3月 25th, 2021 Posted 7:00 PM
一見シンプルなデザイン、
それは今までにない機能的な形態を実現したものだった。
100年以上もの歴史を持つ高級眼鏡フレーム製造販売の老舗、
増永眼鏡(福井県・福井市)との協業による作品
「カズオカワサキ・アクト」だ。うたい文句は
「あらゆる人間にとって使い易い“ニンゲンノメガネ”」だが、
これは単に人間工学に基づいたものではないという。
人間工学を踏まえさらに昇華させた
ヒューマン・サイエンシズ・アンド・アドバンスド・テクノロジー
HUSATによるデザインなのだという。
レンズを保持するパーツのリムは、
フロント全体の変形を抑える形に、
テンプルとフロントをつなぐヨロイというバネ部分は
フレームの破損を防ぐとともに
快適なかけ心地を感じさせる仕組みになっている。
テンプルはバネ部分に効率よく力が分散するようにし、
フィットしやすいノーズパッドも
かけ心地のよさをプラスしている。
かけていて心地よいだけでなく、
安心安全をも追及しなければいけないのだ。
川崎さんのデザインは「スマート&テクノロジー」がテーマだ。
今回の作品も最小限のパーツで性能性・効能性そして機能性と
美しさを追求した存在感を具現化したモノとなっている。
単にモノをデザインするのだけでなく
モノの根本的な問題をデザインで解決するのだという。
眼鏡は人間の顔の中で一番大切な個所、
命にもかかわる所に関係している。
医療的な面をもデザインに入れ込まなければ、
常に安心安全に使うことはできない。
そんな不安を払拭すべくデザインが
川崎さんの作り出すモノなのだ。
眼鏡は装飾品と身体機能の補正
あるいは医療機具としてあるべきもの。
よって医学や工学などの専門知識を
デザインでまとめているという。
デザインをする過程においての
スケッチは処分していたそうだが、
後輩たちにもその術を受け継いでもらうために
今では保存している。この新しいデザインの解決策を
将来デザインに携わる人にも伝えていってほしい。
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12月 24th, 2015 Posted 12:00 AM
工業デザイナー仲間と話をすると必ずこの車の話になります。
フェラーリでも、ポルシェでも、ランボルギーニでもなく、
ボンドカーになってしまいます。
成金趣味を超える所有と使用、
その価値は爆買する中国人には売らない主義、
それを今も護りどこまでデジタル化を許しアナログ性を護り抜くべきかは
企業現在のモノづくりの限界設定であり、
価値感のあり方に対する「閾値」決定論になっていると私は考えています。
「価値論」の根本は今流行の「デザイン思考」では決して到達しません。
なぜなら、
デザインには三つの方向があります。
相互作用力と重力=現在時代力、電磁力=経済と文化と歴史です。
さらに思考には、思うことと考えること、
この三つが反映されてこその「デザイン思考」には大欠落があります。
それは「野生の思考」から「デザイン思考」が
生まれたわけではないのです。
元来、デザイナーの方法論がビジネススクール以上の方法論、
それも「イノベーション」を導き出すというのであれば、
シュンペンター発想が歪曲された資本主義上では成立不可能なことです。
そこで私の使命は「コンシリエンスデザイン」に辿り着きました。
日本のモノづくり原点から一度は経済的な大試練を受けた、
新たな公益な資本主義と
デザインの統合主義=コンシリエンスデザインです。
具体的に私は一つのカーデザインにその具体性を唯一見いだしています。
だからデザイナー仲間が集まるとこの車、ボンドカーになるのです。
そのディテールには風=風圧と速度を曲面造形の抵抗とその解消解答です。
これはコンシリエンスデザインとレジリエンスデザインのシンボルです。
レジリエンスデザインというのは、一言で断言してしまえば、
ストレスには決して押しつぶされない抵抗自力の端正力です。
人間は決して自然とは調和などできるわけがなく、
しかも人間には有限があります。
生きていくことが死んでいくことへの道程であり、
そのことを忘れて生きているにも関わらず、年老いて直ぐに気づくのです。
ボンドカーにある曲面造形には、風圧抵抗:前進しなければならないこと、
その抵抗を真正面で受け止めて、
後方では見事に重力で地面に張り付くという造形での解決策です。
私は安易に「デザイン思考」とは呼ばずに、
「コンシリエンスデザイン」と呼んでいます。
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4月 2nd, 2013 Posted 12:00 AM
ワイフの多分趣味、あるいは実用なのかは不明ですが、
「髪留め・ヘアークリップ」のブランドがあります。
これは日本国内の有名ブランド街などで見ると、
どれだけ店舗デザインという
いわば一般的には店舗デコレーションに多額の費用がかかっています。
ところが、この有名ブランドのパリ店は、
私がこれで十分だと思うほど、
シンプルで、装飾もなく、ただ漫然としていて、
20年あまり店舗デザインが変わっていません。
だから、ワイフもこの店でしかヘアークリップを求めませんが、
私もこのシンプルさが多分、長い間に変貌していないと思います。
しかし、
訪ねるたびに、
目新しいデザイン(解決という意匠)の新作が仰天するほどあります。
一度、ソォーと彼女の髪留めのコレクションを
写真に撮りたいと思うほど見事です。
プロダクトデザイン、インダストリアルデザインという専門家としても、
「デザイン」の解決策、意匠案、装飾性のバランスを見るのです。
もちろんパリでは絶対に超高額なブランドショップも、
くまなく見ることにしています。
そうすればどれだけその店が優しくて美しいかを、
再確認することができます。
パリは美しい街ですが、車倚子には以前から、
バリアフリーになってはいますが、行動は相当に困難です。
多分、私の車倚子だから走行が出来るのだと確信しています。
これまで、入れなかった場はほとんどありませんでした。
人の手をかりなければならないこともありました。
そして、
車倚子を無視する相手にはいつも堂々と喧嘩を仕掛けました。
嫌なヤツは海外にも必ず居る者です。
そういえば、昔は、
「あなたがそんな喧嘩を仕掛けると、銃で撃たれるから」と、
現地住人の友人にひどく叱られた想いもあります。
それは、胸ポケットに手を入れた瞬間でした。
話がずれましたが、
「髪留め」という言葉、あるいは「かんざし」という日本語も、
そして女性にとっての髪留めのデザインは、
私がデザインしてみたい一つです。
きっと、これもやり出せば、5年はかかるかもしれません。
アイディアは、もう随分見てきましたし、
こんな「かんざし」があってもいいと思っているぐらいです。
そういう意味では、こうした今では超有名ブランドのパリ店、
その「地味さ」には、
真のデザイン理念があると思えてなりません。
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