11月 15th, 2019 Posted 12:00 AM
私はデザイナーであり、常に思っているのが「デザイン」と「美」です。
「真善美」の中で、私が選んだのは「美」でしたが、
気障に見えるかもしれませんが、毎日「美」をともかく見ているのです。
私が音楽か美術に進みたいと言った時に、
「あなたはそっちが向いている」と母が後押ししてくれました。
そして美大進学のお祝いに「気障に生きなさい」と
指輪とブレスレットを買ってくれました。
また、書もそれこそ一流の禅寺で、
高校時代に自分から申し出て特訓しました。
この書は空海の寄せ集められた「般若心経」です。
そして、なにかにつけて、この書を見ます。
日々様々な物事があり、汚れやわだかまりなど
純粋な美だけを追求できなくなりますから、
心を空っぽにしてこの書を見たり、読んだり、書くことで知恵を授かり、
「美」を感じ取れる私自身となり、デザイン活動に戻れます。
時々の再起動を要します。
ともかく、「美」とは何か形あるものでは無くて、
この書の思い、考えを巡らせます。
それが、「美」に向かってきたことを確信できます
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9月 30th, 2016 Posted 11:16 PM
9月30日
この度、川崎は、
越前市より、
市政功労賞を賜ることになりました。
越前市における伝統工芸の
継承・革新への貢献を讃えられました。
式を明日に控えた本日、
タケフナイフビレッジを中心とした、
和紙、漆器の伝統工芸士や
若手の方々による
お祝いの会にお招きいただきました。
合間合間に皆様から懐かしい思い出話も。
懐かしい話の中に、今の若手への言葉が
たくさん盛り込まれていました。
お祝いのケーキまでご準備いただきました。
そのあたたかさに目頭が熱くなりました。
たくさんの方と握手を交わしました。
涙と笑顔に溢れた素敵な会でした。
ありがとうございました。
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3月 19th, 2012 Posted 12:00 AM
漆の地場産業に関わっていた頃、
私がたどり着いていたのは「木地師文化」でした。
歴史は惟喬親王の伝説に始まります。
これが日本の山岳民族・山の民=「山彦」伝説に繋がっています。
そして、私なりの漆と木地の関係は、
「盤・盆・膳」の日本の文化文脈史でした。
したがって、ふるさと福井県には河田塗りがありますが、
そこでの最初のモノづくりは「盤」から始めました。
すでに30年ほど前のことですが、
兵庫県には50余りの地場産業があり講演をしたことがあります。
兵庫県には播州算盤があり、当時、
東京のデザイナーたちがいい加減な産地活性化を持ち込んで
メチャメチャにしていました。
算盤玉を巨大にした電話台など
全くとんでもないモノづくりを持ち込んでいたのです。
だからその頃は東京のデザイナーが地方産地に入ることを
徹底的に敵にしていました。
さて、算盤は中国から長崎に入り、滋賀で産業となったのは
惟喬親王による木地師発祥の地で算盤玉が作られ、
やがて播州に移ったのではないだろうか、
というのが私なりの解釈です。
その時に「盤」に算盤があり、
それは将棋盤や双六盤ではなくて、
算術の道具があることを知りました。
旭川を拠点にする親友・蛯名紀之氏から、
フリーになって20周年の記念品が届きました。
それは、本来は家具デザイナーの彼が
「播州算盤」のデザインに関わっていました。
すぐに20周年のお祝いのメールを送りました。
それは、彼がとてもいい出逢いの仕事を成し遂げていることに
感激し感動しました。
「盤」、それはいまならPADもしくはPLATEです。
算盤は、盤上に数字のシンボル算盤玉が並んでいます。
加算・減算・乗算・除算までが算盤は可能です。
そのイメージを持てば、暗算が得意になる才能を開花させます。
算盤がプラスチックに一時期なったとき、それはソロバンでした。
だから、生活には電卓が入り込み算盤文化は失われたのでしょう。
彼の作品は流石に家具デザイナーだけあって、
木材が見事に使われていました。
私は言われ無き、「木の温もり」などということには否定的ですが、
なるほど、算盤は木でなければならないと確信しました。
算盤、とりわけ播州算盤は
日本の知的道具の伝統文化=宝だと改めて知らされました。
算盤文化をもう一度見つめ直すべきでしょう。
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