kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘行学としてのデザイン’


「『最終講義』を告知させていただきます」


   


     2月 6th, 2013  Posted 12:00 AM

すっかり風邪を引き、点滴でなんとかしつつも、
実質的な阪大での講義も全てやり終えました。
それからまたふるさと福井での繊維産業の再活性化で帰省しました。
いつものごとく、親友がいつでも見まもってくれているので、
ふるさとは本当にありがたい場です。
このFBでも、BLOGを休筆すると先輩や後輩、
さらには教え子から元スタッフまでみんなに心配をかけてしまいます。
正直、まだ風邪は抜けてくれていませんが、
自分の身体がどうであれ、世の中は連日事件、
さらには、中国からのスモッグと大変な状況です。
昨夜北陸線でも事故があって、車中で従兄弟からも、
最終講義は聴きにいくからと嬉しいメールで、
「準備進んでいるか」とのこと。
やや焦っています。
スタッフや元スタッフ、学生たちが
最終講義の準備をしてくれていますから、
私としては、
本当に大学人最後の講義をしたいと思ってはいますが、
何をテーマにするかは日々変わります。
タイトルだけは、「・・・the Final」と決めました。
プレゼンテーションも、
Picture in Pictureという形式での講義スタイルを考えています。
デザイナーだから、
作品で語ることもできます。
デザイン史を、デザイン論を、
敬愛するデザイナーを、などなど語れるでしょう。
1996年に名古屋市立大学・芸術工学部新設から大学人になりました。
2006年に大阪大学大学院に移籍しました。
17年間、大学人とデザイナーという社会的な立場にありました。
阪大を退官とともに、
どのように今後のワークスタイルをここ数年常に考えてきましたが、
3.11によって、私は、最期の生き方を決定することができました。
あくまでも「行学としてのデザイン、デザイナーでいること」です。
それはおそらく、もし生まれ変わっても、
「デザイナーになる」ことは変わらないでしょう。
話せるかどうかはわかりませんが、
常に、自分を捉えて放さなかったテーマは、
「デザインでわび・さび観に近接できるか」でした。
直感的には、たとえ工業製品、産業的美学上の形態に、
「わび・さび」を配置することこそ、
日本のデザインテーマだと熟考してきたことです。
そんなことを最終講義に少しでも加味したいと考えています。

最終講義申し込みは以下です。
www.kazuokawasaki.jp/final.html


目次を見る

『資本主義からの逃走』
 *軽井沢、現代アート、ユーロコプター、だから本物!*


   


     10月 31st, 2009  Posted 12:00 AM

いつか、でも必ず、ヘリコプターをデザインしたい。

091030forest1
091030heli3

若いときに影響を受けた経営者は数少ない。
その一人の企業と仕事を始めた。
そして、その経営者が残した別荘に招かれた。
軽井沢で最大規模、これ以上の別荘は無いだろう。

その経営者の眼力で選ばれた現代アートが200点余り。
それだけでは無くて、
建築・インテリア・庭園・家具、すべてのセンス最高。
こんな経営者が日本に存在していた。驚愕だ!

彼の著作にとりつかれた時があった。
私は、その企業と取り組んでいる仕事に、
「最高のモノを!」と、強烈に望まれてしまったのだ!

公にされずに、密やかなれど、
「美」と「暮らし」はこうあるべきだと教えられた。
紅葉の広大な庭園には、現代アートの彫刻がある。
気づかないほど自然に溶け込んでいる。
これほどの完璧さにある「美」を見せられた以上、
私のデザインへのプレッシャーはとめどなく大きい。
雑誌やTV番組に登場する別荘などは及びもつかない。

そして、大好きなヘリコプター、
それもユーロコプターで、快晴の中を飛んで、
東京に入った。

ユーロコプターは、今、最も美しいヘリコプターだ。
しかし、私なら・・・・

「本物」とは、「二重否定」で決定されることだ。
「偽物」では「無い」。
「偽物」=一次否定・「無い」=二次否定、
ゆえに、「二重否定」=「本物」。

私は、このブログで、「本物になりたい私」を
さらけ出している。
卑怯者で偽者が本当に多くなってきたから、
やはり、「行学としてのデザイン」で、
このブログでの考察を続けたい。


目次を見る