潔な器械で削ることから、本格的な刃物で、
リンゴの皮がむけるのが子どもが辿るべき重要な育成過程です。
だからこそこの簡単明快な小さな器械に私たちは大喝采すべきです。
機能部門とデザイン部門、二つのグランプリ商品は、
日本で発祥したから、なおさらきっと国際化、
世界中の児童達から大人までが最先端の文房具になるでしょう。
日本人だからこそ、小さな国でこの小さな器械が生まれたこと、
心から喜びたいと思っています。

SONIC ラチェッタワン ハンディ


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