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「Ship of the Year・日本船舶海洋工業界の今後」


   


     7月 26th, 2012  Posted 12:00 AM

2008年から審査委員を拝命しています。
同時期から「関西海洋教育アライアンス」で、
神戸大・大阪府立大・大阪大の大学院合同講義にて
「海洋デザイン戦略論」も担当しています。
船酔いする私には考えられなかったことですが、
全てではありませんが、デザイン対象として、
海洋・港湾・船舶・造船などに
またひとつ大きな興味を持つようになりました。
デザイン領域は、この海洋関連からも眺め直すことができます。
審査委員も海事教育も、恩師の指示でした。
恩師はグッドデザイン制度も創設者の一人でしたが、
Ship of the Yearを創設し以後審査委員長として、
なんとしても日本の造船や港湾へのデザイン導入リーダーです。
弟子として、海洋船舶業界のデザイン高度化を目指しています。
5年この海事業界に関わり、
日本の船舶や港湾の国際的な位置関係も知るようになりました。
正直、日本の造船は地味だと思いますが、
技術先進国として毎年、驚愕する技術が登場します。
しかし、特に、造船がデザイン主導システムになってはいないだけに、
保守的な船舶だと思います。
ところが、プロペラ駆動や、船舶でのハイブリッド化、
そして急速充電リチウムバッテリー船舶などは、
確実にこれからの造船業界を国際的にも牽引すると確信しています。
風力発電のプロペラなどは、船舶業界の技術導入や、
港湾を現在は土木工学が中心ですが、
絶対に海事工学的に開発すべきだということを発見しています。
今年度の船舶のどこが評価されているのかは、
下記websiteで知っていただきたいと願います。
http://www.jasnaoe.or.jp/commendation/soy_2011.html


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「海事システムデザイナーが必要」


   


     7月 9th, 2011  Posted 12:00 AM

教育アライアンス。
合同の教育プログラムです。
これからはこの教育システムでしょう。
「関西海洋教育アライアンス」。
四年目を終えました。
海事・港湾・船舶・造船などにデザイン論を展開しています。
大阪大学院・神戸大学院・大阪府立大学院一年生が対象です。
海洋システム工学に、デザインを二つの方向から教えています。
デザインマネージメント、デザインディレクションです。
私はデザインディレクションを担当。
デザインマネージメントは、プロの専門家を客員教授として招聘。
デザインマネージメントでは、コト(海事関連)からモノへ、
デザインディレクションでは、モノ(船舶・造船)からコトへ、
この二つを組み合わせて、チームによる発想から調査を、
表現としてスケールモデルでの造形デザインまで具体化します。
最後はプレゼンテーションをして修了というプログラムです。
今年度は、あえて「災害・救援」を海事システムにというテーマ。
メガフロート・ユニットモジュール船舶・発電メガフロート、
この三つの提案がありました。
これからの日本にとって、「メガフロート」は日本の生産物として、
大きな期待に応えられるモノになるはずです。
これから海事システム・造船や港湾設計に関わっていく学生には、
重要な分野になるはずです。
しかし、特に、港湾関連での「メガフロート」建造計画は、
まったく実現されていません。
理由は、日本の政治システムと連関しています。
しかもいわゆる政治家の建設族とか土木族に、
まったくこの発想が無いという事実があります。
すでに韓国の釜山港湾システムは、
まさしく海事関連での港湾計画では日本を追い抜いています。
日本の港湾には、接岸できる船舶の大きさにも制限があります。
海に囲まれたわが国の、海事=港湾と船舶、
この領域に新たな世代を育成していく重要性を、
私はこの4年間しみじみと体験することができました。
そして、Ship of the Yearの審査委員も拝命していて、
本来なら「船酔い」体質ですが、船舶と港湾から、
あらためてこの分野に、
海事デザイナーという職能が必要だと確信しています。

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