1月 16th, 2018 Posted 12:00 AM
東山魁夷の「年暮る」という名作があります。
当時は京都ホテルの屋上から、川端康成の提案で、
「今描くべき」と言われた作品(1968年)があります。
「描いておかなければやがてこの景色が変わる」と言われた雪景色でした。
京都ホテルは現在は京都ホテルオークラです。
ホテルオークラのOkuraは私の恩師のスクリプト体であり、
ホールのデザインは故・内田繁、アルドロッシゆえ、
私にとっては、いつもこの絵画の上に現代の京都があります。
4日間このホテルから古書を探していました。
古書といっても、江戸時代の庶民の筆タッチのスケッチ:画集です。
結局、見つかりませんでした。
出逢ったあの時に買うべきだったと思っています。
とても軽快にほとんど一筆描きかと思うとても薄い画集でしたし、
なんだかいつでもこのスケッチを思い出すのです。
京都はワイフの生まれ育った場所ですが、
京都が魚を食べられるのは福井県小浜市からの「鯖街道」があるから、
奈良だって、お水取りは福井から送られてくるのです。
ともかく毎月、映画を観るために出かける街になっています。
車イスの私には、京都と金沢が映画が観やすい街なのです。
大阪はやや不潔で駄目、東京は車イス使用者を規定の場所ゆえ駄目です。
このことは本当に言い伝えないといけないと最近はつくづく思います。
もうどこが観光化していないかが分かる街になっています。
ともかく、今年はこれほど寒いかという街でした。
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3月 24th, 2015 Posted 12:00 AM
私は彼のいけばなの舞台を間近で見ています。
その日の感激と感動はぬぐいようもなく、私に張り付いてきました。
「花」には美しさがある。美しい「花」というものはない。
この言葉は、小林秀雄のことばですが、
小林秀雄は、
私が受験時代に最も現代国語の問題で引用された作家でした。
とのこともあってか、彼の著作は確かに沢山読んだ記憶があります。
しかし、それよりもデザイナーになって、
「花」と「美しさ」の対照化は自然・人工物と美の問題に直結し、
このことにとらわれてきましたが、彼のいけばなは、
生け花、活け花、いづれとも明確な違いが体感できることでした。
早速、彼のいけばな画集で何度もその確かめました。
ところが、彼自身も、3.11 東日本大震災と対峙して、
彼の「一日一花」は一年毎日のいけばなで、
私もまた、震災と人災で台無しにしてしまった事件と向き合い、
そして、また彼のいけばなによって、
美しい花というようなものではなく、花を美しくする文字通りの
自然の花茎から生花を切り離しながらも、
花を生ける、花を活かす、切ることの大事さこそ、
私は見事な「大切さ」の具体パフォーマンスだと認識しました。
特に、彼が毎日毎日、花の美しさをもう一度、
美しい花にする大切さの体現化は、毎日毎に知らし直されています。
彼と私は同世代だということもありますが、
「大切さ」は、美しい花があるからこそ、花の美しさを体現化する、
その手法には、日本人だからこそ見いだした手法だと思います。
私はデザイナーゆえ、人工物のモノ、
美しいモノを、モノの美しさすら本来皆無ゆえにこそ、
美しいモノをものにしていかなければなりません。
その極致が、「大切さ」を受け止める力が自分にあるかどうかです。
一日一花ならば、一日一スケッチが今、私の日常作法です。
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7月 21st, 2012 Posted 12:00 AM
フランスで見つけた私の蔵書の中で最大に大きい本です。
レオナルド・ダ・ヴィンチの手稿を
編集し直した画集と言ってもいいでしょう。
海外で書籍を買っても私は船便や航空便で日本に送りますが、
この本は携えて持ち帰りました。
もう何度も何度も読んでいるというより、見てきた本、
見つめてきた彼のスケッチでいっぱいの本です。
もちろん、彼の有名なスケッチは網羅されていますが、
そうしたものよりも、見かけないスケッチ、
特に、解剖図はほとんど収められているでしょう。
本物の手稿本は、ビル・ゲイツ所蔵ということですが、
ビル・ゲイツも、自宅手元には無くて、
いつも世界のどこかの美術館で展示されていると言っています。
解剖図では、
当時は内蔵のその部位がどのような機能だったか、
不明がいっぱいあったはずですが、
極めて丹念に描かれています。
日本で出版されている、
ダビンチの手稿・スケッチ本も収集するように持っています。
そして、この本にはあるけれど、これはやっぱり載っていない、
そんなことを楽しんでいます。
丁寧に1頁づつを私なりに評論をいつか書いてみたいと思っています。
そして、
スケッチこそ思考の最大・最適・最良の発想法だと確信する私なので、
この本には、私への勇気をみなぎらせてくれるバイブルです。
それをまさに象徴するほど、おそらく出版される最大の大きさは、
与えてもらえる、私への勇気の大きさと同値です。
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5月 4th, 2012 Posted 12:00 AM
絵画にはいつも目配りをしています。
それは美大で学んだこともありますが、
「絵が大好き」という天性の嗜好性があるからでしょう。
心臓疾患で長期入院162日間入院をしたことがあります。
ちょうどその時に、
以前から美術雑誌で見かけ心を奪われていた画家がいました。
彼の初めての日本展開催を知り、
妹にカタログ購入を頼みました。
その後、フランスで彼の画集を随分探し回りました。
しかし見つかりませんでした。
ところがそれは書棚の一番上に大量に並んでいました。
まさかそれほどの人気画家とは思ってもいなかったのです。
モンパルナス付近の美術書専門街でも、
そこの書店主は「家族全員が大好きだ」と告げられました。
フランスでは本当にポピュラーでした。
ともかく、大好きな画家はいっぱいいますが、
彼はその中でも一番です。
パソコンなどのデスクトップ画面は、
必ず彼の絵にしています。
あるとき、
グラフィックデザイナーから画家に転身した友人から、
「誰の絵が好きか」と尋ねられて彼の名を上げたら、
「買えばいいじゃないか」って、簡単に言われました。
「彼の名をあげるなんて最高にいいよ」と評されました。
私は「色彩論」を教えるときには、
彼の絵画での私なり解釈の色彩調和論を講義します。
この「サッカー」などを見ても明らかに、
具象性と抽象性、さらにマチエールもミックスメディア性など、
現代絵画を革新しています。
現代絵画と現代音楽は相通じるところがあります。
「絵画」と「音楽」は美学の対象分野であり、
私にとっては、デザインをするときの背景、
特に造形と色彩選びの基盤・下敷きであることは間違いありません。
そして、彼のこの絵が代表するように
世界の画壇に大きな影響を与えるものとしてスターになりました。
これからさらに一般的にも有名性を獲得することを約束されました。
ところが個展準備の制作中、個展直前に自死しています。
どういうわけか、私は自死を選んだ画家が好きなようです。
フランスに行くと必ず彼の画集を探し求めています。
彼の作品で欲しい物が数点あります。
彼の名は「ニコラ・ド・スタール」です。
「絵画」を眺めるということと自然風景を見ること、
すなわち「鑑賞」するということの重大さを心眼にしていくことは、
きもちの振幅にα波を与えるようなものです。
このα波がいのちを活性化するのです。
このα波を絵画に込める苦難が作家を冥府に誘い込むのでしょうか。
デザインも絵画同様「鑑賞」してもらうことを願っています。
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