kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘高額品’


『たかがボールペンだからファッション性がある』


   


     8月 26th, 2016  Posted 12:00 AM

おそらく文具屋さんのこうしたペン類をすべて試すことはないでしょうが、
自分は全てノックオンなどと書き味と書き心地を試してしまいます。
ともかく日本ほどこうしたペン類がそろっているところは
世界にもそうないでしょう。
ということは、日本人はとても恵まれています。
しかしプロのデザイナーとしては全てが応答商品にすぎないと考えています。
最も日本が解答商品を出したのは、「消えるボールペン」でした。
海外へのお土産には最高のモノです。
最近は0.01mmを造りましたが、これは回答商品と応答商品があります。
どれが応答で、どのメーカーのモノが回答商品かというのは、
話題になること・Topicsに応答している・Replyかは、試してください。
回答商品は、3種しかありません。
 ・キャップを外して使用するモノ
 ・ノックオンして芯を出し入れするモノ
 ・軸を回転させるだけのモノ、だけです。
最も、軸を引き延ばすことで芯が出てくるモノもありますが、
すべてが廉価品であり、100円ショップに平然と並んでいるモノもあります。
こうしたペン類は、所詮、何のためらいもなく使われていますが、
自分は、こうしたペン類の最高級品・高額品が日本にはほとんど無いこと、
これがこの業界を応答商品か回答商品で終わらせていると思っています。
実際は、ペンを持つこととファッション性があるということが大事です。
ある企業の社長は専務が取り出したボールペンに怒り出したことがありました。
専務ならそんなボールペンは使うべきでは無いということでした。
ある企業のプレゼルームでは、最終契約を結ぶ時には、
最高級品のボールペンと契約書が出され、
そのボールペンはプレゼントされました。
ホテルのバトラーの方が、これでサインをと言われたとき、
これはあのブランドですね、と言うと、
分かってもらえました、と、喜ばれたことがあります。
ペンとファッションが同一次元だと考えるべきと自分は思っています。

* 「ブルーを持ち歩くというファッションとデザイン効果」
* 「消える?という精美さ・日本のモノづくり」
* 『ボールペンとスタイラス・私の親しんだ描画ペン』
* 『葉巻文化と筆記具文化の統合性は凄いのだ!』
* 「現代文房具はどうして面白いのか」


目次を見る

「高級品ということの詳細」


   


     8月 30th, 2011  Posted 12:00 AM

日本語での「高級品」。
この定義は曖昧です。
まず高級という言葉の意味範囲が狭いのです。
高級品=高額品という印象があります。
しかし、高級というのは必ずしも高額でなくても、
安価なモノでも高級品というのは存在します。
そこで英語圏や仏語圏での「高級な」という言葉と、
比較してみる方法があります。
海外には高級を意味する言葉が豊富です。
贅沢なということから高品質までが「高級品」内実です。
日本語なら絢爛豪華な過飾性から単純簡素性までに、
「高級品」は存在しています。
勿論、高額であることも高級品の一つの定義です。
しかし英仏両方とも「品質」の信頼性が定義核心になっています。
そして、日本では「品格」が高度であることが求められます。
いわゆる「成金趣味性」には否定される範疇です。
最近では中国製の模倣品が「高級ブランドそっくり」です。
これを身につけていてもまったくわからないほど正確になっています。
ある経営者は中国模倣品をいたずら心で身につけて、
周囲を楽しませているという話を聞きます。
結局、「高級品」あるいは「高級ブランド」は、
所有性・使用性においてその使い手の品格と同調するわけです。
したがって、日本ブランドが高級品かどうか、
それは一等国家=高級国家(あり得ない呼称ですが)を意味しています。
少なからず、私たちは「高級品」という価値観を、
私たち自身に向けて再確認する必要があります。
今、私たちの国は決して品格ある国家ではなくなっています。
この国難にあって、復興と再構築には「高級」であること、
それは目標と目的として「品格」の高密度化に連動しています。


目次を見る