6月 1st, 2013 Posted 12:00 AM
正方形の一辺を1として、その一辺にX点をとります。
そうすると、1:1-Xの距離対比の比率計算ができます。
この対比計算をすると「黄金比」とよばれる数値です。
この計算値を簡便にするiPhoneアプリを研究室で出しました。
設計やデザインに関わっている人には便利な道具です。
さて「黄金比=Golden Ratio」というのは、
人類が最適な「美を決定する寸法値」として熟知されてきました。
この叡智は、人類の財産になっています。
この叡智がどのように発見されてきたのかは不明です。
いわば、歴史の中で「美しい表現」の、
ある規則性を人間の誰かが知ったことからの知恵です。
西洋も東洋も、東洋には「白銀比」もありますが、
葛飾北斎の絵画から龍安寺石庭、五重塔も見事にこの法則です。
ところが、こうしたアプリを出したり、
NHKの「暮らしの中の数学的な番組」企画や出演もあってか、
大きな誤解を受けます。
まず、黄金比でなければならない、ということはありえません。
だから私たちもすべてのデザインで、
「黄金比」・「白銀比」を設計の完全下敷きをしていません。
この比率の歴史性・具体性・表現物の資料化はやり尽くしてます。
だから、単なるアプリを、一つの道具としただけにすぎません。
それこそ、トポロジーでも、位相幾何学、位相空間論までが、
同様なフィボナッチ級数だのなんだのと言い出す、
そんな知恵足らずまでを刺激してしまったことは災いでした。
美を生み出す方程式などはありません。
たとえば、色彩調和論での「美度」計算という秩序と複雑さの、
計算式は確かに存在しますが、
それも、デザイナーの目安、あるいは基本知識でしかありません。
「デザイン」の大衆化は見事に浸透して、
広告手法や商業技法として、この「黄金比こそ」なる風潮も、
存分に知り尽くしているだけに、
「目安」道具のアプリだということを書き残します。
Tags: Golden Ratio, iPhoneアプリ, NHK, X点, アプリ, デザイナー, デザイン, トポロジー, フィボナッチ級数, 一辺, 五重塔, 人間, 人類, 企画, 位相幾何学, 位相空間論, 具体性, 出演, 叡智, 方程式, 東洋, 正方形, 歴史, 歴史性, 比率計算, 熟知, 番組, 白銀比, 知恵, 石庭, 絵画, 美しい表現, 美度, 色彩調和論, 葛飾北斎, 表現物, 西洋, 規則性, 計算, 財産, 資料化, 距離対比, 道具, 黄金比, 龍安寺
Posted in 企望を「までい」具現へ, 危機解決をめざすデザイン実務, 祈望から企望へ
目次を見る
7月 13th, 2010 Posted 12:00 AM
美のためのトレーニング
「美しい」という言葉は、ある意味では「魔物」です。
しかし、この感覚が身体化するには、
厳しいトレーニングが必要だとつくづく思います。
美大時代に、「美しい」という言葉は、「西洋美術史」の講義で初めて、
その様々な解釈があることを知りました。
「美学」というのは、大学の講義にはありませんでしたが、
美学という領域は、美術と音楽についての論考であることも当時は知りませんでした。
色彩論では、ムーン&スペンサーの調和論に「美度」という尺度が出てきますが、
やや疑問は今も変わりません。しかし、ここまで求めるという姿勢こそデザインです。
さて、資本はすでに私にはデザイン対象です。
デザインしたモノが資本です。
しかし、デザインは実務であり、実務学としては問題解決の結果=効用と効果です。
その実務手法・実務技法は、「手技」があります。
今では、パソコンでの表現手法になっていますが、
それでも「スケッチ一枚」でも、トレーニングは必要です。
美大時代、この基本は「デザインストローク」というフリーハンドでの線引きから、
私は「鶏」のクロッキーをそのストロークで描くというトレーニングを受けました。
生きている鶏は動き回ります。
その動きで、なかなかストロークを定めることはできません。
ところが、何枚も何枚も、おおよそ2週間も描き続けていれば、
ストロークで、確実に鶏のデッサンが可能になるのです。
「手」にメモリーがコピーされてしまいます。
そして、鶏の表現が「美しい・かも」というデッサンが残るのです。
この感覚がデザイナー志望者には必須です。
大学で教えるようになって、
無論コンピュータも大きな手法になってきましたが、
「手」でのフリーハンドそのものが発想している感覚があります。
そこで、「美しい資本」としてのデザイン対象を生み出すためには、
まず、「スケッチ」そのものが「美しい」こと「も」一つの条件になります。
ところが、「スケッチが美しい」ということを認識できるかどうかということです。
少なからず、「美しいスケッチ」か、「スケッチが美しい」かは、
「美しい花」・「花の美しさ」論と同値で、大きな疑問になりますが、
「美しい」という魔物的言葉に思いっきり飲まれ込むことが必要だと考えています。
かつて、「美しい日本」という表現や「美しい企業」なども、
この類であることは間違いありません。
「美しい資本」を創出するデザイン、
デザインによる「美しい資本」づくりの才能や才覚は、やはり、トレーニングが必要です。
私の「美しさ」を求めるトレーニングは
今も、フリーハンドスケッチを毎日欠かさないことです。
「美しい資本」づくりの基礎は、トレーニングという修練が必要だと思っています。
Tags: デザインストローク, ムーン&スペンサー, 実務学, 感覚, 美しい, 美しい資本, 美学, 美度, 美術, 色彩論, 西洋美術史, 調和論, 音楽, 魔物
Posted in 037「美しい価値=資本」, 資本主義から逃走せよ!
目次を見る