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『SF映画が示唆していること=その真実性と想像性』


   


     12月 18th, 2014  Posted 12:00 AM

毎月必ず映画は3~4本は観ようと思っていますが困難です。
何事もリセットしたくて、いつものごとく京都で映画を観ました。
なぜ、京都?、それはワイフが京生まれ京育ちでもありますが、
車イス使用者にとって、私は京都が一番だと断言できるからです。
映画は、「インターステラー」というSF宇宙物語でした。
久しぶりの長時間映画であり、理解は相当に困難なものでした。
この映画監督や物語内容は、観ていただくか、読んでいただくこと。
滅亡していく地球から、惑星間移動の冒険を冒して、
地球環境の保全というストーリーでは、
5次元空間論が語られ、ブラックホールの新しい概念映像化、
SFで語り切るべき、場面構成や、コンピュータ運用での
新たな映画づくりはある意味では工業デザインでの想像力表現でした。
2次元の円が3次元になれば、球体となり、
どうすれば、ワープが可能になるかまでの正当な提示は、
おそらく観客自身の多次元空間やそれこそ光速度転送などの連続ゆえ
映像表現だけでは、とても難しい限りのSFでした。
余りにも宇宙空間や多次元性、光速度時間と現実時間での5次元は
もういちど、この原作を再読する必要を大きく感じました。
確かに、私が、心臓心拍の2次元から、3次元での置換から、
まず、想像であっても、2次元が3次元になれば、立体化どころか
光造形での形態化に気づいた想像力と同一でした。
しかし、この映像と物語性にはもっともっとせめて5次元空間が、
この映像表現だけでは、とても理解は不可能かもしれないでしょう。
正直、SF映画のほとんどが、地球環境の破壊は人類の存続性を
否定しています。これはとても重大な示唆だと思っています。
確かに、2030年までにこの地球環境には、
科学技術での修正と修繕が緊急に必要とされていること。
私はこのSF映画が地球滅亡からの解放を訴求してると確信しました。

「想像力の尊大さをリドリー・スコットに観る」
『SF映画に示唆される未来性の確認には「目印=sign」がある」


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『資本主義からの逃走』
   「トポロジーの情報表現として3D-CADへ・4」


   


     9月 27th, 2010  Posted 12:00 AM

3D-CADでのトポロジカルな表現
私はMac登場とともに、コンピューター上の図面表現に注目しました。
まだ初期段階では2D-CADがわずかでした。
機械関係と建築関係に向けられたアプリケーションソフトだけでした。
私は、当時一番Mac向けで優れていた「Clalis CAD Perfect Manual」を出版しました。
ところが、トロントALIAS本社では、すでにCGとともに、
3D-CADとそのCGが「自動車デザイン」と「映画づくり」に向けて開発中でした。
しかも同時に、光造形システム・ラピッドプロトタイピングの開発を目の当たりにしました。
「これからのインダストリアルデザイン手法が変わる」と直感しました。
Bスプラインによる描画方式がプログラミングの基本になり、
すでに立体では歯車が出来上がっていました。
彼らも、問題は、「幾何学での描画をトポロジー描画形態が可能だろうか」ということでした。
基本は、カンデンスキー1959年のバウハウス教科書「点・線・面」であり、
それより100年前のいわゆる位相幾何学に遡及し、
コンピューターの登場で変更を求められることになったのです。
なおかつ、コンピューターの登場で、TopologyもTopology Space論へと向かい始めたのです。
トポロジー的CAD表現の立体化
そして、3D-CADでトポロジカルな描画ができるか、という課題が出てきましたが、
無論、発想の転換をしない限り可能なわけはありません。
今なお、トポロジー学者を自称する人にはこのCAD思索が全く欠落しています。
そこで、トポロジーという数学的情報であるイラストレーション造形に向かっていきました。
私は、I-deas・CATIA・Pro/ENGINEERで、
すでに海外で発表されていた「メビウスリング的な形態」、
さらに「組み合わされたクラインボトル的な形態」のEWS設計を試みました。ほとんどが失敗。
なんとかI-deasでそれらしき形態を光造形で「立体化」することができました。
これは友人達がNew Yorkで発表会をし、
すぐに、フィラデルフィア大学、それもデザイン系と医学系で発表ができました。
ところがUnigraphicsが登場し、「メビウスリング的形態」はいきなり画面上で出来上がったのです。
ここから、「ドッグボーン」・「ダンスハット」・「プリズマティックリング」などを
造形化することができるようになったことでした。
3D-CADは、Topology Space論での思考領域を「造形思考」に加えてくれたことでした。
この「造形思考」は、以後、私のデザイン対象を拡大してくれました。
大きな課題は、トポロジーとしての情報はあまりにも古典的な数学領域に閉鎖されていて、
それこそ、Surjeでの「Topology」すら、知られていなかったという現実でした。


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