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『資本主義からの逃走』
   「『形態学序説』と『資本論』は西洋的論理の結語論」


   


     6月 13th, 2010  Posted 12:00 AM

結語・結論の論理
人間が「自然支配」を念頭に置いたのは、西洋的論理観に顕著です。
ゲーテの「形態学序説」は、その書き出しから、その論理観が明快です。
自然を支配しようとしつつも、その自然を熟知しようとすればするほど、
人間の被弱さや脆弱さを認識させられる、その結論を書いています。
マルクスも同様に、
人間の支配構造の変質化、
その起因性をかかげながら、その結論の論理でした。
大は小に、小は大へ
私は、「ガリバー旅行記」の作者,
ジョナサン・スウィフトの次の言葉が念頭にあります。
「象は実物よりも小さく描かれ
蟻は実物よりも大きく描かれる」

この指摘は、当然です。
象を実物大で描くには相当に大きな用紙が必要です。
だから、普通の紙に描けば輪郭線で表し詳細まで描くことは困難です。
蟻は小さいので、大きく描きますが、
実物が小さいためにその詳細を観察して描くことはむずかしいということです。
そこで、論理で象でも蟻でも熟知するには、
概念と観念での描写はその成果として、
象も蟻も捉え直すことができます。
これはゲーテも同じ事を言っています。
なぜなら、その論理によって理解をしようという自分、
つまり人間存在を自問自答する試みが、
いわば歴史的伝統的な定本になってきたのでしょう。
したがって、もう一度次の詩を読み直しておきます。

長年、精神はよろこばしくも、
自然がいかに生を創造するのか、
探究し、知ろうと
熱心に努力してきた。
多様に自己を啓示するのは、
永遠の一者。
大きなものは小さく、小さなものは大きい。
すべて独自の仕方で。
たえず変化しながら自己を保持する。
近くて遠い、遠くて近い、
形成し、変化しながら。
私は驚嘆して眺めるばかりだ。

        ゲーテ・『紙の世界・「パラパーゼ」』

私もここで、ゲーテを引用するのは、
「資本主義からの逃走」という論理を打ち立てようというよりは、
むしろ、現代に至るまでの基盤思想、経済論理に対するデザインという手法が、
未来を決定していく位置を確保したいと考えています。


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