『資本主義からの逃走』
「かたちは泣いていた・・・共産主義の哀れさ」
11月 1st, 2009 Posted 9:41 PM
● 資本主義経済は、まず私的な「収益性」を分配します。
それは、人間の欲望のまま私利私欲の追求です。
しかし、私利私欲は社会から疎んじられます。
したがって、資本主義には倫理性が求められました。
その倫理性の具体化は、
欲得を社会化=私利私欲の公益化をめざすわけです。
それは、収益の社会的で公平な分配です。
分配というのは私利益の一部を社会還元することです。
社会主義は、公的利得がそのまま社会に運用され、
私的財産も公的に管理されます。
その主義によって、私的生活はほぼ完全に保障されます。
社会保障制度とは、本来は社会主義的な保護政策です。
共産主義は、私的財産は制限され認めない。
それが根本的な前提という制約制度です。
つまり、「収益性」と「公益性」のあり方を、
私的か、公的か、その自由性に委ねるか、否か、
という資本主義とは真正面から対峙・対決しています。
公的な平等性の強化を政治支配によって、
私的自由度は制限されても、公平性は確約されます。
● 20世紀は、この自由性・公平性・私的財産の保全など、
二つの主義=イデオロギーで分割され、
このイデオロギーは、対峙どころか対決しました。
● 私は、モダンデザインの系譜・デザイン史から、
共産主義と社会主義を概観することができます。
そして、この共産主義の登場からの系譜を見れば、
ソビエト連邦の崩壊の理由は明確に分かります。
それは「ロシア・アバンギャルド」によって、
「表現された作品」、
その「芸術家」から見えるのです。
彼らはデザイナーという職能家の源だったと思います。
ロシア・アバンギャルドによって、
共産主義の「かたち」が最も具体的に表現されました。
しかし共産主義革命は、革命直後から、
このイデオロギーが崩壊する兆しが見え始めています。
残念ながら、このことに言及した資料はありません。
● 私は、デザイナーになって以来、
ロシア・アバンギャルドの資料を収集してきました。
本論で、この言及を試みるつもりです。
それは、やはり、
この言葉から始めればと思います。
制約制度の中で大衆は泣きました。
共産主義の制度で苦しめられた人々、
その泣き声こそ、
このイデオロギーが終焉するまで
泣き続けていたのではないかと私は思っています。
ロシア・アバンギャルドの中核人物
ウラジミール・マヤコフスキー(w)は、
革命直後にこう叫んだのです。
● 「かたちが泣いている」と。
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