7月 19th, 2011 Posted 12:00 AM
畳
ナイチンゲールは、療養環境について「ナイチンゲールの覚え書き」の中で、絨毯は最も療養環境には不適合なモノと書き残しました。しかし、現代の絨毯やカーペットでは抗菌作用のある素材開発が完成しています。絨毯は西欧社会では単なる室内調度品を越えてステイタスを表示する存在でもあったのです。さて、わが国には室町時代に薦(こも)や筵(むしろ)を重ね敷きすることから進化した敷物として帖(ちょう)とまで呼ばれる伝統的かつ美術工芸的で社会的な効用性=ステイタスを絨毯と同様に持つモノまでになりました。当然、京間や田舎間と言われるモジュール=大きさの標準化も完成されたモノになっています。そして現代住宅や住居においても和室という室内空間を最も特徴づける敷物になっています。けれども、高齢社会での療養環境の中では、特に、車椅子にはまったく不適合な敷物です。これは絨毯も同様です。もっと広範囲な見方をすれば、車椅子・ベッド・移動可能空間の設え調度品としては不都合なモノになってしまいました。それは和室であり、茶室など、日本の伝統的室内空間が障害者対応からは断絶せざるをえないものになってきていることです。まして段差ある場へ畳敷きはバリアになってしまいます。私自身、車椅子で畳敷きの部屋に入ることは大変に憚れることが多く、たとえば、葬祭時にどうしてもということになれば、巻きカーペットを持参し、それを敷かせていただく許可をいただいて畳部屋にあがることになります。無論、日本のいわゆるお座敷仕様の部屋、料亭などは遠慮せざるをえません。日本式和室のあるホテルで、その部屋が障害者対応というのは、すでに根本的には大きな間違いがあるということです。この見直しは現在要求しておかなければなりません。もし、家族で高齢者で寝たきり生活を余儀なくされたならば、畳は撤去しなければならないでしょう。結局、畳という調度品周辺、唐紙や障子などの日本様式すべての見直しが必然となっているということです。私は、畳という日本の伝統的調度品をさらに進化させて、療養空間や車椅子などとともに大きな改善と調和を建築家ともども求めていくべきことではないかと考えています。和室という日本空間は、高齢社会にあって変革が要求されているものと判断しています。
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1月 12th, 2010 Posted 1:00 AM
手摺
今や、病院のあらゆる壁面やバスルームには、
手すりだらけです。
この手摺のために、かえって転んだり、あるいは、
車倚子やストレッチャーの走行の邪魔になる存在でも
あります。
「手すり」という部材のデザインは時代遅れです。
根本的なグッドデザインの再考が必要です。
そして、「手すり」が在れば、
それでユニバーサルデザインだ、バリアフリーと
いうわけではありません。
● 階段の手すり・在れば、高齢者や妊婦さんには
必需品でしょう。が、これは階段との関係が大事。
そして、片側だけでは駄目な場合を十分に考慮が
とても必要です。
● 浴室やトイレは、改めてチェック項目を考えています。
が、ホテルなどやマンションでは、
根本的に間違っている手すりがなんと多いことでしょうか。
● 病院の手すりは、まず病院用部材手すりの
デザインを根本的に変更するべきでしょう。
日本語では「手すり」・「手摺り」・「手摺」です。
しかし、英語では、
さらにその機能性・性能性・効用性が明確なことに
注目しておくべきだと提案しておきます。
■Handrail
=まさしく「手」すりであり、「手」が
水平軸に重心が支えられるレールを意味している。
■Bannisters
=特に「階段状」にある手かがりとなる
欄干を意味している。
■Balustrade
=「欄干」「高欄」そのもので
橋や建物、その廊下などに縦横の部材によって、
人の墜落を防ぐ機能を持つ。
そして装飾的な存在感を与える。
回廊の周囲や出窓の外縁の手摺として、
背もたれ式や腰掛け式などの形式性などに分類される。
■Parapet
=「胸壁」という訳がふさわしく、
防壁的な役割をもっている。
それはrampartと言われる
■Rampart
=「城壁」・「塁壁」など
主には防御用の欄干のこと。
■Railing
=軌条が本来の意味。
車両や荷重あるものをスムーズに誘導走行させる
機能性のある部材のことであり、
一般的には鉄道の構成要素から、
クレーンやエレベーター、ケーブルカーなどの
車両誘導路まで意味している。
そうしたことから、レールという部材の発明によって、
「手摺」そのものの発明デザインが求められている。
今後の「手摺」は、文字通り、
「手」と「体重・重心」を支えながら、
誘導や防御など安心性と安全性が、
性能と機能を持った部材として、
環境的な調和のあるデザインが
部材として求められているモノと考えたい。
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12月 11th, 2009 Posted 8:00 AM

ある有名建築家(知っていますが)は、
「バリア・フリー、そんなことは知ったことではない」
本当かどうかは確認していません。
私に喧嘩させたくて、
あるジャーナリストが
そんな耳打ちをしたのかもしれません。
車倚子の私は、
「階段の前で、もっとも打ちのめされます」。
そして、
「如何に建築家は、何も、考えていないか」、
「建築家は決して、創造者だとは認めない」のです。
建築家さん、
階段を発明してきたのでしょうか?
階段を進化させてきましたか?
あなたが年老いたなら、「階段」という存在が、
どれほど、これは「障壁だったかを知るでしょう」。
私はもうスキーはできません。
私はクレオパトラノーズを登れません。
私は回し蹴りができません。
もう一度、剣岳に登りたいと願っています。
だから、どうした!、とも思います。
たかがそんなことなど、resignすればいいわけです。
私は、自分自身のために車倚子をデザインしました。
しかし、これは「哀しみのためのデザイン」です。

「階段」の存在は、
すでに「人類の哀しみ」を象徴しています。
なぜなら、それは別名「障壁」であり、
「戦いの場の装置」であった、ということです。
美しい階段は非在しています。
「階段の前で建築家はたたづんでほしい」、と思うだけです。

私は、必ず、「美しい階段」を創ります。
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12月 6th, 2009 Posted 11:55 AM
私は、28歳、交通被災で、車倚子生活になりました。
それでも、健常者よりも活動的かも知れません。国内外への旅行(出張)を厭いません。
だから、車倚子での行動、そのために、自分で様々な工夫をしてきました。
デザイナーだから、自分自身をバリア・フリーにしてきました。
そして、
様々な経験・差別や、そして、思いやりで感謝をいっぱいしてきました。
ようやく、新幹線でのトラブルもありません。もっとも、駅員で人格的におかしな人もいます。
最近は、航空会社でのトラブルが増えました。
なぜなら、
「障がい者や高齢者対応」、そのマニュアルが、国際的には、間違いだらけです。
ホテルに至っては日本は、国際的には全く駄目です。
やはり、そうしたことや、私の工夫、デザイン・設計の基準を書きとどめたいと思います。
まず、ホテルです。
「障がい者対応」、いわゆるユニバーサルデザインとは、ここから始まります。
●「ドア」です。
「ドアには二つのスコープ」が「当然」必要なのです。

すでに、韓国でのホテルでも見かけます。
日本はすでに立ち後れています。
● 背の高い人も、
● 車倚子の人も、
● 子供も、
「のぞき込むスコープ」は無くてはならないのです。
日本のホテルは、全くこのことを「知らない」のです。
「建築家も知らない!」ということです。
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