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『資本主義からの逃走』
 「レヴィ=ストロースから、あらためて学びます」


   


     11月 6th, 2009  Posted 10:48 PM

クロード・レヴィ=ストロースが逝きました。
100歳でした。
正直、私にとって本論の背景には、
この偉大な思想家の思索を学ぼうとする
確かな意志と意欲があります。

代表作であった「野生の思考」、
巻頭にバルザックの「骨董屋」からの引用があります。
かつて、私が伝統工芸にデザインを導入するとき、
最も励まされた一節でした。

「・・・完璧な仕事を完遂することが出来るのは、
田舎者と野蛮人である。・・・」と。

マルクス主義への冷静な洞察の仕方を
最も的確に教示した人物だったのではないか、と、
私は思っています。

そして、
彼が指摘し、イメージで、感覚で納得していることは、
三つあります。

091106a

● すべての社会構造は、
「女性を交換するために、
様々な集団がその規則を設けているのでは」という、
この仮説は、身震いするほど、誰も指摘しなかった
勇気ある発言だったのではないでしょうか。
ただし、これに続く論理は生まれていないと思います。

091106b

● さらに、荒唐無稽な神話の体系の基盤には、
代数学の構造がまったくあてはまっているとも。
こうした数学的な発想は、
私が「デザイン数理学」の必要性をなんとしてもと、
導いてもらった気がしているのです。
数学の論理、その機能性を教育するには、
こうした発想が必要だと考えます。
すなわち、
この指摘は、オイラーの様々な定理や
ルネ・トムのカタストロフィー理論に通じている、
あまりにも「美しい論理構造」だと感じるのです。

091106c

● 彼が現代を最も嫌悪したことは、
「グローバリゼーション」でした。
それは、世界構造が「多様性を喪失してしまう」
危険な傾向だという示唆でした。
あらためて、本論は、レヴィ=ストロースから
学び直したいと考えています。

彼の業績から学ばさせていただき、
刺激されたことに深く合掌します。


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