「資本主義からの逃走」
「ヘッドホン開発で覚えたことはその局部音場音響」
3月 6th, 2011 Posted 12:00 AM
最小限のオーディオシステム
大学時代、私のオーディオシステムは最小限。
2chのオープンリールテープレコーダーと、
ヘッドホン(トリオ=現・KENWOOD)だけでした。
下宿生活では、学生にとってはシステムが最もシンプルで、
最良のHi-Fiを実現できるシステムだったと思います。
大学時代には、そのために各社のヘッドホンを4年間聞き比べていました。
そのことがプロになって音に対する滋養になったと思います。
東芝入社と同時にAurex担当になりました。
そしてたまたま、当時の音響部門では、
エレクトレットコンデンサーの技術が世界的にも先行的に評価され始めていました。
最初はカートリッジ開発からの商品開発が進行していました。
そこで、私はヘッドホンとマイクやイコライザーアンプなどの企画書提案をしていました。
ヘッドホンのデザイン開発経験
特に、ヘッドホンほど忠実にHi-Fiが可能になる再生機器はありえないとすら思っていました。
当時のヘッドホンでプロ用はSENNHEISERとKOSSがトップクラスでした。
学生時代に憧れ、いつか手に入れたいブランド製品でした。
しかし、その頃は重量が300gでした。
エレクトレットコンデンサータイプにすれば薄型10mm厚が可能であり、
軽量化を目標にすることができました。
そして私が商品化できたのは150gでオールプラスチックSR-710という普及品と、
SR-1000というマニア向けは、やりがいのある製品開発から商品化でした。
今、150gというのは考えられませんし、
ウォークマンからiPodの登場まで30年余りの進化が、
現代のヘッドホンにはあるかというと私は懸念します。
しかし、音質構造的には最近はドイツでのベンチャー企業が
新たなヘッドホンでの再生技術開発をしています。
ヘッドホンは局部音場であり、本来、音源の録音もバイノーラルが理想的です。
したがって、デジタル音源のエンコードには、
バイノーラル性が付加されてもいいのではないだろうかとさえ思っています。
ヘッドホンは今なお、各社の音響確認を趣味にしていますが、
ヘッドホンという頭部に装着するモノとして、この製品デザイン経験は、
メガネフレームデザインに連続しています。
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