「絵画に惚れることの重大さ」
5月 4th, 2012 Posted 12:00 AM
それは美大で学んだこともありますが、
「絵が大好き」という天性の嗜好性があるからでしょう。
心臓疾患で長期入院162日間入院をしたことがあります。
ちょうどその時に、
以前から美術雑誌で見かけ心を奪われていた画家がいました。
彼の初めての日本展開催を知り、
妹にカタログ購入を頼みました。
その後、フランスで彼の画集を随分探し回りました。
しかし見つかりませんでした。
ところがそれは書棚の一番上に大量に並んでいました。
まさかそれほどの人気画家とは思ってもいなかったのです。
モンパルナス付近の美術書専門街でも、
そこの書店主は「家族全員が大好きだ」と告げられました。
フランスでは本当にポピュラーでした。
ともかく、大好きな画家はいっぱいいますが、
彼はその中でも一番です。
パソコンなどのデスクトップ画面は、
必ず彼の絵にしています。
あるとき、
グラフィックデザイナーから画家に転身した友人から、
「誰の絵が好きか」と尋ねられて彼の名を上げたら、
「買えばいいじゃないか」って、簡単に言われました。
「彼の名をあげるなんて最高にいいよ」と評されました。
私は「色彩論」を教えるときには、
彼の絵画での私なり解釈の色彩調和論を講義します。
この「サッカー」などを見ても明らかに、
具象性と抽象性、さらにマチエールもミックスメディア性など、
現代絵画を革新しています。
現代絵画と現代音楽は相通じるところがあります。
「絵画」と「音楽」は美学の対象分野であり、
私にとっては、デザインをするときの背景、
特に造形と色彩選びの基盤・下敷きであることは間違いありません。
そして、彼のこの絵が代表するように
世界の画壇に大きな影響を与えるものとしてスターになりました。
これからさらに一般的にも有名性を獲得することを約束されました。
ところが個展準備の制作中、個展直前に自死しています。
どういうわけか、私は自死を選んだ画家が好きなようです。
フランスに行くと必ず彼の画集を探し求めています。
彼の作品で欲しい物が数点あります。
彼の名は「ニコラ・ド・スタール」です。
「絵画」を眺めるということと自然風景を見ること、
すなわち「鑑賞」するということの重大さを心眼にしていくことは、
きもちの振幅にα波を与えるようなものです。
このα波がいのちを活性化するのです。
このα波を絵画に込める苦難が作家を冥府に誘い込むのでしょうか。
デザインも絵画同様「鑑賞」してもらうことを願っています。
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