4月 1st, 2016 Posted 12:00 AM
僕がちょうど大阪大学大学院に名古屋市立大学大学院から移籍した頃、
それは2008年頃から「イノベーション」が盛んに唱えられる風潮でした。
それはわが国が「失われた20年」を取り戻すための
一つのかけ声だったものと考えます。
と同時に、僕の講演テーマ依頼も「イノベーション」が求められました。
だから、僕は徹底的に「innovation」について理論武装を始めました。
あれから現在はさらに「イノベーション」が強調されていますが、
根本をすっかりと失っている現在の潮流があると主張します。
現在拍車をかけているのは「デザイン思考」なる経営方法論という商品と
「革新」、しかも「技術革新」のとらえ方すら歪んで来ているようです。
最近はこの歪みが日本の産業界を呪縛し始めていることは否めません。
僕はあらためてこの理由を三つに分別して、デザイン思考の安易さを
「コンシリエンスデザイン」でのinnovationをシュンペンターに遡及し
当初の、「新結合」・「新機軸」というプリンシパルにもどします。
その遡及は漢字「革新」にあると考えています。
「革」とは、皮革の象形文字であることは明確です。
そこに「新」という漢字が関わりを果たします。
「新」という漢字のとらえ方に現代の歪みの問題があると判断しています。
「新」とは、樹木に斧を入れる行為その瞬間性を表していますから、
まさに皮革をピーンと張って、刃物で切り裂く行為そのものですから、
「新商品」というのは、商品に刃物を入れるがごとく、
商品群を切り裂いた瞬間の樹木液が流れ出るような事でしょう。
それはシュンペンターが予知した「新結合」や「新基軸」で
景気そのものに社会変動を起こしたかどうかまでが求められます。
シュンペンターは景気動向に新基軸が入れば、
資本主義経済そのものが異質化すると断言しています。
彼が1927年に学術界で発言の翌々年、1929年には「大恐慌」が起こり、
それは世界大戦の大きなきっかけになっていることこそ、
「イノベーション」は再度大きな検証が必要だということです。
景気動向への「新結合」・「新基軸」が
如何に「革新」あるいは「技術革新と景気」と関係するか、
もっとグローバルに考えられるべきでしょう。
*『商品である「デザイン思考」は経営論にすぎない』
*「『イノベーション』大衆化した原意も疑う」
*『「KK塾」の対談と質問はイニシャルで方向決定』
*『サイエンスの限界にある美学性をさらに造語化』
*『球体に働いている力は統合的な知識になる』
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3月 14th, 2016 Posted 12:00 AM
「デザイン思考=Design Thinking」は米国IDEOの商品です。
しかもこの商品は経営論の手法をそのまま商品化したにもかかわらず、
大学のカリキュラムに影響を与え、それを輸入した国家の大学にも
大きな影響を与えて、流石にIDEOのデザイン商品は成功をしました。
しかし、経営論にも関わらず、あたかも経済論として語られた
「イノベーション」は吟味されることもなく、
浅薄な知識人だけではなく、「実績の無いしかもデザイナー人」にまで
デザインの未来論のごとく宗教論化していることを嗤わざるをえません。
かつて、オックスフォード大学とIDEOと大阪大学大学院・私の研究室で
あるプロジェクトに取り組んだことがあります。
それは私のデザイナー責務にかけた「素材論」でもの別れになりましたが、
その時以来、IDEOらしさの仕事は見当たりません。
経営論でイノベーションを語っても仕方の無いことです。
が、「デザイン思考」では経済論で万一、イノベーションを語ったなら、
それは嘲笑されることになるでしょう。
経営論と経済論は
まるで異なっていることすら知らないデザイナーは不必要。
Design Twoから出発したIDEOで
今なお故・ビルモグリッジ氏が生きていたなら
この経営論である「デザイン思考」は
決して商品にはしていなかったはずです。
やがて「デザイン思考」が決して「イノベーション」を生み出すことは
絶対にあり得ないことが証拠だてられるでしょう。
実績ある革新的=イノベーション足る商品の経営論には
「デザイン思考」の逆説が見事に表現されています。
その最大の理由は、
イノベーション=出発はドイツ語のコンバイネーション、
「新結合」という経済論では、
必ず、「資本主義社会は破綻する」という結論を出していました。
「新結合」と言ったシュンペンターは1928年にこの予測を立て、
1929年には「大恐慌」が始まるのです。
そしてこの大恐慌が世界大戦を引き起こすことになるわけです。
僕は商品化された「デザイン思考」の代表作を読んでみて、
大恐慌とともに第三次の世界大戦にならないことを
心から願っています。
デザイナーなら、デザイン手法では思考を重ねているはずです。
にも関わらず、デザイン自らが商品化された「デザイン思考」に
これこそ待ち望んでいた手法と言いだし、
これに寄りかかっているのを見るとき、
彼らは元来才能が無かったことを自明しているのです。
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11月 3rd, 2015 Posted 12:00 AM
大阪・京都から東京パルコ劇場に直行しました。
友人たちの革新的なことばと場踊りを観劇したのです。
松岡正剛・田中泯・石原淋・宮沢りえ、「影向」yow gowを
新たなことばとパフォーマンスとして受け止めたまま、
いよいよ、翌々日、
「KK塾」を大日本印刷のDNP五反田ビル 1Fホールにて開催。
キックオフ講師は、
国際的イノベーター・濱口秀司氏を米国から迎えました。
イノベーターというより、私にはデザインとエンジニアリングでの
企画コンサルタント=テクノロジストであり、
私が大阪大学大学院・医学系研究科に開設した
「コンシリエンスデザイン看医工学寄附講座」の育成目標人物です。
まず、私は前座で「コンシリエンスデザイン」を紹介して、
なぜ、濱口氏からかを紹介して、彼の講演を開始しました。
私は、最近、「デザイン思考」という、
スタンフォード大学のd.schoolとIDEOの手法論から
拝借しているデザイン論が、
デザイナーだけでなく一般的なイノベーション開発手法として、
東大のi.schoolでそのコピーが用いられていること。
また、イノベーションとは、提唱者であるシュンペンター自身が、
「革新」:コンバイネーション(独)「新結合」と呼び、
すなわち、私的にはコンシリエンスであることを説明しました。
シュンペンターのイノベーション=革新が、
共同的な発想で行えるコトへの大疑問や、
1927年・「社会階級論」が、結局は彼の予知どおりに
1929年の「世界大恐慌」につながったことなどから、
わが国の3.11復興策こそ、新たなコンシリエンスデザインです。
コンシリエンスも18世紀の造語であり、なおかつ対語的なレジリエンスが
決して、デザイン系大学教育には登場しないだけに、
まずは看医工学という提示とその教育成果こそ濱口秀司氏だと紹介し、
彼は約280枚のKeynote画面とホワイトボードで、
詳細な成功実例での方法論を懸命かつ賢明に講演していただきました。
DNPホールの現代ホール性能では、私も濱口氏もMacでKeynoteプレゼ、
これはおそらく初めて、映像と音楽を運用することができました。
よって、まだまだこのホールのPA音響から
コードマネージメント、さらには照明を変えることが可能です。
丁度、大日本印刷とは、「デジタルアッサンブラージュ」を進行中。
そしてこの大ヒントは、松岡正剛氏の「影向」が与えてくれました。
「KK塾」の今年度最終の講師は松岡正剛氏です。
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