11月 17th, 2010 Posted 10:31 AM
11月17日 先負(辛未)
発明したら発表するべきだ。
商品化できなくとも、
夢はみんなが共有できるではないか。
米国は、この手法で
どれだけ夢だけを与えて、
その後で思いっきり
失望させてもくれたことか。
それが情報化時代というものだ。
『デザイナーは喧嘩師であれ』器量相発
Tags: KazuoKawasaki, 共有, 商品化, 器量相発, 夢, 失望, 川崎和男のデザイン金言, 情報, 情報化, 手法, 発明, 発表, 米国
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11月 17th, 2010 Posted 12:00 AM
甲骨文の象形文字
私の思考には二つの文字・記号があります。
一つは漢字です。もう一つは記号です。
デザイナーですから、designare=de+sign=do+signです。
そのまま私の思考の源には漢字があり、それは甲骨文の象形文字から始まります。
私は日本人ですから、文字=漢字が大好きです。
漢字とともに思考も文字的思考に覆われてきたと理解しています。
甲骨文に表れる文字=漢字は殷代の記号です。漢字は記号だと思います。
それが金文になってくると、明確に漢字の形態が装飾化していきます。
図象文字は「書かれる造形的な審美性」になり、「美しい文字」が求められます。
『書』
幸いにして、私は子供の頃から硯と筆と紙は大好きだったようですから、
今なお、「書」は大好きです。
私は「書道」という感覚で「書」と向き合っているわけではありません。
「書道」というのは、やや息苦しさが正直残っています。
和紙と書体
さらに幸運なこと、それは、ふるさと・福井県には越前和紙産地があります。
日本の和紙は、この地から1500年前に広がったと言われています。
したがって、和紙についても私は現場で30代後半には「紙漉」を経験しました。
これは最高に幸運だったと思います。楮・三椏・雁皮の区別は触って舐めればほとんどわかります。
残念なことに、和紙は和風紙になってしまっているのは残念ですが、大きな理由もあります。
どうしても和紙は紙粉があって印刷には不向きなことでしょう。
話が和紙に言及してしまいましたが、
私は、メールの時代にあっても手紙を書くなら、和紙に筆をとります。
日本人であることの幸運さとしかもデザイナーである幸運さがあります。
地域主義の象徴は美しい文字
デザイナーとしては「スクリプト体」というトレーニングを受けました。
それは「カリグラフィ」が書けるテクニックも身体化できたことです。
「カリグラフィ」というのは美しい文字を書くという意味ですから、
「書道」と同等かもしれません。
私は、「書」・「書体」の歴史には、文化の基本としての地域主義が息づいてきたと考えています。
私はあらためて、「書」は、世界各地にあるそれぞれの国家文化の基本、
それこそ「美しい文字」を見詰め直す時期が来ていると判断しています。
それは、グローバリズムを支えるローカリズムの基盤としての文字であり、
「書」と呼ばれる「文字を美しくする」営為を再考することです。
この再考こそ、地域主義からグローバリゼーションへの手法の一つだと評価しています。
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11月 16th, 2010 Posted 10:40 AM
11月16日 友引(庚午)
新しい「ことば」や
「キャッチフレーズ」、
いわゆる現代用語なることばを
産出することでマーケットらしき
知識産業とやらができてくる。
これに翻弄されることなく生きるには、
洞察力という知恵が必要である。
『デザイナーは喧嘩師であれ』器量相発
Tags: KazuoKawasaki, キャッチフレーズ, ことば, マーケット, 川崎和男のデザイン金言, 洞察力, 現代用語, 産出, 知恵, 知識産業, 翻弄
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11月 16th, 2010 Posted 1:32 AM
世界観への一元化
グローバル化はグローバリゼーションです。
近代化の下敷きは市場経済の拡大と拡張でした。
これは地域固有の価値観や制度、規範や権威に変形を与え、
実際は、欧米型の世界観への一元化だったと回帰することができます。
詳細に観察すれば、地球上の国民国家はそれぞれの国民経済力を単位として、
それぞれ国家の文化が形成されてきたわけです。
しかし、東西冷戦や南北問題を引きづりながらも、
結局は資本主義経済と地球全体が西洋化する均一性に向かってきたのでしょう。
ところが、冷戦の終結、南北問題よりも大きな宗教・民族対立・テロリズム、
そして地球環境破壊、民族間・国家間格差は、
世界秩序という虚構よりも動揺とアポリアを引き込んでしまったようです。
この地球的転換がグローバル化と断言していいかもしれません。
グローバルビレッジ
グローバル化の方向性や地球全体を、グローバルビレッジという理想実現や、
web空間でのネットワークによるコミュニケーション保全が問題解決、
そうかもしれないという期待も破壊されています。
たとえば、難民の存在、外国人労働者という低層、賃金格差は、
すでにBottom of the Pyramidという認識に直面しています。
私は、地球市民理想やグローバルビレッジ、
それこそ世界意識の強化という主義性、
グローバリズムという理念あるいは哲学を基本とした権威性に期待したいと思っているのです。
グローバリズムに連結と連鎖
要は、この理念・哲学での権威性にリーダーシップ性を任せないかぎり、
地球全体は動揺どころか紛争・テロリズム・環境破壊の進行は、
人類の存続性を剥奪することになるでしょう。
だから、翻って、地域主義、小さな国家の物語を強固にしていくことしかありません。
ローカリズムはグローバリズムと連結と連鎖していることは間違い無いというのが私の見解です。
私は、伝統工芸産地や機器の微少な部品産業などの小さな物語が、
大きな物語としての地球一体連合国家あるいは連盟国家になっていく気がしてなりません。
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11月 15th, 2010 Posted 11:12 AM
11月15日
学生の皆さん、スタッフと、
昔の作品のスライドを整理中の
BOSS(川崎和男, Kazuo KAWASAKI)。
試作のみで終わった作品の写真、
検討途中のモデル段階の作品の写真、
東芝時代や独立すぐの作品の写真など、
尽きぬ話を交えながら、
楽しい作業の時間でした。
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11月 15th, 2010 Posted 10:40 AM
11月15日 先勝(己巳)
言語道断なる美を、
デザインで創り出していきたい。
それが必ずや、
より善であり、
義なる生き方につながっている
と信じる。
『デザインは言語道断』あとがき
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11月 15th, 2010 Posted 12:00 AM
地方都市の疲弊
私は伝統工芸に携わってから、
地方主義・郷土主義へと入っていきました。
特に、国策だった四全総とふるさとの伝統工芸産地、
その活性化をデザイン手法の導入で試みながら検証していました。
結果、「活性化」の根本的な要因に気づきました。
ところが、ふるさとの産業経済、景気は大変動時期に入っていきました。
地方都市の中心部の商店街は郊外に乱立始めたショッピングモールで、いわゆるドーナツ現象。
現在では、商店街はシャーッター街になり、地方都市の疲弊化は激化しています。
一極集中化している企業の多国籍化が、グローバリゼーションを加速化し始めていました。
私はふるさとの伝統工芸産地で地方主義のあり方を見つめはじめましたが、
グローバル:globe(球形・地球)という言葉、
その形容詞globalから派生したglobalizationがラングとして登場していたのは1960年代でした。
しかし、詳細な検討が社会学的にとらえられるのは1980年代です。
その理由は、西欧文化と資本主義が近代世界システム論として整理されたからだと考えています。
したがって、日本の地方主義での経済資本は常に東京に集中し、
地方の補助支援が分散化される制度となりました。
結局、グローバリゼーションというのも、グローバル資本は先進国金融システム化され、
結果として、国際的な文化生産を支援していたことになります。
グローバル資本による文化生産
私は、日本の伝統工芸が文化生産に結びついてくれることをいつも念頭においていました。
しかし、これは単なる想像にすぎなかったと今では思っています。
グローバリゼーションは、国境を越えて拡大すれば、均質化と差異化は明確となって、
その反極はナショナリズムに引き戻されたと思います。
だから、ローカリゼーションはグローバリゼーションの対極にはならなかったと考えています。
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11月 14th, 2010 Posted 11:10 AM
11月14日 赤口(戊辰)
言語道断の世界から解放されながら、
それでも言語の連鎖環の中で、
「同断=言わず」と想いつつ、
かたちで言い尽くしたい!
そこに
デザインの世界があるはずである。
『デザインは言語道断』あとがき
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11月 14th, 2010 Posted 12:00 AM
生命力を培う風土
風土とは後漢時代の説文解字です。
土地への四季・気候、あたかも風のごとく、
その天地に宿る生命力を培うことを表す言葉です。
私が、医師からふるさとに帰れといわれた意味を知ります。
「生まれ故郷には、生命力を守ってくれる力があるから」ということが理解できました。
「活性化の三要因」
そして、伝統工芸の産地では、地縁・血縁社会=ゲマインシャフトがその労働を支えていました。
この産地現場に資本主義の論理には何かズレがあるという懸念もありました。
「火造り鍛造」の現場では、真っ赤になった鋼を鍛錬し、水に浸すという交互の作業です。
温度の制御がありました。伝統技は経験で蓄積されてきた濃密な知恵でした。
私は、こうした作業の中で、デザイナーの立ち位置が次第にはっきりとしてきたのです。
すなわち、「活性化」という化学的な三つの要因と向かい合いました。
「温度=情熱と冷静さ・濃度=知識と知恵の濃密さ」がまずあります。
そして「触媒となるデザイン・デザイナーの存在としての私」です。
「温度+濃度+触媒=活性化」という図式を産地に当てはめれば、
確実に活性化を起こすことができるということでした。
当時は、「第四次全国総合開発計画=四全総」が立ち上がりましたが、
その目標と目的を遂行する活性策の基本的な認識に、この三つは欠落していました。
すでに「地方の時代」が提言されてからも10年は経過していたはずです。
リージョナリズムからグローバリゼーション
「地方の時代」=ローカリズムという言葉よりもむしろリージョナリズムという論理は、
「風土性」を基盤とした地域・地方主義です。
この論理に、ようやくグローバル=地球全体のことへと関心の方向が芽生えます。
地域風土それぞれの集大成と統合性が見え始めていたことを思い出します。
70年代、80年代、経済社会と自然環境の隔絶が始まる時期に重なってくるのです。
それは、功罪としての地球の共有感と環境破壊を抱え込み、
エコロジーとしての、地域各地の風土性を分断していきつつも、
なんとか共有意識化の始まり=グローバリゼーションでした。
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11月 13th, 2010 Posted 11:01 AM
11月13日 大安(丁卯)
イメージは、言語世界の中で
モルフェーとなっていくものである。
言語世界を超越する修証として、
道元の言語道断という公案こそ、
ことばとかたちの中で
人間が生きる手だてだと
私は自分に言い聞かせてきた。
『デザインは言語道断』あとがき
Tags: KazuoKawasaki, イメージ, かたち, ことば, モルフェー, 修証, 公案, 川崎和男のデザイン金言, 生きる手だて, 言語世界, 言語道断, 道元
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