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「メタ・ユニバーサルデザイン再び」


   


     8月 27th, 2011  Posted 12:41 AM

久しぶりに「ユニバーサルデザイン」の取材。
放送大学向けの教材になります。
最近ではすっかり、
「ユニバーサルデザイン・ブーム」は終わったようです。
しかし、あらためて短時間に紹介し直してみると、
ブームで終わってはならないことだと再確認します。
私には「ユニバーサルデザイン」は、
1989年・名古屋での「国際デザイン会議」から始まりました。
この年に、「スニーカーのような車椅子」を発表しました。
その時の車椅子を2台、交互に今も使っています。
さて名古屋の国際デザイン会議で、
「ユニバーサルデザイン」を日本で最初に発言したのは、
故マイケル・カリル氏=NASAでの宇宙空間設計デザイナーであり、
当時の米国工業デザイン界の理論的支柱者でした。
彼とは親友でしたから対談もしていますが、エイズで亡くなりました。
1995年に米国での「ユニバーサルデザイン教育システム」を
日本展開する中心に指名されました。
ちょうど翌年1996年新設学部、
名古屋市立大学・芸術工学部で大学人になり、
「ユニバーサルデザイン教育の日本の代表校」になりました。
明確な史実としては、
故ロン・メイス教授がWHOからの依頼を引き受けます。
1980年から10年間「国際障害者年」開催のための調査レポートでした。
彼は「バリアフリーをめざして」という論文で
「ユニバーサルデザイン」という言葉を使いました。
したがって、故ロン・メイスの七箇条が原則論となってしまいました。
しかし私は、故マイケル・カリルの思想を加味し、
「七原則+七論評価」を付加しました。
学生には「公・自・単・情・安・省・空」とお経暗記させました。
さらに、七原則+日本流を対峙させました。
次のようにです。

■ 「公」=公平性    ◇ 不公平さをどう解消するかも原則
■ 「自」=自由性    ◇ 不自由さ拘束性からの解放も原則
■ 「単」=単純性    ◇ 複雑さこそ克服するという原則
■ 「情」=情報の即理解 ◇ 情報非公開性もバランス感覚という原則
■ 「安」=安全性    ◇ 安全を確約するための危険体験という原則
■ 「省」=省体力性   ◇ 体力錬磨を忘れないという原則
■ 「空」=空間確保性  ◇ 日本では省スペースでも機能性という原則

結局、人間には「バリア」が必至だということです。
バリアフリーでなければならないことと、
敢えてバリアに取り囲まれること、
まさに「幸運・幸福」の「幸」という漢字の原意に重なるのです。
人間は、不平等で不自由であるからこそ、
そうしたバリアから解放させられる個々人の知恵をめぐらすこと、
それが「普遍性・宇宙性=ユニバーサル性」を
誘引させることができるという大原則論。
今私たちは「放射能」というとてつもない恐怖と現実で拘束されています。
私は、メタ・ユニバーサルデザイン性を再度、
この国難復活デザイン原則へまとめ直したいと考えています。
建築誌「SD」は「Human Centered Design」で終刊しました。
放送大学向け取材で、あの「ユニバーサルデザイン」も、
この国難解決の大きな手がかりになるものと判断可能です。
こうした再思考チャンスをいただいた
東工大名誉教授・M.S先生に感謝します。


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