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『万年筆で顔料インクがありえるのだ』


   


     6月 23rd, 2015  Posted 12:00 AM

色の材料は二つの種類があります。
染料と顔料です。大雑把に言えば、
植物系(染料)と鉱物系(顔料)と言ってもいいでしょう。
美大卒ですからそれなりに染料と顔料には親しんできました。
何と言っても墨とラピスラズリに最も親しんできました。
それは顔料の世界であり、ともかくしっかりと墨の黒さであり、
ラピスラズリは金沢の青紺色と言っていいでしょう。
顔料の色はいわゆる泥絵の具の世界ですが、
10年前に「極黒」というインク、
そして青紺色のインクが出た時には驚きました。
理由は、今では染料のほとんどが化学的なモノであり、
インクを万年筆で使うとなれば,
顔料インクなどは考えられなかったのです。
ところが、日本の染料・顔料技術は本当に優れていて、
なんとカラフルな顔料インクが商品になってしまいました。
これは世界的にもトップクラスの技術成果であり、
最近は万年筆ブームにもなってきましたから、
この顔料インクになんとしても興味を持ってほしいと思っています。
私は日本の文房具は、
海外ブランドのデザイン戦略不足からも
低価格過ぎると断言し続けています。
この顔料インクなど、もっと高くていいと思います。
海外メーカーをはるかに上回った技術表現を成し遂げているのです。
私はインクについても、カラフルさを確認したいタイプであり、
万年筆にこそ、
この顔料インクが墨色からとうとうここまで進化したことを
私たちはもっともっと大きな評価を与えるべきだと思っています。
この顔料インクは自らの主張を
あたかも万年筆を主役たらしめないかのごとく存在しています。
これこそ、日本文具大賞・デザイン部門賞を
静かに進化を積み上げて商品化されているのです。


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