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「最も小さな公立大学・金沢美術工芸大学70周年」


   


     8月 9th, 2016  Posted 12:00 AM

金沢美術工芸大学は日本で最も小さな公立大学です。
自分はこの大学の卒業生であり、それほど知られた大学ではありません。
東芝に入社したときも、旧帝大卒ばかりの新入社員の中に入れられ、
まず、自分が卒業した大学の説明をしたものです。
金沢美大卒という学歴がいつも自分のアイデンティティに関わっていますが、
大学教育で鍛えられた先輩から後輩にいたるまで、
自分には誇り高い大学卒だと思っています。
デザイナーと言っても、本当に「造形力」のある大学は5大学もありません。
最近では有名な漫画家、ドラマの演出家、CF監督、
話題のポケモンでのピカチュウにしても優れた後輩たちの作品であり、
カーデザイナー達も多く輩出している大学です。
デザイナーとしてすでに40数年になりますが、
残念なことにデザインは未だに軽く見られています。しかし、
モノの本質、発想の柔軟性はこの大学卒だからこそ可能なのです。
かつて、主任教授が倒れた時に、金沢に戻り、
深夜の病室で先生を見舞いましたが、
教授は、玄関まで自分を見送っていただき、それが最期の別れでした。
今、自分が大学人であるのも、
私の使命を語り継でいただいた教授たちのおかげです。
その大学が70周年を迎えます。
いつからか卒業生での「金の美」展は銀座の画廊をすべてを埋め尽くし、
ニューヨーク展、全国各地で秋には一斉の展覧会になっています。
私の世代は今なお「先輩の指示」には絶対的に従うという伝統的な
仲間意識は見事に整っています。
だから自分の主催するKK塾には先輩たちが数名が駆けつけてくれます。
自分が、この大学卒であることは大きな誇りなのです。
それは自分の大学時代のデザイントレーニングが最も厳しかったからです。
大学には大きな欅の木がありました。
だから同窓会は今なお「けやき会」になっています。

* 『「学芸員の父」が母校の初代学長・森田亀之助でした』
* 「金沢美術工芸大学の大阪での大学大同窓会」
* 『金沢21世紀美術館から届いた10周年の収蔵作品集』
* 「手を頭脳化するトレーニング=デザインストローク
* 『工業デザイン教育での「手」のトレーニング』


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『ある時期を過ごした思い出の街の姫路城、その高度な文化』


   


     12月 8th, 2014  Posted 12:00 AM

2014年12月6日。
私は講演に呼ばれて姫路市に出かけました。
40年前に、私は東芝の新入社員として販売実習で3ヶ月、
この街、駅前大通の家電量販店で、ラジオ、TV、冷蔵庫販売。
一週間、じっくりお客さんの出入りを見ていれば、
何曜日の何時頃、お客さんの来店混雑がわかり、購買決定は、
必ず奥様が分かりましたから、量販店には支店会議があるからとかで
ほとんど映画を観たりして、そして、大量に売っていました。
サボっているのに売っていることを、他社のヘルパーから睨まれ、
それなら、直ぐに喧嘩をし過ぎて、田舎街の量販店に飛ばされました。
そこでも、売りまくりました。新人研修、西日本地区では売り上げ5位、
報奨金は当時のボーナス同等でした。
デザイナーになるための通過点でしたが、性分上、売るならトップに
懸命にやり切った街でした。
東芝の本社に戻らず、量販店に来ないかとまで誘われるほど売りました。
40年ぶりに姫路城を見ました。おそらく日本で最も美しいお城です。
ちょうどNHK大河ドラマとのコンビネーションでブームの街ですが、
私は、このお城が存在していることがすでに大宝物のある街であり、
これを後世に残した黒田官兵衛なる人物の存在に敬意を持ちます。
現代までにもこれだけ美しい建物を残した偉大な人は限られています。
後世への遺物として、美しい建物を遺すというのは偉業です。
だから、この大遺産を本当に大事にすべきだとことさら思います。
それはこの建物同様の素養が育てられてきただろうかということです。
私はとてもささやかで小さな講演会かもしれませんが、
姫路城を心から意識して、自分の役割は最大に計ったつもりです。
ところが、姫路駅に限らずですが、駅ホームは、
あれからどれだけ私たちが文明を進化させてきたでしょうか、
無念ながら、文化はその文明に比してとても貧しくなっていました。


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