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『資本主義からの逃走』
    「情報のアポリア化は個人認証(人権)で直面」


   


     12月 10th, 2010  Posted 12:00 AM

道が無くなる
「突然、道が無くなる」こと。
これをギリシア語の原意でアポリアです。
目の前に突然、あるいは瞬間、
難関・難問が立ちはだかることを意味しています。
現代、人はその存在を社会的に認証しているのは情報化されている社会的な存在性です。
ということは、いわんや人権と社会権の関係が
「情報」に集約されていることになっているということです。
人権情報の社会化というのは、個人認証ということです。
フリーランスデザイナーになったときに、「銀行金庫のデザイン」を手がけたことがあります。
20余年前の体験でした。バブルになる直前だったと思います。
デザイン対象となる「銀行金庫」は、かなり軽薄なモノだと思いました。
それは、貸しビルの二階でも設置できるシリーズの金庫でした。
床と天井を破壊すれば、すぐに金庫ですから、
それが銀行金庫というのはこの日本だから可能なモノであり、
当然、輸出される工業製品ではありませんでした。
しかし、この金庫の鍵については先端的な技術導入が決まっていました。
虹彩認証
それは「虹彩認証」によって、金庫内への出入りが決定されるモノでした。
この銀行金庫では、始めて識る様々なことをデザインするという経験をしました。
いづれ書きとどめることだと思っています。
さて、「虹彩」というのは、
人間すべて一人一人が異なっている指紋以上に各人の認証性を証拠づけるものです。
ところが、これもその当時にいづれはコピーされてしまうことが予想されていました。
つまり、人権を認証する基本はありえないのではないだろうかということでした。
要は、情報、特に個人情報を管理するパスワード、指紋データ、声紋データ、虹彩データ、
すべてがコピー可能だということです。
結論は、個人認証の手段はすでに行き詰まっているアポリアだということです。


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