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『資本主義からの逃走』
  「自転車は器械、それは車イスが器械だから・・・」


   


     8月 21st, 2010  Posted 12:00 AM

交通被災
私にとって車イスが必要になったのは28歳からでした。
タクシーに乗っていて、泥酔ドライバーに追突されたからでした。
自分で、自分の車イスをデザインすることになった経緯を話します。

私は、四つ角で停止しているタクシーに乗車していました。
相模原から立川方面への方向を指示しているとき、
轟音とともにタクシーがスローモーションで回転し始めて、
信号灯が目の前で同様に回り出しました。
私は隣に居た恋人を抱え込んでいました。
咄嗟に、これは爆発すると思った瞬間、タクシードライバーが天井まで飛び跳ねて、
これもゆっくりと落ちました。
私は、暗闇でなんだかずぶ濡れになっている様でした。きっと血まみれなのではと思ったのです。
その激突で、大変な汗をかいていたそうです。
それから、周囲を何人かの人が取り囲んで、タクシーを壊しながら、
彼女が出されて、私を引きずる出そうとしてくれたとき、激痛が走りました。
彼女だけはまたく無傷でした。
私は、シートに横たわって、ともかく、出たくない意思表示をし、
気がつくと、救急車から病院のベッドに寝かされながら、革のコートに鋏が入っていました。
彼女が泣き叫んでいました。
・・・そんなに絶叫するなよ・・・大したことではない、と思っていました。
ともかく、チーフ(デザインチームの上司)が来るまで、
気を失ってはいけないと言い聞かせていました。
そして、チーフの顔を見て気絶しました。

それから、気づいた時には、2日後、手術が終わっていたのです。
父が立っていました。
丸1日体力があれば手術ということだったらしいのです。
まだ、両手も動かず、自分の体がどこにあるのかわからぬまま、
生きているのか、死んでしまっているのか、
発熱と嘔吐の繰り返しの連続、朝も昼も夜もわからない日が永遠と思えるほどでした。
歩けない体だから
「君は、この病院を出るときはもう歩けない」と宣告されるまでは、
自分の体に何が起こっているのかはわからない日々、約1ヶ月後だったようです。
ドクター二人が、
「君は歩けない体なんだ」と繰り返されましたけれど、
「それで?」というほど、きわめて冷静冷徹に受け止めていました。
・・・車イス生活・・・だから・・・?
それなら、車椅子は自分でデザインすることになるのか・・・、
これは面倒なことになったという思いでした。
自転車のこと徹底的に知らないといけないなー、という具合でした。
車イスは機械ではないから「器械のデザイン」になるんだという直感だったのです。


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