12月 18th, 2017 Posted 12:00 AM
福井に戻って越前打刃物にデザイン主導を始めました。
「タケフナイフビレッジ」を設立して35年?ほどですが、
今年度も瑞宝単光章を叙勲、3人目で毎年1名いただいています。
こうした褒章制度への様々な見解などには
私は何の制度批判論もありません。
ともかく私には「タケフナイフビレッジ」デザイン主導を信じてくれていた、
越前打刃物の仲間たち=10人でスタート、1名逝去ゆえ親方たちが、
それこそ市長から議員さんまで集まって本当に温かい叙勲記念、
その集まりがとても大事だと思っています。
そして生きていてくれたならという、何人かの裏方だった人や、
生きていれば叙勲されたメンバーを思い出します。
「タケフナイフビレッジ」については、日本でトップ、
無論世界でトップの刃物にデザインを導入できたその大きな喜びがあります。
当然、越前市には、打刃物だけではなく、和紙から漆器までの
日本の根柢的な伝統工芸が継承されるだけでなく、
真の「伝統」trad=先代を裏切る進化、
それをデザインが主導出来たことです。
越前市の市長も大学卒業から即、松下政経塾に入り、
地方行政のリーダーとしてずーっと見てきたことです。
これは私の人生の大きな一面としても自分デザインでの作品が、
今なお全くデザイン変更無くても市場性を失っていないことです。
北陸新幹線が隣の金沢市を活性化しています。
しかし、それがやがては福井市から敦賀市までという計画ですが、
私の見識では、果たして新幹線での観光都市が正解とは思っていません。
「タケフナイフビレッジ」は連続して3人も叙勲して、
後継者も若い次世代20名も居ますが、彼らは私を怖がっています。
当然でしょう、30数年の経験から未来のデザイン、打刃物の近未来から、
もっとその伝統工芸を正直私には明確な夢があります。
しかし、私に残された人生の時間もあります。
叙勲者は同世代であり、私自身も彼の親父さんから学びました。
「知延常楽」を彼は鋼の火造りレンガの釜場に残しました。
そして「槍鉋」という宮大工ならば使いこなすべき刃物づくりが出来ます。
現代の鋼素材加工では絶対に科学的解明不可能さえ、
私は見てきましたから、それを今では使用する宮大工さんもいませんが、
私はデザイナーとして彼の火造り鍛造を残すつもりです。
* 『タケフナイフスクールは越前打刃物産地に開設する』
* 『「寸は尺よりも長し」をデザイン表現したハンガー』
* 「『知延常楽』・打刃物職人の哲学にローカリズム」
* 『機能美に器能美を五大器械から語り直す』
* 『ハサミを鋏から「刃裟美」としての相対論の記述』
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11月 14th, 2010 Posted 12:00 AM
生命力を培う風土
風土とは後漢時代の説文解字です。
土地への四季・気候、あたかも風のごとく、
その天地に宿る生命力を培うことを表す言葉です。
私が、医師からふるさとに帰れといわれた意味を知ります。
「生まれ故郷には、生命力を守ってくれる力があるから」ということが理解できました。
「活性化の三要因」
そして、伝統工芸の産地では、地縁・血縁社会=ゲマインシャフトがその労働を支えていました。
この産地現場に資本主義の論理には何かズレがあるという懸念もありました。
「火造り鍛造」の現場では、真っ赤になった鋼を鍛錬し、水に浸すという交互の作業です。
温度の制御がありました。伝統技は経験で蓄積されてきた濃密な知恵でした。
私は、こうした作業の中で、デザイナーの立ち位置が次第にはっきりとしてきたのです。
すなわち、「活性化」という化学的な三つの要因と向かい合いました。
「温度=情熱と冷静さ・濃度=知識と知恵の濃密さ」がまずあります。
そして「触媒となるデザイン・デザイナーの存在としての私」です。
「温度+濃度+触媒=活性化」という図式を産地に当てはめれば、
確実に活性化を起こすことができるということでした。
当時は、「第四次全国総合開発計画=四全総」が立ち上がりましたが、
その目標と目的を遂行する活性策の基本的な認識に、この三つは欠落していました。
すでに「地方の時代」が提言されてからも10年は経過していたはずです。
リージョナリズムからグローバリゼーション
「地方の時代」=ローカリズムという言葉よりもむしろリージョナリズムという論理は、
「風土性」を基盤とした地域・地方主義です。
この論理に、ようやくグローバル=地球全体のことへと関心の方向が芽生えます。
地域風土それぞれの集大成と統合性が見え始めていたことを思い出します。
70年代、80年代、経済社会と自然環境の隔絶が始まる時期に重なってくるのです。
それは、功罪としての地球の共有感と環境破壊を抱え込み、
エコロジーとしての、地域各地の風土性を分断していきつつも、
なんとか共有意識化の始まり=グローバリゼーションでした。
Tags: エコロジー, グローバリゼーション, グローバル, ゲマインシャフト, デザイナーの立ち位置, リージョナリズム, ローカリズム, 共有感, 四全総, 地方の時代, 地縁・血縁社会, 後漢時代, 活性化, 温度, 温度の制御, 濃密な知恵, 濃度, 火造り鍛造, 環境破壊, 生命力を培う, 第四次全国総合開発計画, 触媒, 説文解字, 資本主義の論理, 風土性
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11月 13th, 2010 Posted 7:41 AM
伝統工芸にデザインという手法
私は伝統工芸をデザイン対象にしました。
恩師二人からのアドバイスを受けました。
故・小松芳光先生から「花鳥風月に潜む風土性」。
柳宗理先生のマニフェストには、
「伝統は強固なゲマインシャフトからのみ」しか生まれ出ない。
正直、30代の私には理解できないことでした。
この風土性とゲマインシャフトとの結びつきは、
私の一所=ふるさとでの体験を重ねることでしかありませんでした。
産地での心・技・体という懸命さを考えました。
心とは職人さん達との人間関係であり、
技はデザインでどこまで近接化できるか、
そして、身体化するには無意識に産地風土を受け入れることでした。
しかし、時間の蓄積で積み上げられてきた伝統には、
何かを革新しない限り、新しいモノのデザインには至らない、
そのことに気づいたことでした。
伝統とは裏切ること
ラテン語でのtrad=伝統には「裏切る」という意味に出逢いました。
何を裏切るのか、それは伝統技の伝承性ではなくて、
新たな技を産地に生み出させる風土を創ることでした。
具体的には、「国の伝統工芸、その活性化策」など無視すること。
それは補助金などあてにしないで自力で原資を確保していくことなど、策が思い浮かんだのです。
産地の本当の原資
鉄という素材は棄てる、
代わりにステンレスで鋼を挟んだ素材に、
「火造り鍛造」という伝統技で「蛤刃」が打ち出せるのかをテーマにすることでした。
当然、そのようなデザイナーの素人意見など産地が聞いてくれるわけがありませんでした。
素材メーカーに、その企業がこれから開発すべき様々なアイディアを持ち込みました。
その中の一つが、新しい素材として産地でいわゆる包丁にすることをめざしました。
今なお、地方の特に伝統工芸産地は、伝統という時間の蓄積に安心しきっています。
行政からの補助を待ち受けています。
国もそれなりのテーマで、日本の伝統工芸を語り直そうとしています。
すべてが、どこかで「裏切り」こそ伝統ということに気づいていません。
ゲマインシャフトと花鳥風月
「強固なるゲマインシャフト」とは何なのか。
「花鳥風月にもそれぞれの土地柄の風土性の詳細さ」があります。
この二点すら分からずに、郷土の伝統工芸を真に語り継ぐことはできません。
すでに日本各地の伝統工芸に「裏切り」を果たす仕掛けはますます喪失し始めているようです。
Tags: trad, ゲマインシャフト, 一所=ふるさと, 伝統という時間の蓄積に安心, 伝統は強固なゲマインシャフトからのみ, 伝統工芸, 小松芳光先生, 強固なるゲマインシャフト, 心・技・体という懸命さ, 柳宗理先生, 火造り鍛造, 自力で原資, 花鳥風月にもそれぞれの土地柄の風土性の詳細さ, 花鳥風月に潜む風土性, 蛤刃, 裏切る, 風土性
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11月 12th, 2010 Posted 12:15 AM
ささやかな心遣いを受けながら
自宅の周辺で火事が起こっている。
消防自動車のサイレンが重なりながら聞こえる。
サイレンの音は次第に近づいて大きく聞こえる。
その時、電話がありました。
「大丈夫か?」、
「エッ、何が?」
「ラジオを聞いていたら、その辺で火事じゃないのか?」
「そうらしいけれど、大丈夫だよ」
「そうか、安心した」。
これが、越前打刃物の職人さんからの電話だった。
打刃物の職人さんは、仕事中にラジオを聞いている。
そのニュースで、自宅近くで火事があったことを知るや否や電話をしてもらった。
まだ、私は打刃物のデザインをし始めていた頃であり、
700年の伝統にデザイン導入をどうすればと懊悩としていた時期でした。
それなのに、「心配してくれている」ことを知って、
郷土に住み始めたこと事態で「都落ち」という低次元な自分に気づかされました。
職人技がたどり着く哲学
彼の父上は、工場で何かと詳細に素材のこと、炎の色、さらに越前打刃物火造り鍛造のことを、
作業をしながらひたすら私に語りかけてもらっていました。
しかし、デザインで「タケフナイフビレッジ」へと向かいだした時に亡くなってしまったのです。
彼の鍛冶場の壁に、「知延常楽」と彫り込まれていました。
私は相当の古典を調べましたがこの言葉は見つからず、父上の造語だと理解しました。
知延=鍛造で鋼を延ばしていくことを知れば知るほど、
日常の楽しみがある=常楽、という意味合いだと彼と話し合いました。
私は、生涯を打刃物職人として、
「鑓鉋(やりかんな)」という宮大工道具を伝承することができた技士、
その「日常からの知恵を蓄積していき、働きがい」への自負心・誇り・喜びという主義性が、
風土の生き様にこそ、地域主義・地方主義・ローカリズムの成立があることを教えられました。
Tags: タケフナイフビレッジ, ローカリズム, 伝統にデザイン導入, 地域主義, 地方主義, 火造り鍛造, 知延常楽, 越前打刃物, 鑓鉋
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