kazuo kawasaki's official blog

Posts Tagged ‘20代’


「赤い靴はーいてた♪・・・靴紐は赤に!」


   


     11月 16th, 2012  Posted 12:00 AM

靴選びは、メガネ選びや万年筆選び同様に私の趣味です。
幸いなことに、私は歩きませんから、
靴はまったく傷みませんのでいつも新品のままです。
靴選びは、ファッション雑誌・ブランドショップ・インターネット、
そしていくつかの靴屋さんです。
京都・寺町通りにあるお気に入りの靴屋さんがあります。
先般、男性ファッション誌を見ていたら、
赤い靴紐と赤いソックスのファッションデザインを一瞥しました。
そして京都の靴屋さんには、スペインブランドの新作がありました。
靴紐が赤でした。
女性靴ブランドでは「ルブタン」の、靴中がレッドです。
男性モノだとオーダーしなければなりませんが、
この新作は靴中もレッドでした。
ある著名な経営者I氏が、天ぷら屋さんで食事中に、靴を脱ぎました。
「わぁ、きれいですね、美しい靴ですね」と言ったら、
「やっぱり、君はそうやって感動するね・・・」
「えっ、・・・どうしたんですか?」
「最近のデザイナーは、これを見て何も感動してくれない」、
ため息をつかれて、
我が社のデザインはダメかと思っているとまで嘆かれました。
そんなことがあってから、
ことさら私は靴にも気を抜かなくなりました。
徹底的に靴の先から頭髪に至るまで、
自分の外見はデザイナーでなければいけないと思っています。
したがって、これから靴は、
靴中・靴底・靴紐、そしてソックスに至るまで、
私は「自分のためのデザイン」に気を配ろうと思っています。
すでに60還暦も終えましたから、なおさらジジィはきれいであるべきです。
赤いソックスと赤い靴紐は素敵です。
20代の東芝時代は、なるべく「脱サラリーマンファッション」でしたが、
ふるさと福井でデザイン活動していた30代は、
絶対に、ワイシャツは白、ネクタイはできる限り地味にしていて、
ある時、銀行の頭取に聞かれました。
「川崎さん、あなたはデザイナー?」って。
私は成功したと思っていました。
デザイナーぶると「遊び人的ファッション」になりますが、
それはデザインすら誤解されます。
40代で毎日デザイン賞を受賞して、ファッションを開放しました。
ファッションへの拘りには、哲学が必要です。
最近はノーネクタイが一般化しました。
しかし、ネクタイをするという身だしなみは不可欠です。
だから、「赤い靴はーいてた♪・・・」、
このメロディを耳鳴りにするファッション性は、
熟考し身体化することだと思っています。


目次を見る

「インハウスデザイナー時代のライバル、そして『縮み文化』」


   


     10月 11th, 2012  Posted 12:00 AM

東芝でインハウスデザイナー時代は、
音響機器デザインのライバルに一つ、Technicsブランドでした。
そのブランドのデザイナーが、飯田吉秋氏でした。
そしてその彼がフリーになっての作品は、
カードタイプにまとめられたソーイングセット(縫製用具)でした。
そのデザインがいきなりMoMA=ニューヨーク近代美術館の
パブリックコレクションになりました。
ちょうど私もフリーになってタケフナイフビレッジ展を
ニューヨークで開催する準備中だったと思います。
当時は、日本のモノづくりが「縮む文化」という評価を受けていました。
代表例は、「幕の内弁当」がその象徴になっていました。
確かに、松花堂弁当の縮み文化は抽象的な事例でしたが、
このソーイングセットは、余りにも具体的な発想で、
日本の凝縮実装性をデザイン表現していました。
以来、このソーイングセット「Plateon」は、
記憶にしっかりと残っている製品でした。
飯田氏は関西を拠点にデザイン活動をされていましたし、
JIDA(日本インダストリアルデザイナー協会の会員)でしたから、
そのうちに出逢うと思っていました。
それが、ある作品を見て、とても驚愕し、
これは新たな知育玩具だと感心したのです。
それが飯田吉秋氏のデザインだと知ったのはこのFBで分かったのです。
私は、「いいね!」を送付し、それからFBでのやりとりが始まって、
阪大研究室を訪ねてもらいました。
ご本人からこの作品とともにサインもしていただいたという次第です。
かつて、オーディオ全盛時代の話から
3.11の復興デザインにまで話は広がりました。
お互い20代には所属する企業では、
オーディオ商品競合のデザイナー同士でした。
お互いにデザイナーとしての最期の職能役割をすでに話合う仲です。
デザイナーは、その人の作品で、
専門的な職能観を共有することができるというわけです。
それも、ある種の「縮み文化」なのかもしれません。


目次を見る