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Posts Tagged ‘性能デザイン’


『提案の背景に知見なしと言わざるをえない』


   


     6月 3rd, 2015  Posted 12:00 AM

かつて、iMacが発売のときに、
私は正直な批評をある雑誌に述べました。
100名中私だけが、「環境ホルモン問題を考えていない」と反対意見。
また、プラズマTVも、「近赤外線問題を指摘しました」。
そのたびに、私は世間から叩かれてきましたが、
結局は、その批判は正鵠を射てきたと思っています。
iMacのポリカーボネートは後にその素材は否定されて、
プラズマTVは技術未熟性で実際は工場での事故は隠蔽されたこともあり、
生産は完全に中止されてしまっています。
私のデザイナーとして、批評には正確を言い当ててきたと思います。
基本的にはまず自分が所有して使用してみない限り、
そのモノの批判はすべきではありません。
AppleWatchも購入して使ってみましたが、
腕時計の未来形を提案していることが実感できますが、
再度検分が必要だと私は使用して判断をしています。
最大の理由は二つあります。
まず、時計にある歴史的な形状では「トノー型」での内部実装であり、
これはブレゲが発明したトゥールビヨン的要因がまだ皆無なことです。
それは、稼働時間がやっと丸一日でしかなく、
機械式を超えていない性能デザインが出来ていません。
おそらく電子基板の関係で円形にする困難さをAppleこそ打ち破り、
熱発生の問題解消を遂げてほしいメーカーだと考えますが、
ディレクションはジョッブス氏でなければ不可能なことが明らかです。
おそらく時計機能を情報システムしていく見識が無いと評価します。
時計ベルトでのコスト表現は、デザイン認識が停止しています。
私はファッションとしてワイフとともに
それぞれがどのように使用するかを確かめています。
正直、情報化のコアはインターネットですが、
わが国の立ち後れはデザインが問題解決であることに無知鮮明です。
しかし、ジョッブス氏を失ったAppleWatchでも大惑いがあります。
使用していくことで、気づいていただきたいと思います。
そして、わが国はさらに鮮やかなコンテクスト見識ある、
性能性・効能性・機能性を問題解決のデザイン創出と実現だと確信します。


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「メガネフレームはまず自助具でありき」


   


     11月 8th, 2011  Posted 12:00 AM

メガネフレームのデザイン、
懸命に取り組んでもう25年以上になります。
インダストリアルデザインでの設計が、
産地に受け入れられてもらえたのは、
メガネフレームメーカー・増永眼鏡の指導と支援、
これがあったからだと思っています。
増永眼鏡は、フレームメーカーとして100年以上の歴史、
日本での眼鏡枠製造老舗、海外にはKOKIブランドとして、
最も信頼のある企業であり、技術力ではトップメーカーです。
メガネフレームは、ファッションであり流行に左右されます。
しかし、ファッション=自分演出のおしゃれ道具ですが、
根本的には視力支援器具、
いわば医療器具であることは免れません。
したがって、3プライスと言われるビジネスモデルでの
低価格商品は常にファッションというより、
「流行」だけをテコにした市場でありますが、
これは日本独特の市場展開なのです。
なぜなら、海外では度数の無いサングラスは、
どこでも買い求めることができますが、
医療器具としては、眼科医の処方箋が必要です。
眼科医というよりは、
「オプトメトリスト」=6年の大学専門教育と国家資格と、
「オプティシャン」というフレームとレンズの加工技師資格、
この二つの資格がなければ眼鏡ショップは経営できません。
日本だけがこうした資格無しでメガネが販売されているのです。
単なる広告宣伝でファッション性だけで語られる眼鏡は未完成です。
メガネフレームそのものがレンズが無ければ、
それはキーホルダーのようなモノにすぎません。
最近は、素材・重量(レンズ無し10g)・形態、
この形態がデザインだと受け取られていますが、
顔の形、耳、鼻などとのフィッティング=かけごこちは、
「性能デザイン」になっていなければなりません。
安易なデザイナーブランドや建築家が片手間デザインは、
「遊びのデザイン」として楽しめますが、
これをファッションとしてのメガネフレームだというのは、
生理的、倫理的、美学的には、私は認められません。
私は、いわゆるブランドフレームでも、いい加減なモノは、
それを着用しているユーザーの社会的存在性を自らが貶めています。
フレームの形態は、造形性能と造形機能が、
ある意味での「形態言語」になっていなければなりません。
私の提示した「アンチテンションスタイル」=レンズに応力無しは、
すでに「不易流行」のフレームデザインの一つの様式になりました。
メガネを着用している人、コンタクトレンズの人、
レーシックをしてしまった人、その手術を考えている人、
あらためて「視力」と「メガネ」、
この「造形言語」を読み直してください。
メガネフレームは「自助具としての性能・機能」が、
「効能」として、視力を支援し目を保護するモノです。

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